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「金融機関向けTNFDコンサルティングサービス」の開始について

2025年1月17日
MS&ADインターリスク総研株式会社

MS&ADインシュアランス グループのMS&ADインターリスク総研株式会社(社長:一本木 真史)は、2025年1月より「金融機関向けTNFDコンサルティングサービス」の提供を開始しました。本サービスは金融ポートフォリオの定量的な分析を核とし、銀行や機関投資家のTNFD開示提言を踏まえた取り組みを支援することを目的としています。

1. 背景

2023年9月に自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、自然関連課題(依存、インパクト、リスク、機会)を評価・マネジメント・開示するためのフレームワークを公表しました。2024年6月には、TNFDに沿った開示を行うことを宣言するTNFDアダプターが世界416社・機関(日本109社・機関)に達しています。さらに2024年4月に国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は、次の検討テーマとして自然資本を選定するなど、TNFDは着実に主流化しつつあります。
MS&ADインターリスク総研は、四半世紀にわたり生物多様性・自然資本コンサルティングを提供しており、自然関連課題を分析する知見を多数有しています。これら知見に基づき、2022年からTNFD関連コンサルティングの提供を開始し、これまで金融機関を含む17業種35社※1を支援した実績があります。
TNFDは金融機関向けの業種別ガイダンスを公表しており、金融機関は投融資ポートフォリオの各種分析など、事業会社とは異なる対応が求められます。そのため、MS&ADインターリスク総研は金融機関に特化したサービスを開発しました。

2.サービス概要

本サービスはTNFD開示提言やLEAPアプローチ※2を踏まえて、お客様の金融ポートフォリオ(投融資、不動産など)に関して、業種レベルでの自然関連課題のスクリーニング、TNFDが提示している要注意地域基準に沿った分析、特定した重要業種に関する詳細な分析、リスク・機会の特定など、一連のフローをご支援するものです。

サービスの全体像
サービス例➀:5-A.自然の観点での優先地域の特定(直接操業、保有不動産)

TNFDの優先地域の基準に則した各種指標を重ね合わせて、直接操業拠点や保有不動産の優先地域を特定します。また、都市域の拠点・不動産については、「都市の生物多様性」の観点や日本固有の高精度な自然関連データを踏まえた評価を行います。

(アウトプットイメージ)

アウトプットイメージ

出典:MS&ADインシュアランスグループホールディングス「グリーンレジリエンスレポート2024」

サービス例➁:5-B.自然の観点での要注意地域の特定(金融ポートフォリオ)

金融ポートフォリオ内の各企業の操業場所とTNFDの要注意地域の基準に適う場所との接点を分析します。金融のセクター中核開示指標の一つ「要注意地域へのエクスポージャー」に活用できます。

(アウトプットイメージ)

アウトプットイメージ

出典:MS&ADインシュアランスグループホールディングス「グリーンレジリエンスレポート2024」

サービス例➂:7.自然への依存・インパクトの評価

1~6のプロセスで重要とされたセクターおよびそのバリューチェーンのプロセス、依存・インパクトの種類について、地理情報システム(GIS)や多地域産業連関モデル(MRIO)などを用いた詳細なロケーションベースでの分析を設計、実施します。

(アウトプットイメージ)天然ゴム産業の分析例

(アウトプットイメージ)天然ゴム産業の分析例

(分析協力:シンク・ネイチャー)

3.参考資料

RM FOCUS第91号「金融機関のTNFD開示におけるポートフォリオ分析の考え方と事例」、MS&ADインターリスク総研、2024年10月

1:2024年12月時点

2:TNFDが開発した、自然関連課題(依存、インパクト、リスク、機会)を評価するための統合的なアプローチ。以下の4つの大きなプロセスの頭文字を取ってLEAPと呼ばれる。
Locate(発見):地理、セクター、バリューチェーンのすべてにおける自然との接点を発見する
Evaluate(診断):自然に対する依存とインパクトを診断する
Assess(評価):組織に対する自然関連のリスクと機会を評価する
Prepare(準備):自然関連のリスクと機会に対応するために準備する

以上

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