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通所介護施設(デイサービス)における感染管理・安全管理に関する実態調査を実施

2019年11月28日

MS&ADインシュアランスグループのMS&ADインターリスク総研株式会社(代表:中村 光身)は、通所介護施設(デイサービス)を対象に、感染および安全の管理体制について独自にアンケート調査を実施し、報告書にまとめました。

利用者の命にかかわることもある感染症に関しては厚生労働省が「高齢者施設における感染対策マニュアル」(以下、「厚労省感染対策マニュアル」)を2013年3月に公表し、2019年3月には改訂版を出し、サービス環境の改善と整備についての取り組みを進めるためのノウハウを提供しています。一方で利用者の安全管理においては、これらが示されておらず、マニュアルの有無も含め、介護サービスの現場における「感染」「安全」への取り組みが十分に浸透しているかどうかは不透明な状況です。

このような状況を踏まえ、MS&ADインターリスク総研では、通所介護施設(デイサービス)の感染と安全に対するリスク管理の現状、ならびに厚労省感染対策マニュアル等の項目に対して、事故やトラブルが発生した場合、特に介護サービス継続に影響を与えると考えられる「感染管理体制」および「安全管理体制」の2点に絞り、調査を実施しました。

1. 調査概要

(1)調査方法

郵送によるアンケート調査

(2)調査時期

2018年11月21日~2018年12月10日(20日間)

(3)調査対象

各都道府県の通所介護を行う事業所2,600件

全国の通所介護事業所数は26,902件(2018年9月)

(4)有効回答数

694件(回収率26.7%)

2. 主な調査結果

厚労省感染対策マニュアルでは「感染症の予防や感染拡大を防止するとともに、感染症罹患患者に対する差別や偏見を防止する観点から、職員に対して十分な教育・研修を行うことが必要」としており、事業者は年間2回以上の定期的な研修を実施することとなっています。しかし、36.8%の事業所では年間2回以上の研修は実施しておらず、営利法人では44.4%もの事業所が年間2回以上の研修を実施していないことが分かりました。研修を年間2回以上実施していない理由は人材面に課題を挙げるところが多く、人材不足の影響が示唆されました。

一方で、安全管理委員会の設置率は全体で55.6%と半数程度でした。営利法人に限っては社会福祉法人よりも33.3%も低い45.6%と半数以下にとどまり、安全に対する組織としての意識が社会福祉法人と比べると低いことがうかがえました。

必須ではありませんが、リスクマネジャーの設置率に関しても設置率は全体の28.3%にとどまっており、リスクマネジャーを設置していない理由の39.2%がここにおいても人材面の理由によるものでした。

また、感染・安全管理体制の構築のための支援を自由記述で回答いただいたところ、マニュアル作成、訓練、研修の支援と体制構築を含むアドバイザリーを希望する事業所が多くあることが分かりました。

4. 今後の取り組み

今回の調査において、感染・安全管理に対して何らかの支援を求めていることを踏まえて、MS&ADインターリスク総研では新たに「感染管理体制チェック」「感染症対応の研修」「感染症発生時対応机上訓練」のメニューを開発、リリースを行います。これらの支援を通じて、デイサービスの感染・安全管理体制がより強固になり、利用者の安全や快適なサービスの利用につながることに寄与できれば幸いです。

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