~安心・安全で快適なエアモビリティ社会の実現に向けて~
「空飛ぶクルマの社会受容性等に関する調査(第5回)」について
2026年7月27日
MS&ADインターリスク総研株式会社
空飛ぶクルマの認知度は上昇、実現性への懐疑はやや緩和傾向
利用意向の伸び悩みには安全面への不安が継続
MS&ADインシュアランス グループのMS&ADインターリスク総研(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮岡拓洋)は、空飛ぶクルマに対する消費者の意識や社会受容性を把握し、商品・サービスの高度化と新たな開発に活かすことを目的に、「空飛ぶクルマの社会受容性等に関する調査(第5回)」を実施しました。
弊社では、2020年9月、2021年8月、2024年2月および2025年2月に、移動に関するさまざまな課題を解決する次世代モビリティとして期待される空飛ぶクルマに関して調査を実施し、今回2026年2月にも空飛ぶクルマの社会受容性等に関する調査を実施しました。
本調査および過去調査結果から、空飛ぶクルマという言葉を「聞いたことがある」と回答した割合は、2025年2月から2026年2月にかけて上昇しました。また、「空飛ぶクルマは実現すると思う」と回答した割合は、例年どおり減少傾向にあるものの、前年調査と比べて減少幅は緩やかになり、「実現するとは思わない」と回答した割合も初めて減少に転じました。2025年4月から10月にかけて開催された大阪・関西万博において、空飛ぶクルマのデモ飛行や機体展示が行われ、各種報道やSNS等を通じて露出が増加したことが、認知度の上昇や実現性への意識の変化に影響したと考えられます。
一方で、「空飛ぶクルマ」を「利用したい」と回答した割合は、2021年8月調査で59.0%と最も高かったものの、その後は低下傾向で推移し、2026年2月調査では49.3%となりました。自宅の上を空飛ぶクルマが飛ぶ場合の不安については、昨年度と同様に、墜落や落下物、セキュリティ面への不安が高く、こうした不安が残っていることが、名称の認知が広がっても利用意向の低下につながっていると考えられます。
なお、空飛ぶクルマの実現に向けて国土交通省では、「空の移動革命に向けたロードマップ」に基づき、機体や運航の安全基準、操縦者の技能証明、離着陸場等の基準の整備および、空飛ぶクルマの初期運航に必要な情報提供・モニタリング等を行うための施設整備等を進めています。
今回の調査結果を踏まえて、弊社はこれまでの次世代モビリティ領域におけるリスクマネジメントに関する知見を活用するとともに、次世代エアモビリティサービスの安全性・社会受容性向上に加え、サービスの普及による地域のさまざまな課題の解決に貢献していきます。
1. 「空飛ぶクルマ」に関する意識調査
(1)調査の概要
①調査方法:Webによるアンケート
②調査対象:15歳~89歳の男女個人
③回答数:2,800人
「グループ①」東京都・大阪府在住者:800人、
「グループ②」長野県・大分県在住者:800人、
「グループ③」山梨県・石川県在住者:800人、
「グループ④」上記以外の在住者:400人。
性別、年代がほぼ均等となるよう割付を実施
④実施時期:2026年2月
(2)調査の背景、目的
①背景
空飛ぶクルマの社会実装に向けて、2018年より「空の移動革命に向けた官民協議会」が設置されました。空飛ぶクルマが重要な政策と位置付けられ、政策や法整備の検討が進められています。また自動車や鉄道のように身近な存在としての日常の移動など居住区近くでの運航の他、中山間地帯や離島での移動、観光(空港や駅から観光地への移動を含む)、災害時の救助など、さまざまなユースケースも検討されています。
空飛ぶクルマの社会実装には、ネガティブなイメージをもっている人の受容性を高めるための課題とその克服のための条件を見極めることが必要です。そのためには、社会(利用者を含む)がこの新しいモビリティに関する官民等の動きをどう受け止め、何を期待し、何に不安を覚えているのかを理解することが重要です。
②目的
(ア)日常利用するモビリティに対する不満や期待を明らかにしつつ、「空飛ぶクルマ」に対する期待や不安・課題などを浮き彫りにする。
(イ)「空飛ぶクルマ」に対して、回答者の属性によって異なる意見等を持っているとの仮説のもと、期待や不安・課題などを浮き彫りにする。
【今回考慮した属性】
(a)住所(都道府県、郵便番号)
(b)性別
(c)年齢
(d)職業
(e)年収
(ウ)過去データと比較し経年変化を把握する
③調査項目
調査項目は以下のとおりとし、計47問の質問を行いました。
・日常利用するモビリティの課題と期待するソリューション
・「空飛ぶクルマ」に関する認知度と実現への期待
・利用者としての期待・不安
・社会としてのベネフィット・不安
(3)調査結果の概要
①2024年2月から2025年2月にかけては、空飛ぶクルマという言葉を「聞いたことがある」と回答した割合はほぼ横ばいでした。一方、2026年2月は2025年2月に比べて、「聞いたことがある」と回答した割合が7.0ポイント上昇しました(図1)。

図1 空飛ぶクルマの認知度
②「空飛ぶクルマは実現すると思う」と回答した割合は、例年どおり減少傾向にあるものの、2025年2月調査では前年差が-5.2ポイントだったのに対し、2026年2月調査では-1.6ポイントとなり、減少幅は緩やかになりました。また、「実現するとは思わない」と回答した割合は、例年増加傾向にありましたが、2026年2月調査では初めて減少(-0.4ポイント)に転じました(図2)。

図2 空飛ぶクルマの実現可能性
③「利用したい」と回答した割合は、2021年8月調査で59.0%と最も高かったが、その後は低下傾向で推移し、2026年2月調査では49.3%となりました(図3)。

図3 空飛ぶクルマの利用意向
(4)まとめ
①今回の調査により、利用者を含む社会が、現在の移動手段に対して抱いている不満や課題、「空飛ぶクルマ」に対する期待、不安について地域や属性等の特性を踏まえた結果を示すことができました。
②社会受容性の観点からは有事の際のスキームや不安要素についての対策に取り組む必要があることを、明らかにすることができました。
③「空飛ぶクルマ」の社会実装に向け、市場性、社会受容性双方を高めるための課題とその克服のための条件を理解し、特に利用者の立場においては、地域、属性等の特性を踏まえた対策を講じる必要があると考えられます。
2. 今後の取組みについて
今後は、弊社で過去に実施した調査との比較によって、日本と海外の利用者/社会の意識の差や認知度の差等を分析するとともに、継続的な調査を行うことで、MS&ADインシュアランスグループとして、安心・安全な「空飛ぶクルマ」の社会実装に向けた社会課題の解決に貢献していきます。
以上