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別紙

ニューノーマル時代のBCPに関するアンケート調査

2022年1月28日

MS&ADインターリスク総研株式会社は、「ニューノーマル時代のBCP」に求められる以下テーマに関するWEBセミナーを開催し、あわせて、セミナー視聴企業を対象にアンケート調査を実施しました。

Ⅰ. セミナー/アンケート実施概要

・テーマ
:ニューノーマル時代に求められるBCPの再構築
  1. 【1】テレワークが常態化しているなかでの「リモート対応を前提とした緊急時体制・手順の在り方」
  2. 【2】多様なハザード対応が求められているなかでの「オールハザード型BCPの構築のポイント」
・開催期間
:2021年10月18日(月) ~ 2021年11月15日(月)
・主催
:三井住友海上火災保険(株)、あいおいニッセイ同和損害保険(株)、MS&ADインターリスク総研(株)
・参加企業数
:144社(221名)
・アンケート回答数
:116社(157名) アンケート回答率80.6%

Ⅱ. 結果概要

1. テーマ【1】:リモート対応を前提とした緊急時体制・手順の在り方について

(1) 緊急時対応のテレワーク活用率

緊急時対応のテレワークの活用について一定整理し、何らかの工夫をしていると回答した企業の割合は約78%、また、テレワーク活用に関心があると回答した企業の割合は約93%であった。

コロナ禍によって、企業にテレワークが急速に浸透し定着したが、企業の本テーマへの関心は相当高く、様々な工夫に取り組んでいる状況が確認された。

(2) テレワーク活用における緊急時体制・手順整備における工夫の内容

緊急時対応においてテレワークを活用する体制や手順の整備において、工夫のポイントとして以下の4点が挙げられるが、各ポイントに関する工夫の実施割合ならびに関心割合は【表1】のとおり。

【表1】テレワーク活用のポイントごとの工夫の実施割合と関心割合

工夫のポイント 実施割合 関心割合
① 既存対応事項を分析して、原則として現場で対応すべき事項、テレワークで対応可能な事項、現場とテレワークを組み合わせて対応すべき事項等を整理 32.7% 60.2%
② WEB会議システム、SNS、電話等のコミュニケーションツールを複数準備し、活用局面を整理 57.5% 47.8%
③ 情報を整理・共有するためのフォーマットをWEB会議システムに配置する等、関係者が適時情報を更新・確認できる仕組みの構築 24.8% 49.6%
④ 緊急時対応にテレワークを活用する前提で訓練・教育を実施 31.9% 46.0%

4点のポイントの中でも、「② WEB会議システム、SNS、電話等のコミュニケーションツールを複数準備し、活用局面を整理」を実施している企業の割合は約58%を占め、突出して高いことが確認された。

なお、本ポイントへ関心があると回答した企業のうち、関連する工夫の実施済企業の割合が約69%であるのに対して、実施未済企業は約31%と大きく乖離があり、取組姿勢が二極化している点に留意が必要である。

2. テーマ【2】:「オールハザード型BCP」の構築のポイント

(1) 複数のハザードに対応するBCPの整備率

複数のハザードに対応するBCPを一定整理し、何らかの工夫をしていると回答した企業の割合は約78%、また、複数のハザードに対応するBCPの整備に関心があると回答した企業の割合は約96%であった。

近年のコロナ禍や大水害等の発生によって、大地震等単一のハザードのみを想定したBCPの限界が指摘されて久しいが、企業の本テーマへの関心は相当高く、様々な工夫に取り組んでいる状況が確認された。

(2) 複数のハザードに対応するBCP構築における工夫の内容

複数のハザードに対応するBCP構築において、工夫のポイントとして以下の4点が挙げられるが、各ポイントに関する工夫の実施割合ならびに関心割合は【表2】のとおり。

【表2】複数のハザードに対応するBCP構築のポイントごとの工夫の実施割合と関心割合

工夫のポイント 実施割合 関心割合
① ハザードごとに必要な初動対応(人命安全確保・防災減災等)手順の整理において、フォーマットの共通化等省力化の推進 43.8% 67.0%
② 複数のハザードを想定した被害情報の収集体制やフォーマットの準備 46.4% 60.7%
③ 被災した拠点以外の拠点で事業を継続する・在庫を積み増ししておく等、あらゆるハザードで活用可能な戦略の構築 38.4% 52.7%
④ 上記戦略構築の局面を絞り込むことによるコスト・手間の削減 9.8% 35.7%

4点のポイントの中で、突出して実施割合が高いものはないが、「③ 被災した拠点以外の拠点で事業を継続する・在庫を積み増ししておく等、あらゆるハザードで活用可能な戦略(以下、「現地復旧戦略以外の戦略」)の構築」にあたり、「④ (かかる)戦略構築の局面を絞り込むことによるコスト・手間の削減」まで実施している割合は約10%と、突出して低いことが確認できた。

なお、本ポイントは、「③ 現地復旧戦略以外の戦略」構築の阻害要因がコスト・手間にあると分析したうえで、今回スポットを当てて確認したものであるが、関心があると回答した企業割合が約36%もあり、今後浸透することを期待したい。

Ⅲ. 最後に

今回アンケートでとりあげたテーマについては、いずれも、企業の関心が高いことは間違いなく、様々な工夫に取り組んでいる状況が確認できた。一方で、これらテーマを推進するにあたって押さえるべきポイントごとに見てみると、関連する工夫を実施している企業割合が50%を超えるポイントは1点しかない。本テーマについては、まだまだブラッシュアップする余地が大きいことをご認識いただいたうえで、出来ることから着実に対策を進めていただくことを推奨したい。

以上