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別紙2:

「高齢者の運転免許の返納者の実態と意識」(2021年)についての主な調査結果(抜粋)

1. 調査結果

(1) あなたが運転免許を保有しなくなった理由として最もあてはまるものをお知らせください

回答者全体では「運転をしていなかった(ペーパードライバー)」が27.7%、「運転をする必要がなくなった」が23.7%、「高齢者による重大事故のニュースを耳にした」が20.3%と高い値になっている(図1)。

【図1】運転免許を保有しなくなった理由

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(2) 運転免許を保有しなくなって良かったと感じたこと(複数回答)

運転免許を保有しなくなったことによるメリットについては、主に「事故を起こす心配がなくなった」(58.1%)と「車の維持費などの移動にかかる費用が安くなった」(41.4%)ことが挙げられている(図2)。
年代別にみると、「家族に安心された」、「車の維持費など移動にかかる費用が安くなった」とする回答は、年代が上がるにつれ増加している。一方で、「特にない」とする回答 は年代が上がるにつれ減少している(表1)。

【図2】運転免許を保有しなくなってよかったこと

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【表1】運転免許を保有しなくなってよかったこと(年代別)

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  60-64歳 65-69歳 70-74歳 75-79歳 80歳
以上
運動量が増えて健康になった 7.7 15.9 19.2 27.8 21.8
事故を起こす心配がなくなった 30.8 47.7 51.8 68.0 65.4
家族に安心された 7.7 9.8 13.7 26.0 39.4
車の維持費など移動にかかる費用が安くなった 23.1 32.6 35.2 46.6 53.7
返納者に対する各種特典が受けられる 7.7 6.8 10.6 11.7 7.4
その他 0.0 1.5 1.3 1.4 0.5
特にない 46.2 40.2 29.3 16.0 12.8

(3) 運転免許を保有しなくなって最も不便を感じたこと

運転免許を保有しなくなったことのデメリットとしては、「買い物」についての不便が挙げられたものの、57.0%の回答者が「さほど不便を感じない」と回答している(図3)。

【図3】運転免許を保有しなくなって最も不便を感じたこと

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年代別でみると、「さほど不便を感じない」の回答は、年代が上がるにつれ減少する。一方で、高齢になるにつれ、回答が増加するのは「買い物」である(表2)。

【表2】運転免許を保有しなくなって不便になったこと(年代別)

単位:%

  60-64歳 65-69歳 70-74歳 75-79歳 80歳以上
通勤 0.0 0.0 0.3 0.0 0.5
仕事・業務 0.0 0.0 0.5 0.7 0.5
買い物 0.0 11.4 13.7 21.7 27.7
食事(外食) 0.0 0.8 0.8 2.1 0.5
通院 0.0 3.0 6.2 5.7 7.4
趣味・サークル 0.0 0.8 1.6 3.2 3.2
家族・友人宅への訪問 0.0 3.8 3.9 5.0 6.9
旅行 7.7 4.5 6.2 10.7 9.6
その他 0.0 3.0 2.8 2.5 1.6
さほど不便を感じない 92.3 72.7 64.0 48.4 42.0
100 100 100 100 100

また、「最寄りの駅・バス停までの徒歩の時間」で見ると、時間が長くなるにつれ「さほど不便を感じない」の回答が減少する。「通院」、「旅行」が不便になったとする回答は時間が長くなるにつれ増加する(表3)。

【表3】運転免許を保有しなくなって不便になったこと(最寄りの駅・バス停までの徒歩の時間別)

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  5分未満 5~10分未満 10~15分未満 15分以上
通勤 0.3 0.0 0.0 1.1
仕事・業務 0.5 0.5 0.0 1.1
買い物 17.7 17.3 18.8 22.1
食事(外食) 1.3 1.1 0.7 1.1
通院 4.9 5.1 6.7 10.5
趣味・サークル 1.0 3.5 2.0 2.1
家族・友人宅への訪問 4.7 5.1 6.7 0.0
旅行 7.3 7.5 8.1 11.6
その他 2.6 1.9 4.0 2.1
さほど不便を感じない 59.7 58.0 53.0 48.4
100 100 100 100

(4) 総合的にみて、運転免許を保有しなくなったことに対してどうお考えですか

運転免許を返納したことについては、回答者全体の23.2%が「大変良かった」、52.1%が「よかった」と回答しており、それらの合計は75%を超えた。一方、「よくなかった」と「大変よくなかった」の合計は2.8%であった。結果として、回答者は、免許返納したことを概ねポジティブに捉えていると窺える(図4)。

【図4】運転免許を保有しなくなったことの評価

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図5では、「最寄りの駅・バス停までの徒歩の時間」別に評価の違いを見た。「15分以上」の回答者の「大変良かった」および「よかった」の回答の合計は63.2%となっている。これは「5分未満」の回答者の値である76.1%と12.9ポイントもの開きがある。
また、「15分以上」の回答者の「大変良くなかった」および「よくなかった」の回答の合計は7.4%となっている。これらの結果から、公共交通機関へのアクセスの良さが、運転免許返納に影響していることが窺える。

【図5】運転免許を保有しなくなったことの評価(最寄りの駅・バス停までの徒歩の時間別)

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2. 2019年運転免許返納調査の結果との比較

(1) 運転免許を保有しなくなった理由

ここでは、図1で示した回答者の「運転免許を保有しなくなった理由」の調査結果と、2019年8月実施の調査結果を比較した。図6にあるように、「運転をしていなかった(ペーパードライバー)」の回答は2021年の結果が27.7%となっており、2019年の結果に対して4.1ポイント増加している。また、「高齢者による重大事故のニュースを耳にした」の回答については2021年の結果が20.3%となっており、2019年の結果に対して4.2ポイント増加している。

【図6】運転免許を保有しなくなった理由(2021年、2019年)

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(2) 運転免許を保有しなくなって良かったと感じたこと

運転免許を保有しなくなったメリットの調査結果(図2)と、2019年8月実施の調査結果を比較した。図7にあるように回答の傾向は概ね変わらなかった。ただし、メリットが「特にない」とする回答は2019年が20.1%、2021年が24.1%と4.0ポイント増えている。
なお、免許返納に対するメリットは、そもそも自動車を運転していなかった元ペーパードライバーにとっては少ない(メリットが「特にない」)と考えられる。

【図7】運転免許を保有しなくなってよかったこと(2021年、2019年)

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(3) 運転免許を保有しなくなって最も不便を感じたこと

運転免許を保有しなくなったデメリットの調査結果(図3)と、2019年8月実施の調査結果を比較した。図10にあるように、回答の傾向は概ね変わらない。ただし、「さほど不便を感じない」とする回答は、2019年が53.8%、2021年が57.0%と3.2ポイント増えている。
なお、前項と同様に、免許返納に対するデメリットは、そもそも自動車を運転していなかった元ペーパードライバーにとっては少ない(「さほど不便を感じない」)と考えられる。

【図10】運転免許を保有しなくなって最も不便を感じたこと(2021年、2019年)

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(4) 運転免許を保有しなくなったことの評価

「運転免許を保有しなくなったことの評価」の調査結果(図4)と、2019年8月実施の調査結果を比較した。図9にあるように、ポジティブな評価の傾向は概ね変わらない。2021年の「大変よかった」および「よかった」の回答の合計は75.3%となっており、2019年の73.4%を1.9ポイント上回っている。

【図9】運転免許を保有しなくなったことの評価(2021年、2019年)

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以上