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添付別紙

主な調査結果について

1. 主な調査結果

(1) 歩きスマホの習慣の有無

Q あなたは歩きスマホを行うことがありますか。(ひとつだけ)
  • 日常的に行う(ほぼ毎日)
  • 日常的ではないが、よく行う(週に数回)
  • 基本的には行わないが、急用があるとき等に行うこともある(月に数回)
  • 行わない(極めて稀な場合(=月に数回を下回る場合)も含む)

図表1:歩きスマホの習慣の有無(結果)

単位:人、%

  1. ① 性別にみると、男性の方が、歩きスマホを行う割合がやや大きく、頻度も高い。
  2. ② 年代別にみると、予想されたとおり、20代、30代、……と年代が上がるにつれ、歩きスマホを行う人の割合が下がり、その頻度も低くなる。20代、30代では、ほぼ4人のうち3人が(頻度は別として)歩きスマホを行っている。
  3. ③ エリア別にみると、(大都市)と(その他エリア)で大きな差は見られない。
  4. ④ スマホ利用時間別にみると、利用時間が長くなればなるほど、歩きスマホを「日常的に行う」人の割合が増える。歩きスマホの時間もスマホ利用時間に含まれる以上、これは当然の結果である。もっとも、歩きスマホを「行わない」人の割合は、スマホ利用時間の長短にかかわらず(ただし、利用時間1時間未満は除く。)、ほとんど差がないのが注目される。

(2) 歩きスマホを行う場所

Q あなたはどのような場所で歩きスマホを行っていますか。(いくつでも)
  • 駅のホーム
  • 駅の構内(ホーム以外)
  • (駅以外の)施設・建物内の通路
  • 横断歩道
  • 一般の歩道(横断歩道以外)
  • その他

図表2:歩きスマホを行う場所(結果)

単位:人、%

  1. ① 性別、年代別、エリア別、スマホ利用時間別、歩きスマホ頻度別を問わず、一般の歩道(横断歩道以外)での歩きスマホが最も多い。一般の歩道は、相対的には、(他人と衝突する等の)危険が小さい場所である。
  2. ② 最も危険であると言われている「駅のホーム」での歩きスマホを、30%超の人が行っている。低年代層(20代、30代)に多い。
  3. ③ 一般の歩道に比べ危険性の高い「横断歩道」での歩きスマホについても、低年代層(20代、30代)に多い。

(3) (歩きスマホを行っている人の)歩きスマホに対する評価

Q あなたは歩きスマホを行っていることをどう感じていますか。(ひとつだけ)
  • 問題のある行為だとは思っていない(自分自身はもとより、他人が行っていても気にならない)
  • 問題のある行為だとは思っているが、習慣化しており止められない
  • 問題のある行為だとは思っているが、多くの人が行っており、構わない
  • 問題のある行為だとは思っているが、自分自身については、(衝突を避けるなど)他人に迷惑を かけない自信があるので構わない
  • その他

図表3:歩きスマホに対する評価(結果)

単位:人、%

歩きスマホを行う人のうち、80%を超える人が、歩きスマホは「問題のある行為」だと認識している。ここで注目すべきは、そのうち、「(衝突を避けるなど)他人に迷惑をかけない自信があるので構わない」という人の割合が高年代層(50代、60代)で大きいことである。一般に身体能力は年代が上がれば低下していくことから、客観的な衝突の可能性は高年代層で高くなると思われる。それにもかかわらず、調査ではその逆の現象が見られる。(a)高年代層は身体能力に比して自信を持ちやすい、(b)高年代層の中でも身体能力に自信のある人が歩きスマホを行っている、 といったことがその理由として考えられる。

(4) (歩きスマホを行っていない人の)歩きスマホを行わない理由

Q あなたが歩きスマホを行わない理由をお教えください。(いくつでも)
  • (通行の妨げになる、衝突するなど)他人に迷惑をかけたくないため
  • (衝突により)自分が負傷したり、自分の持ち物が破損したりすることを避けるため
  • 歩きながら画面を見ると視力が低下するため
  • 歩きながら画面を見ると気持ちが悪くなるため
  • 歩きながら画面を見る用事がないため
  • 歩きながら操作をすることが苦手であるため
  • その他

図表4:歩きスマホを行わない理由(結果)

単位:人、%

  1. ① 予想どおり、「(通行の妨げになる、衝突するなど)他人に迷惑をかけたくないため」という理由が最も多い。スマホの利用時間が1時間以上の層の方が、1時間未満の層よりも、この選択肢を選択している人の割合が大きいのは注目される。
  2. ② その他の理由は、どちらかといえば、「他人」のためというよりも、「自分」のためである。

(5) 他人との接触の経験

Q あなたは以下のような経験はありますか。(いくつでも)
  • 自分が歩きスマホをしていて、他人と接触したことがある(ただし、自分も他人も負傷せず、いずれの持ち物も破損しなかった)
  • 自分が歩きスマホをしていて、自分が負傷したことがある
  • 自分が歩きスマホをしていて、自分の持ち物を破損したことがある
  • 自分が歩きスマホをしていて、他人を負傷させたことがある
  • 自分が歩きスマホをしていて、他人の持ち物を破損させたことがある
  • 他人が歩きスマホをしていて、自分と接触したことがある(ただし、自分も他人も負傷せず、いずれの持ち物も破損しなかった)
  • 他人が歩きスマホをしていて、自分が負傷したことがある
  • 他人が歩きスマホをしていて、自分の持ち物を破損されたことがある
  • 上記のような経験はない

図表5:他人との接触との経験(結果)

単位:人、%

(自分が歩きスマホをしていて、または、他人が歩きスマホをしていて)他人との接触経験のある人は、30%を超える。このうち、他人が歩きスマホをしていて接触経験のある人の割合は、歩きスマホの頻度が高くなればなるほど減少している。これは、歩きスマホの頻度が高い人ほど、歩きスマホの危険性を強く認識し、他人の歩きスマホに対して敏感になっているからではないかと推測される。

(6) 歩きスマホのペナルティの必要性

Q あなたは歩きスマホに対して、ペナルティ(罰金・過料など)が必要だと思いますか。(ひとつだけ)
  • 必要だと思う
  • 時間・場所によっては、必要だと思う
  • 必要ないと思う

図表6:歩きスマホのペナルティの必要性

単位:人、%

  1. ① ペナルティ(罰金・過料など)が「必要ないと思う」人は、10%程度に過ぎない。
  2. ② 予想されたことではあるが、年代別にみると、「必要ないと思う」人は、若年代層(20代、30代)に多い。また、歩きスマホ頻度別では、「日常的に行う(ほぼ毎日)」人に多い。
  3. ③ ペナルティが「必要ないと思う」人に対し、その理由を重ねて質問したところ、「歩きスマホはマナー・モラルの問題であり、ペナルティはやり過ぎである」(38%)が最も多く、「数年間時間をかければ効果は少しずつ現れるかもしれないが、即効性がない」(34%)、「対象者が多過ぎてそのほとんどを捕捉できず、実効性がない」(18%)が続いている。

2. 調査結果についての総括

(1) 歩きスマホの実態について

  1. ① スマホ保持者の約60%が、歩きスマホを行っているという結果については、日常、街で見かける感覚からするとかなり多いように思われる。しかし、この乖離は、次のように説明できる。第一に、60%というのはスマホ保持者を母集団にしており、スマホ非保持者は母集団に含まれていないということである。第二に、60%の内訳を見ると、歩きスマホをほぼ毎日行っている人は少数派であり、多数派はたまに(週に数回あるいは月に数回)しか行っていないということである。
    2020年1月、神奈川県大和市内の駅前で実施した調査によると、通行人の12%が歩きスマホを行っていたという。
  2. ② 最も危険であると言われている「駅のホーム」で、約30%の人が歩きスマホを行っている。駅では、注意喚起のアナウンスがよく流れているものの、それほど改善は見られていないようである。
  3. ③ また、ケガ、持ち物の破損等に至っているのは限定的なケースであるとはいえ、約30%の人が歩きスマホによる接触の経験があるという事実は軽視してはならない。

(2) ペナルティについて

  1. ① 歩きスマホを行う人のうち、80%を超える人が、歩きスマホは「問題のある行為」だと認識している。
  2. ② また、歩きスマホに対するペナルティついて、「必要だと思う」または「時間・場所によっては、必要だと思う」を合わせると90%に達する。
  3. ③ しかし、他方で、「即効性」あるいは「実効性」のあるペナルティのかけ方がないのも事実である。仮に歩きスマホに対してペナルティを導入したとしても、歩きタバコがそうであったように、効果が現れるまでには一定の時間がかかるものと思われる。
  4. ④ なお、2017年10月以降、ハワイ・オアフ島では、道路を横断中の歩行者が歩きスマホを行うと、罰金が科せられている。

(3) 障がい者(目や足が不自由な方々等)への配慮について

  1. ① 歩きスマホには、障がい者(目や足が不自由な方々等)に深刻な事態を引き起こす危険性がある。駅の構内でアイマスクを付けて歩くことを考えてみれば、前方から歩きスマホを行っている人が近づいてくることがいかに危険であるかは容易に想像できる。
  2. ② このような危険性をも踏まえ、日本視覚障害者団体連合からは、歩きスマホの禁止について国土交通省へ陳情書が出されている。

以上