国内初、日本の全上場企業の「組織力実態調査」を実施
2011年11月9日
MS&ADインシュアランスグループの株式会社インターリスク総研(社長:近藤 和夫)は、国内全上場企業3,219社に対し、「組織力向上(組織開発)に関わる導入実態調査」を実施し、回答状況をまとめました。
今回の調査では、自社の組織力(パフォーマンス)を「総じて低い」と回答する企業が過半数を超え、多くの企業が組織力向上の取組みに何らかの課題を抱えていることが判明しました。具体的には、「組織のトップが自らリーダーシップを発揮し、ビジョンや戦略を社員に浸透させ、現場との共感度を高めること」が課題としてあげられます。また、部門や役職を越えた情報共有の推進にも障壁があることが分かりました。
1.調査の概要
(1)調査方法 | : | 質問紙郵送法 |
(2)対象企業 | : | 日本国内全上場企業 3,219社 (東北6県、千葉県、茨城県の被災地域に本社を置く企業を除く) |
(3)回答数 | : | 294社(回答率:9.1%) |
(4)調査期間 | : | 2011年7月~8月 |
2.調査結果
主な調査結果(顕著な傾向が表れた項目等)は以下のとおりです。
(1)組織パフォーマンス(※)について
同業他社と比べて高い利益を上げていること、ステークホルダーの満足を充足していること、事業に有益なアウトプットを実現していることなどを指し、「生産性が高い」という意味も含むと考えられます。現時点では、全業種に当てはまる統一の測定基準は整備されていません。
(a)組織パフォーマンスの状況
調査結果 | 合計 | |
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高い | 2.4% | 36.7% |
どちらかといえば高い | 34.3% | |
どちらかといえば低い | 55.8% | 63.3% |
低い | 7.5% |
組織パフォーマンスが「高い、どちらかといえば高い」と回答した企業は36.7%でした。
一方で「低い、どちらかといえば低い」と回答した企業は過半数を超え、63.3%でした。
(b)上記(a)で、組織パフォーマンスが「高い」および「どちらかといえば高い」を選択した企業の組織実態として、該当率の高かった項目
調査結果 | |
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組織トップのリーダーシップ | 97.2% |
経営ビジョン・戦略が社員に浸透している | 94.4% |
経営と現場の連携がうまく取れている | 91.7% |
社員は信頼されていると感じている | 91.7% |
組織体制は戦略に従って編成されている | 90.7% |
リーダーは部下の能力を把握している | 90.7% |
「組織トップのリーダーシップ」がトップで、組織へのビジョン・戦略の浸透度合い、経営と現場の一体感の醸成などの重要性が伺い知れます。
(c)回答企業全体が考える組織パフォーマンス向上に寄与する要因
調査結果 | |
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組織トップのリーダーシップ | 66.3% |
組織内外のコミュニケーション | 46.3% |
人事考課などの評価制度 | 24.5% |
メンバーシップ/フォロワーシップ | 24.1% |
人との信頼関係 | 23.5% |
(d)組織パフォーマンス向上への取組み
調査結果 | |
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取り組んでいる | 44.9% |
取り組んでいない | 54.8% |
(e)組織パフォーマンス向上に取り組んでいる企業が、自社の効果をどのように評価しているか
調査結果 | |
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効果を上げている | 4.5% |
一定効果を上げている | 50.8% |
あまり効果を上げていない | 32.6% |
効果を上げていない | 1.5% |
判断できない | 10.6% |
(2)企業の危機管理対応力について
東日本大震災後の速やかな事業再開など、危機管理対応力向上の主要因
調査結果 | |
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組織力 | 56.1% |
リーダーシップの発揮 | 54.4% |
社会的使命への強い意志 | 33.7% |
情報収集力と分析力 | 31.6% |
BCP(事業継続計画)の演習・訓練 | 31.3% |
(3)リーダーシップについて
(a)リーダーの役割
調査結果 | |
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組織メンバーのモチベーションの向上 | 60.5% |
組織の方向性を統一させる | 46.3% |
組織パフォーマンスの向上 | 42.9% |
組織の牽引 | 26.5% |
変化への対応力 | 26.2% |
(b)リーダーに必要な資質・特性
「平常時」および「(大地震などの)緊急時」における、リーダーに必要な資質・特性として、「行動力」、「決断力」、「責任感(もしくは使命感)」が上位を占めました。
3.今後の課題について
組織パフォーマンス向上のための具体的課題として、「経営ビジョン・戦略の社員への浸透(33.3%)」、「経営戦略に沿った人事戦略・人材開発の見直し(32.0%)」、「役職や部門を越えた積極的な情報共有(28.9%)」、「経営と現場の連携(25.2%)」、「部門間の連携(24.8%)」等が判明しました。当社では、今後も日本企業のパフォーマンスを向上させていくため、組織力向上(組織開発)の重要性について啓発活動を進めていきます。
4.調査結果のご提供
「組織力向上(組織開発)導入実態調査」の報告書は、2012年2月頃完成予定です。
以上
本件に関するお問い合わせ先
株式会社インターリスク総研
研究開発部 川西 和浩/篠原 雅道 TEL:03-5296-8920