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英国ベンチャーGentian社との提携により自然資本の高精細な可視化・定量評価サービスの提供を開始~TNFD開示に向けた拠点における自然へのインパクト・リスク・機会の定量化分析を支援~

2025年2月28日
MS&ADインターリスク総研株式会社

MS&ADインシュアランス グループのMS&ADインターリスク総研株式会社(代表取締役社長:一本木 真史)は、英国ベンチャーGentian(CEO: Daniel White、以下「Gentian社」)との提携を結び、TNFD※1開示に向けた高精細な自然資本の可視化・定量評価サービスの提供を開始しました。

Gentian社は欧州宇宙機関(ESA)の支援を受けて設立され、リモートセンシング、AI、生態学の専門家による自然資本の定量評価に関するサービスを提供しています。

本サービスでは、Gentian社が有する高解像度(最大5cm)のリモートセンシング画像とAIを活用した高度な技術により、企業の操業拠点やバリューチェーンなどの活動地域周辺の生態系や生息地の面積、分布状況、接続性などの詳細な分析が可能となります。その結果を活用して、TNFDに基づく開示やネイチャー・ポジティブを目指す取り組みの定量評価に活用できます。

またMS&ADインターリスク総研は、四半世紀にわたり生物多様性・自然資本分野のコンサルティングを手掛けています。2022年からはTNFD関連コンサルティングの提供を開始し、これまでに19業種40社の支援実績があります。両社の技術と経験を合わせて、より高品質なコンサルティングを提供してまいります。

図 Gentian社による分析結果と他社製品との比較

図 Gentian社による分析結果と他社製品との比較

1. 本サービスの背景

生物多様性の劣化が進む中、多くの企業はTNFDの提言に沿って、自然関連課題(依存、インパクト、リスク、機会)への対応を進めています。一方、自然関連課題は地域の固有性が強く、TNFDは地域や状況に応じた評価や対応を求めています。現状、企業が自社拠点等の評価を行う際に用いられる自然関連のオープンソースデータは約1km×1kmの解像度に留まっていることが多く、詳細にその場所の状態を分析するには不十分です。

昨年10月に開催された生物多様性条約第16回締約国会議(CBD-COP16)では、Nature Positive Initiative(NPI)※2より「自然の状態(State of Nature)」の国際的な開示指標案が発表されました。この指標では、リモートセンシングを利用した精緻な分析が求められます。最低でも30m×30mの解像度が必要とされ、現行のオープンソースデータでは対応が極めて難しい内容となっています。

Gentian社では独自の先端技術を活用し、高精細なリモートセンシング画像解析による自然の分布や広がりの詳細な分析が可能です。本サービスでは、企業において自然資本に関する定量評価を行っていく上で、State of Nature指標の基準を満たした精緻なデータに基づく高水準の分析サービスを提供します。

2. サービス概要

本サービスは、Gentian社の解析技術に基づき、企業の操業拠点やバリューチェーンの上下流における自然の現状分析とその変化のモニタリングを行います。分析・評価項目は以下の通りです。

本サービスを通じて、企業における自然資本に対するインパクトやリスク・機会の定量的かつ高精度での評価が可能となり、LocateやEvaluate、Assessフェーズにおける分析精度の飛躍的な向上が期待されます。

分析評価項目

No. サービス 概要
1 生息地マップによる分析 生息地に関する詳細な地図の提供と面積の計算・定量評価およびリスク要因の定性評価(高、中、低)をします。
2 Gentian生物多様性ユニット(GBU)※3による分析・評価 対象拠点における生物多様性の価値を当社の指標に基づき定量化します。
3 接続性(Connectivity)の分析・評価 自然生息地との近接性の特定を目的とした自然の接続性を示すマップを提供します。
4 変化/傾向/リスクの特定 生態系のタイプと状態の変化を推定します。生物多様性の保全と回復の計画を行うための生物多様性に関する定量評価を行います。

1:自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD):
企業や金融機関が自然に関連するリスクや機会をより適切に評価し、それに関する情報を開示するためのガイドラインやフレームワークを提供する国際的なイニシアティブ。自然に関連するリスクが経済や企業活動に与える影響を理解し、管理するための一助とすることを目指しています。

2:Nature Positive Initiative(NPI):
自然保護団体、研究機関、企業、金融連合27団体からなるイニシアティブ。「ネイチャー・ポジティブ」という言葉そのものや定量化指標の定義や整合性の調整を進めることを目的としている。

3:Gentian生物多様性ユニット(GBU):
英国の生物多様性ネットゲイン政策(BNG)で用いられている生息地評価指標を参考に、生物の生息地としての価値を評価するGentianによって開発された指標。生息地面積に土地利用区分(建造物や開発地、耕作地など)に基づく生息地スコアを乗じて算定し、指標値としています。

以上

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