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国内上場企業のBCM(事業継続マネジメント)導入実態調査を実施

2013年2月25日

 MS&ADインシュアランス グループの株式会社インターリスク総研(社長 近藤 和夫)は、国内全上場企業3,205社を対象に、BCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)の導入実態調査を実施し、今般、回答状況をまとめました。
 東日本大震災・タイ洪水などの大規模自然災害の発生や、2012年5月のISO22301(事業継続マネジメントシステム)の発行を受けて、企業のBCMへの関心は確実に高まっています。2005年の開始から6回目となる今回の調査では、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)策定率の上昇のほか、訓練を実施している企業数に大幅な増加が認められました。一方で、事業継続性を持続的に向上させるための仕組みづくりやBCP作成の全社展開といった、今後の課題が明らかになりました。

1.調査の概要

(1)調査方法 質問紙郵送法
(2)調査期間 2012年11月~12月
(3)調査対象企業 日本国内全上場企業 3,205社
(4)回答数 443社

2.調査結果

主な調査結果(顕著な傾向が表れた項目、自然災害関連の項目等)は以下のとおりです。
なお、「前回調査」とは、2011年8月に当社が実施した同種の調査結果を指します。

(1)BCP策定状況

「策定している」、「現在策定中である」、「策定する計画がある」と回答した企業は、合計で80.8%(前回調査から+12.4%)となりました。一方で、「策定していない」と回答した企業の割合は、 前回調査比で12.6%減少しています。このことから、日本企業におけるBCP策定への取り組みは確実に加速していることが判明しました。

回答 今回調査 前回調査 増減
策定している 44.7% 30.3% +14.4
現在策定中である 24.8% 23.1% +1.7
策定する計画がある 11.3% 15.0% -3.7
実施していない 18.7% 31.3% -12.6
無回答 0.5% 0.2% +0.3

(2)BCPの実効性に関する検証―BCPに関する訓練の実施状況

訓練の実施によってBCPの実効性を高めようという企業は、52.1%にのぼり、前回調査から20.1%増加しています。多くの企業が、BCP構築段階から訓練・検証フェーズに移行しつつあることが伺えます。

回答 今回調査 前回調査 増減
実施している 52.1% 32.0% +20.1
実施していない 43.1% 61.1% -18.0
その他・無回答 4.8% 6.9% -2.1

(3)取引先の事業継続の取組みについて

現状、取引先にBCP作成を要請している企業はまだ多くはありませんが、取引先がBCPを持つべきと考えている企業は90%を超えています。今後、事業継続の取り組みを取引先まで拡大する企業が増加することが見込まれます。

【取引先がBCPを持つことについて】

必要と考える 90.5%
必要と考えない 4.5%
無回答 5.0%

【取引先へのBCP作成要請】

要請している 11.7%
要請していない 83.5%
無回答 4.7%

(4)東日本大震災やタイ洪水などを踏まえた事業継続の取り組みの状況 [複数回答可]

①事業継続への取り組みに及ぼした影響

事業継続への取り組みに対する経営層の理解が、前回調査から8.9%増加しています。経営戦略の一環として、事業継続の取り組みが推進されています。

回答 今回調査 前回調査 増減
事業継続への取組みが加速した 44.2% 42.6% +1.6
経営層の理解が深まった 50.8% 41.9% +8.9
特に変化はない 24.2% 28.2% -4.0
事業継続に関する予算が増加した 8.6% 5.3% +3.3
その他・無回答 3.2% 3.2% 0

②東日本大震災以降、取り組みを強化した事項

地震リスクを対象にした事業継続の取り組みが推進されています。また、従業員の意識向上や訓練の実施など、BCPの実効性向上のための取り組みが強化されているのが特徴です。

安否確認の仕組み構築 63.4%
帰宅指示・帰宅困難者への対応 57.3%
従業員の意識向上 42.9%
コミュニケーション手段の複数化 39.5%
被害想定の見直し 39.3%
建物・設備の耐震強化 33.2%
BCPの訓練 27.8%
事業継続体制面の強化 25.7%

3.今後の課題について

東日本大震災やタイ洪水などの大規模自然災害を経て、企業は「事業継続能力を継続的に向上させる仕組みづくり(57.6%)」、「組織内へのBCP取り組みの浸透(49.0%)」、「組織力・危機管理対応力の向上(39.7%)」、「BCP作成の全社展開(32.1%)」、「BCMの有効性評価手法の確立(22.8%)」などを今後改善が必要な取り組み・課題として認識しています。
インターリスク総研では、このような結果を受けて、BCP策定のみならず、BCPに関する訓練・教育等の実効性の検証体制の確立や仕組みづくり、国内外の関連会社および海外事業所への展開など、様々なソリューションを提供していきます。

4.調査結果のご提供

現在、東日本大震災における企業の対応事例を含めた、詳細なBCMの実態を小冊子として取りまとめており、2013年4月頃に完成予定です。

以上

本件に関するお問い合わせ先

株式会社インターリスク総研

コンサルティング第二部 篠原 雅道/金子美和子 TEL:03-5296-8918
研究開発部 川西 和浩/上野 弘一 TEL:03-5296-8920