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「第9回 事業継続マネジメント(BCM)に関する日本企業の実態調査 報告書」の公表

2022年2月4日

MS&ADインターリスク総研株式会社

MS&ADインシュアランス グループのMS&ADインターリスク総研株式会社(社長:中村 光身)は「第9回 事業継続マネジメント(BCM)に関する日本企業の実態調査 報告書」を公表しました。

この調査は2005年から定期的に実施していますが、事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)策定やBCP訓練への取り組みが、度重なる大規模災害や感染症の発生を受けて、着実に増加している傾向がうかがえます。また、今回調査では、新型コロナ禍を踏まえた既存BCPの見直しの実態について分析を実施しました。

1. 調査の概要

  • 調査方法
    質問紙郵送法
  • 調査期間
    2021年6月~7月
  • 調査対象企業
    日本国内全上場企業 3,677社
  • 回答数
    293社(8.0%)

2. 調査結果

(1) BCP策定状況

BCPの策定率は約65%(「現在、策定中である」も含めると、75%)であり、前回(2018年度)および前々回(2015年度)の調査と比較して、BCP策定率は着実に増加しているといえます。

貴社ではBCPを策定していますか

貴社ではBCPを策定していますか

(2) BCPに関する訓練の実施状況

BCPの訓練を「全く実施していない」企業が、前回の調査(2018年度)より約10ポイント減少しており、また、「1年に4回以上実施」、「1年に2回以上実施」の割合が増加しており、訓練は着実に浸透しているといえます。

BCPに関する訓練を定期的に行っていますか

BCPに関する訓練を定期的に行っていますか

(3) BCP見直しのトレンド【1】_テレワークを前提とした災害対応の検討

① リモートワークに関する見直しの実施状況

「既存BCPの見直しが完了/実施中/検討中」(問5)と回答した企業のうち、82.1%が「リモートワークに関する見直し」を検討しており、リモートワークに関する見直しが既存BCP見直しのトレンドの一つであるといえます。

既存BCP見直しが完了/実施中/検討中の企業のうち、リモートワークに関する見直しをしているか

既存BCP見直しが完了/実施中/検討中の企業のうち、リモートワークに関する見直しをしているか

② リモートワークに関する見直しの内容

「リモートワークに関する見直しを検討している」と回答した企業の見直し内容は、約70%がリモートワークを想定した体制の再構築を検討しており、また、約47%が、リモート環境に再構築後の体制での訓練等を検討しています。

リモートワークに関する見直しを検討している企業の、見直しを実施した(検討している)事項

リモートワークに関する見直しを検討している企業の、見直しを実施した(検討している)事項

(4) BCP見直しのトレンド【2】_BCPで対象とするリスクの見直し

① BCPで対象とするリスクの見直しの実施状況

「既存BCPの見直しが完了/実施中/検討中」(問5)と回答した企業のうち、76.9%が「BCPで対象とするリスクの見直し」を検討しおり、BCPで対象とするリスクの見直しがトレンドの一つといえます。

既存BCP見直しが完了/実施中/検討中の企業のうち、BCPで対象とするリスクの見直しをしているか

既存BCP見直しが完了/実施中/検討中の企業のうち、BCPで対象とするリスクの見直しをしているか

② BCPで対象とするリスクの見直しの概要

「BCP策定済・策定中」と回答した企業を対象に、6つのリスク※のうち、どれだけの数のリスクをBCPでカバーしているかを整理しました。前回の調査(2018年度)では単一のリスクを対象とする企業が最多でしたが、今回の調査では3つ以上のリスクをカバーする割合が増加しており、BCPで複数のリスクをカバーする動きが読み取れます。

地震・津波、水災(河川氾濫、内水氾濫、高潮)、土砂災害、火山噴火・降灰、その他自然災害(風災・雪災、落雷等)、新型コロナウイルス等の感染症

6つのリスクのうちBCP対象としてカバーしている数

6つのリスクのうちBCP対象としてカバーしている数

また、この6つのリスクをBCPでカバーしている割合は、前回の調査(2018年度)と比べると、地震・津波以外の5つのリスクをカバーする割合が増加しており、これまで地震・津波対策として策定されてきたBCPを基礎に、他のリスクをカバーする動きがうかがえます。

6つのリスクごとBCP対象としてカバーしている割合

6つのリスクごとBCP対象としてカバーしている割合

3. 今後の課題

BCPの策定および訓練の取組は着実に進んでいるといえます。また、新型コロナ禍を受け、企業は「リモート対応を前提とした緊急時体制構築」と「オールハザード型BCPの構築」を目指し、様々な対策を講じている状況が確認されました。これらは「ニューノーマル時代のBCP」として取り組むべきテーマであるといえますが、その取組割合はまだまだ低いのが現状です。

弊社では、このような課題認識を踏まえ、「ニューノーマル時代のBCP」に関する様々なソリューションを今後とも提供してまいります。

4. 調査結果のご提供

本調査に関する報告書は弊社Webサイト(下記URL)で無償公開しております。
弊社が過去に実施した実態調査の報告書も全て掲載しておりますので、合わせてご参照ください。

【事業継続マネジメント(BCM)に関する実態調査】

https://www.irric.co.jp/reason/research/bcm/index.php

以上