「地域金融機関向けTNFDコンサルティングサービス」の提供を開始
-地盤を有する地域金融機関ならではの評価・開示・アクションを支援-
2024年6月20日
MS&ADインターリスク総研株式会社
MS&ADインシュアランス グループのMS&ADインターリスク総研株式会社(社長:一本木 真史)は、2024年6月より「地域金融機関向けTNFDコンサルティングサービス」の提供を開始しました。地域金融機関は顧客が集中する営業基盤としての重要地域、いわゆる地盤を有しています。地盤の自然と産業の特性および関係性を踏まえることは、地域金融機関にとっての自然関連のリスクを低減し、機会を増大することに欠かせません。本サービスでは、前述したような特性を有する地域金融機関ならではの、自然関連の評価や開示、アクションを支援します。
1. 背景
自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、2023年9月18日に企業等が自然関連課題(自然への依存・インパクト、自然関連リスク・機会)を評価・管理・情報開示する枠組みの第一版を、金融セクター向けガイダンスも含めて公表しました。すでに100社を越える日経企業がTNFDを採用することを表明しています。これを受けてMS&ADインターリスク総研は、これまで20社を超える※1企業のTNFDに沿った分析や情報開示を支援してきました。
一方、金融セクターの中でも地域金融機関は、特定の地域に顧客が集中しており、地盤を有することが特徴です。つまり地域金融機関は、自社の地盤に着目して、地域の自然や産業の特性およびその関係性を捉えるような評価を行うことで、地域経済と自社にとって重要な自然関連のリスクや機会の検討を進めていくことが可能であると考えられます。同時に、地域金融機関が自社にとっての「地盤」という目線を持たずに評価を進めることは、自社事業にとって重要な自然関連のリスクを見落とす危険性もあると言えます。
気候変動分野において、MS&ADインターリスク総研は2017年から各種TCFD支援コンサルティングを展開し、地域金融機関30行以上※2を支援してきました。数多くの地域金融機関を支援してきた実績と経験に基づき、自然関連分野においても、地域金融機関ならではの評価・開示・アクションを支援する「地域金融機関向けTNFDコンサルティングサービス」を開始します。
1: 2023年9月~2024年4月現在の実績
2: 2024年5月現在の実績
2. サービス概要
TNFDが提示している金融セクター向けガイダンスの内容も踏襲しながら、それぞれの地域金融機関およびその地盤が有する特有の性質や課題の探索、それらを踏まえた自然関連の評価・開示・アクションを支援するサービスです。地盤の自然や産業の特性に係る情報の収集とスクリーニング、その内容を踏まえた地盤において特に重要な自然資源や課題の検討や融資ポートフォリオの分析、地盤における関係者(自治体、企業、事業所、専門家など)への参画も募ってのネイチャー・ポジティブをテーマとしたシンポジウム等の開催など、それぞれの地域金融機関の取り組み状況やニーズに応じた支援が可能です。
本サービスでは、TNFDが公開している、自然関連の依存・インパクト・リスク・機会の特定と評価のための任意の手引き「LEAPアプローチ」の、各ステップで推奨される事項を踏まえたメニューを用意しています。LEAPとは、自然との接点を発見する“Locate”、依存やインパクトを診断する“Evaluate”、重要なリスクや機会を評価する“Assess”、対応や報告のための準備をする“Prepare”という主要な4つのフェーズの頭文字を取ったもので、準備段階として全体の方向性や検討の進め方を検討する“Scoping”フェーズも設けられています。
<地域金融機関向けTNFDコンサルティングサービスのメニュー一覧>
LEAP等の 取り組みフェーズ |
地域金融機関向け TNFDメニュー |
支援の概要 |
---|---|---|
Scoping | TNFD勉強会開催支援 | 金融機関向けの要請や手引きを含む、TNFDフレームワークの内容を解説する勉強会の実施支援をします。地域金融機関だからこそできる、地域の自然を踏まえた取り組みの方向性や、地盤特有の自然・生物多様性の上位戦略やデータの一部を紹介します。 |
Scoping | 融資ポートフォリオを対象とした セクター/エリア別 ヒートマップ作成支援 |
セクターごとの自然への依存・インパクトの内容・程度を調査し、セクター別のヒートマップを作成します。セクター区分の見直し、エリア別ヒートマップの作成のご支援も可能です。 |
Scoping | 地盤の自然特性・ 産業特性の概観支援 |
地盤について、自然や産業の特性を概観し、当該エリアで特に注視が必要な可能性の高い自然への依存・インパクトの検討を支援します。 |
Locate | 直接操業拠点リスト/ 融資ポートフォリオの 優先ロケーション評価 |
営業所などの直接操業拠点リスト/融資ポートフォリオを対象に、“Locate”フェーズの手順で定められている優先ロケーションとしての優先度評価を支援します。 |
Locate | 地盤の自然・産業データ整理 | 地盤を対象に、“Locate”の手順に沿った評価や、特に重要なセクターの依存・インパクトの“Evaluate”に沿った検討において有用な、当該エリアにおける自然・産業に関連する情報やデータのレビューと整理を行います。 |
Evaluate | 優先セクター/エリアを対象とした依存・インパクトの整理とその評価の検討アドバイザリー | Locateに沿った検討によって特定された優先エリアを対象に、自然への依存・インパクトの洗い出しと関係の整理、評価方法の検討に係る支援をします。 |
Assess | リスク・機会の特定と 登録簿作成支援 |
前述の検討を踏まえて、自然関連リスク・機会を検討し、TNFDの推奨するリスク・機会登録簿を作成し、リスク・機会の優先順位付けを行います。 |
Prepare | 開示内容の作成支援/ 開示案のレビュー・ アドバイザリー |
検討した自然への依存・インパクトやリスク・機会を踏まえ、TNFDフレームワークに沿った情報開示を行う場合の開示内容を作成または助言します。 |
Action | 地盤における ネイチャー・ポジティブ シンポジウム等の開催支援 |
地盤において、LEAPに沿った検討結果なども踏まえて、地盤における関係者(自治体、企業、事業所、専門家など)が参画するような、ネイチャー・ポジティブをテーマとしたシンポジウム等の開催を支援します。 |
<地域金融機関の営業基盤としての重要地域の自然・産業特性の概観支援イメージ>

以上