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MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社
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気候変動リスク分析ベンチャーJupiter IntelligenceとのTCFD向け気候変動影響定量評価サービスを開始
~気候変動による自然災害リスクの影響を全世界対象に評価~

2020年7月7日

MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社
MS&ADインターリスク総研株式会社

MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社(取締役社長 グループCEO:原 典之)およびMS&ADインターリスク総研株式会社(取締役社長:中村 光身、以下「MS&ADインターリスク総研」)は、米国のJupiter Intelligence(CEO:Rich Sorkin、以下「Jupiter社」)と連携し、「TCFD向け気候変動影響定量評価サービス」の提供を7月から開始します。

今般、Jupiter社は、気候変動に伴い甚大化が想定される洪水や風災等の自然災害リスクについて、全世界を90メートル四方単位の精度で分析するシステムを開発しました。すでに気候変動の影響評価で実績のあるMS&ADインターリスク総研は、Jupiter社との業務提携により、国内保険・金融グループとして初となる、全世界を対象とした気候変動影響定量評価サービスを提供します。

MS&ADグループは、企業の気候関連の情報開示に有効なツールの提供やコンサルティングを通じて、グローバルな課題である気候変動の「リスクを見つけお伝えする」取組を推進していきます。

1. 本サービスの概要・特長

(1) 概要

お客さまの事業拠点の位置情報をもとに、気温上昇ごとのシナリオ、時間軸、再現期間での各種災害指標/財務影響を高精度でシミュレートを行います。このアウトプットをもとに、TCFDの開示要求にもとづいた情報開示のご支援を行います。

(2) 特長

①全世界で高解像度の分析が可能

全世界を対象に自然災害を90メートル四方単位の精度で分析します。

②多様な自然災害の定量化

洪水、高潮、風災、熱波などの自然災害について予想される浸水深や最大風速などの指標を算出します。洪水、高潮についてはそれらの結果をもとに財務影響を概算することができます。

③超長期だけでなく短期的な予測も可能

100年後といった超長期の予測だけではなく、2020~2100年まで5年刻みで分析します。

<サービスご提供イメージ>

2. 業務提携とサービス開始の背景

頻発する異常気象により、世界はすでに大きな経済的損害を被っています。今後の世界平均気温の上昇により、異常気象による物理的なリスクはさらに高まります。企業経営にもそのリスクが波及する可能性があることから、金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、企業や金融機関に気候関連のリスクを財務情報として開示することを推奨する報告書を2017年に発表しました。国内でも2019年にTCFDコンソーシアムが立ち上がり、多くの企業で気候関連の情報開示に向けた取組みが進められています。

しかし、多くの企業は、自社に影響を及ぼす気候変動リスクを正確に把握できていないため、財務への影響について十分な開示が行われていないのが現状です。また従来は、脱炭素社会への移行に伴う社会経済予測による財務影響の分析が先行し、気候変動に伴い増加する自然災害の全世界の事業拠点に対する物理的リスクを分析するという観点では不十分な面がありました。企業が開示すべき気候関連の財務情報としては、自然災害の影響の算出に加え、その影響が事業活動にどのくらいのインパクトを与えるか、総合的かつ長期的な時間軸のなかで算定し、投資家に明示することが求められています。

これらの課題を解決するために、今般、気象モデルのエキスパートであるJupiter社と保険・金融グループ会社としてコンサルティングサービスの実績を重ねてきたMS&ADインターリスク総研が提携し、本サービスを提供することとなりました。これにより、お客さまの事業に影響を与える自然災害の予測と、それを踏まえた、より科学的根拠のある戦略策定および情報開示の支援が可能となりました。

なお、今回の連携を通じて、Jupiter社のマルチハザード予測をMS&ADグループの保険引受ポートフォリオ全体の気候変動影響評価に活用する方法も研究していきます。

3. Jupiter社について

通信衛星データを含む多様なデータを収集し、AI分析により自然災害発生を予測できる天候分野のスタートアップです。社員にはノーベル受賞機構であるIPCC※1の研究者や、70か国で使用されている世界的に有名な海洋循環モデル(“Princeton Ocean Model”)発案者が在籍しています。

MS&ADグループは2019年にMS&AD Venturesを通じて同社に出資しており、今回の連携による新サービスの開発・開始につながったものです。

以上

MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社について

MS&ADホールディングスは、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社などのグループ保険会社を有する保険持株会社です。グローバル市場での業界トップ水準の保険・金融サービス事業を通じて、安心と安全を提供し、「活力ある社会の発展と地球の健やかな未来」を実現する価値創造企業として、世界50の国・地域で事業展開しています。未来のあるべき姿を目指し、ステークホルダーの皆さまと、社会的な価値の共創に取り組んでいます。

1 IPCC:国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)の略。人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988 年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織。2007年ゴア米国前副大統領と共にノーベル平和賞を受賞。