別紙1
「高齢者の自動車運転に関する実態と意識」(2021年)についての主な調査結果(抜粋)
1. 調査結果
(1) ご自身の運転には自信がありますか
表1にあるように、65歳以上の回答者の「かなり自信がある」と「ある程度自信がある」の合計は50%を超えている。「80歳以上」の「かなり自信がある」の回答の割合は全年代で最も高い17.0%となった。対照的に「自信はない(多少の不安がある)」とする回答は年代が上がるにつれ低下する傾向にある。
【表1】運転に対する自信(年代別)
単位:%
20-29歳 | 30-59歳 | 60-64歳 | 65-69歳 | 70-74歳 | 75-79歳 | 80歳 以上 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
かなり自信がある | 3.3 | 7.3 | 7.3 | 6.7 | 8.7 | 10.0 | 17.0 |
ある程度自信がある | 36.0 | 38.7 | 32.0 | 49.3 | 50.7 | 52.7 | 55.0 |
どちらともいえない | 32.0 | 20.0 | 32.0 | 28.0 | 25.3 | 22.0 | 16.0 |
あまり自信はない | 20.0 | 26.7 | 24.0 | 12.7 | 12.0 | 12.7 | 9.0 |
自信はない(多少の不安がある) | 8.7 | 7.3 | 4.7 | 3.3 | 3.3 | 2.7 | 3.0 |
計 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
図1では、「かなり自信がある」と「ある程度自信がある」の回答の合計を「自信がある」とし、「あまり自信はない」と「自信はない(多少の不安がある)」の回答の合計を「自信がない」として、年代別に比較をした。図1のグラフは、年代が高くなるとともに運転に対する自信も高くなる傾向を表している。75歳以上の回答者の66.4%が「自信がある」ことになる。
なお、破線は、各折れ線グラフの近似直線である(赤破線グラフ:青折れ線グラフの近似直線、青破線グラフ:赤折れ線グラフの近似直線)。
【図1】自動車の運転に対する自信(年代別)
単位:%
(2) 直近3年以内の運転で、ご自身の不注意・過失によって「ヒヤリ・ハット」1 を経験しましたか
全体では、ヒヤリ・ハット経験が「ほとんどない」の回答は17.1%であった。年代別に見ると「80歳以上」の「ほとんどない」の回答は23.0%と最も高い。また、「20~29歳」の「よくある」の回答は7.3%と全年代で最も高い(表2)。
図2は「よくある」と「たまにある」の回答の合計を「経験あり」とし、「あまりない」と「ほとんどない」の回答の合計を「経験なし」として年代別にグラフにしたものである。「60~64歳」から年代が上がるにつれ「経験なし」が増加する傾向にある2 。75歳以上の回答者のうち、58.8%はヒヤリ・ハットの経験がないことになる。
【表2】ヒヤリ・ハットの経験(年代別)
単位:%
全体 | 20-29歳 | 30-59歳 | 60-64歳 | 65-69歳 | 70-74歳 | 75-79歳 | 80歳 以上 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
よくある | 3.5 | 7.3 | 5.3 | 5.3 | 0.7 | 1.3 | 2.0 | 2.0 |
たまにある | 46.5 | 52.7 | 49.3 | 52.7 | 48.7 | 41.3 | 40.0 | 38.0 |
あまりない | 32.9 | 26.7 | 30.7 | 24.7 | 33.3 | 35.3 | 44.0 | 37.0 |
ほとんどない | 17.1 | 13.3 | 14.7 | 17.3 | 17.3 | 22.0 | 14.0 | 23.0 |
計 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
【図2】ヒヤリ・ハットの経験あり・なし(年代別)
単位:%
- 1 ここでいう「ヒヤリ・ハット」とは、結果として事故にはならなかったが、事故につながる一歩手前で回避できた(ヒヤリとしたり、ハッと息を飲んだりする)状況のことを指す。
- 2 加齢による認知機能の低下によって、「ヒヤリ・ハット」の認識が少なくなっているという見方もできる。
(3) これまで運転免許証の返納を検討したことがありますか
運転免許返納の検討の有無に関しては、回答者全体では7.2%が「検討したことがある」とした。年代別にみると、「65~69歳」から年代が上がるにつれ返納を「検討したことがある」の回答が上昇する。「70~74歳」では10%となり、「80歳以上」は17.0%となっている。75歳以上の回答者のうち14.4%が「検討したことがある」ことになる(表3)。
【表3】運転免許の返納検討の有無(年代別)
単位:%
全体 | 20-29歳 | 30-59歳 | 60-64歳 | 65-69歳 | 70-74歳 | 75-79歳 | 80歳 以上 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ある | 7.2 | 2.0 | 2.7 | 4.0 | 5.3 | 10.0 | 12.7 | 17.0 |
ない | 92.8 | 98.0 | 97.3 | 96.0 | 94.7 | 90.0 | 87.3 | 83.0 |
計 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
(4) 運転免許証返納の検討のきっかけ
運転免許証の返納を「検討したことがある」とした72人の回答者に対して、そのきっかけについて聞いた(図3)。全体では「高齢者による重大事故のニュースを耳にした」の回答が群を抜いて高く、48.6%となった。
【図3】運転免許証返納を検討したきっかけ
(5) 運転免許証を返納しなかった理由
ここでは、運転免許証の返納を「検討したことがある」とした72人の回答者に対して、返納しなかった理由を聞いた(図4)。「他の移動手段もあるが不便なため」とした回答者が47.2%(34人)であった。なお、そのうち94%にあたる32人は、最寄りの公共交通機関へのアクセスが徒歩で15分未満である。
【図4】運転免許証を返納しなかった理由
(6) 政府は高齢者の安全運転対策として、「安全運転支援機能を有する自動車を前提とする高齢者の運転免許制度」の創設を検討しています。あなたは現在(または将来)そのような運転免許を取得して運転を続けたいと思いますか
高齢者ドライバー向けの安全運転サポート車(サポカー)に限定した運転免許制度について、現在(または将来)そのような運転免許を取得して運転を続けたいかどうかを聞いた。
全体では42.7%の回答者が、「取得して自動車の運転を続けたい」としている(図5)。年代別では75歳以上の回答者のうち46.8%が、「取得して自動車の運転を続けたい」としている。なお、「わからない」の回答は全体では23.7%であるものの、「80歳以上」では12.0%である(表4)。
【図5】安全運転支援機能付き自動車限定免許証の取得意向
【表4】安全運転支援機能付き自動車限定免許証の取得意向(年代別)
単位:%
20-29歳 | 30-59歳 | 60-64歳 | 65-69歳 | 70-74歳 | 75-79歳 | 80歳 以上 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
取得して運転を続けたい | 39.3 | 32.7 | 43.3 | 43.3 | 48.0 | 49.3 | 43.0 |
取得せずに運転を続けたい | 7.3 | 9.3 | 10.0 | 13.3 | 20.7 | 19.3 | 28.0 |
取得せずに運転をやめたい | 26.0 | 20.7 | 22.0 | 20.0 | 11.3 | 14.0 | 17.0 |
わからない | 27.3 | 37.3 | 24.7 | 23.3 | 20.0 | 17.3 | 12.0 |
2. 2019年、2017年実施の自動車運転調査結果との比較
(1) 自動車の運転に対する自信
ここでは、図1に示した年代別の自動車の運転に対する自信の調査結果について、2019年8月、2017年2月に行った同様の調査の結果を加えて、比較をおこなった。いずれも年代が高くなるにつれ自信が高くなる傾向は変わらない(図6)。
【図6】自動車運転に対する自信(2021年、2019年、2017年の比較)
単位:%
(2) サポカー限定免許の取得意向
ここでは、図7で示したサポカー限定免許の取得意向について2019年8月に行った同様の調査の結果を加えて、比較を行った。サポカーの普及が進む一方で、2021年の「取得して運転を続けたい」の回答は2019年の結果に対して5.0ポイント減少した。
また、2021年の「取得せずに運転をやめたい」の回答は2019年の結果に対して5.4ポイント増加している(図7)。
【図7】安全運転支援機能付き自動車限定免許証の取得意向(年代別)
単位:%
以上