トピックス

~安心・安全で快適なエアモビリティ社会の実現に向けて~
「空飛ぶクルマの社会的受容性等に関する調査」について

2020年10月01日

MS&ADインターリスク総研株式会社

空飛ぶクルマの認知度は64.1%
普及のポイントは安全性の確保に加え、消費者の理解の深まり

MS&ADインシュアランス グループのMS&ADインターリスク総研(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中村 光身)は、空飛ぶクルマに対する消費者の意識や社会的受容性を把握し、商品・サービスの高度化と新たな開発に活かすことを目的に、先日エアモビリティ分野での業務提携(※)を締結した日本航空株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:赤坂 祐二)とMS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険株式会社(本社:東京都千代田区、取締役社長:原 典之)のご協力のもと、「空飛ぶクルマの社会的受容性等に関する調査」を実施しました。

弊社では2016年から「自動走行システムの社会的受容性等に関する調査」を行ってきましたが、今回、「自動走行システム」同様、移動に関する様々な課題を解決する次世代モビリティとして期待される「空飛ぶクルマ」に関して調査を実施したもので、調査の結果、「空飛ぶクルマ」が普及していくためには安全性の確保と消費者の「空飛ぶクルマ」に対する理解の深まりが重要であることが分かりました。

今回の調査結果を踏まえて、弊社はこれまでのCASE, MaaS領域におけるリスクマネジメントに関する知見を活用し、日本航空株式会社及び三井住友海上火災保険株式会社とともに、次世代エアモビリティサービスの安全性・社会的受容性向上に加え、サービスの普及による地域の様々な課題の解決に貢献していきます。

2020年9月29日付プレスリリース 「JAL、三井住友海上およびMS&ADインタ-リスク総研、次世代エアモビリティ分野で提携

1. 「空飛ぶクルマ」に関する意識調査

(1) 調査の概要

①調査方法
:Webによるアンケート
②調査対象
:10代~70代の男女個人
③回答数
:1,000人※性別、年代がほぼ均等となるよう割付を実施
④調査期間
:2020年9月

(2) 調査結果の概要

消費者の多くは「空飛ぶクルマ」への期待として、「移動時間の短縮」や「渋滞のない移動」、「救命・救急医療の迅速化」等を挙げており、離発着場として希望が多いのは「駅」が首位、以下「医療・福祉施設」、「自宅周辺」、「空港」、「観光地」と続いています。観光等での移動時間の短縮・渋滞のない移動に対する期待以外に自宅から各種医療・福祉施設へのスムーズな移動が切実に求められていることがうかがわれます。

一方、実証実験実施については是非実施しているところを見てみたいという回答が多いにも拘らず自分自身は試乗したくないという回答が多いことから、「空飛ぶクルマ」への関心はあるものの、安全性に関して不安を持っている消費者が多いことがうかがわれます。

「空飛ぶクルマ」に関してはまだ認知度もそれほど高くなく(約64%)、理解も深まっていない状況でありながら消費者の期待は大きいことから、今後も継続的な調査・研究が必要と考えられます。

(3) 調査結果の詳細

①「空飛ぶクルマ」の「認知度」

「空飛ぶクルマ」という言葉を聞いたことがある消費者の割合は64.1%でした。年代別では70代以上が一番高く(73.7%)、40代が一番低い(55.1%)という意外な結果となりました。高齢者は移動に関する関心が高いことがうかがわれます。「空飛ぶクルマ」について解説した上で、実現すると思うか尋ねたところ、実現すると思うという回答は57.8%でした。

<図1-1>「空飛ぶクルマ」の認知度

<図1-2>「空飛ぶクルマ」の実現度

②「空飛ぶクルマ」への「期待」

「移動時間の短縮」(612人)に対する期待が最も高く、以下「渋滞のない移動」(570人)、「救命・救急医療の迅速化」(341人)と続きました。また、空飛ぶクルマの離発着場として希望が多いのは、「駅」(410人)が首位、「医療・福祉施設」(349人)、「自宅周辺」(329人)、「観光地」(262人)、「空港」(255人)でした。

<図2-1>「空飛ぶクルマ」への期待

<図2-2>「空飛ぶクルマ」の希望離発着場

③どのような場面で利用したいか

利用したい場面として最も多かったのは、「急いでいる場面」(384人)でした。

<図3>「空飛ぶクルマ」の利用希望場面

④「空飛ぶクルマ」に対する「不安」

自分が乗るときにもっとも不安に思うのは、「機体の安全性」(551人)、次いで「自動操縦の安全性」(521人)、「トラブル発生時の対策」(493人)と続きました。

<図4-1>「空飛ぶクルマ」の不安(自身が乗る場合)

また、「空飛ぶクルマ」が自宅上を通過する場合、もっとも不安なのは「墜落した場合の人命、財産に対する甚大な被害」(903人)、次いで「落下物」(641人)、「騒音問題」(532人)でした。

<図4-2>「空飛ぶクルマ」の不安(自宅上を通過するとき)

⑤「安心」するためには「緊急時においても確実に着陸できること」と「丁寧な説明」

安心感が増すと思う装備・機能について尋ねたところ、「緊急時着陸機能」(695人)が最も多く、以下、「緊急時状況・対処方法説明機能」(530人)、「緊急時通報機能」(491)人、「「空飛ぶクルマ」の安全に関する説明機能」(486人)と続きました。「パラシュート」といった安全装備よりも「緊急時状況・対処方法説明機能」や「「空飛ぶクルマ」の安全性に関する説明機能」といった丁寧な説明の方が安心感が増すことが分かりました。

<図5>安心できる「空飛ぶクルマ」の装備・機能

⑥実証実験実施の是非と自身が乗りたいかは別

実証実験の実施については「是非実施しているところを見てみたい」(38.2%)が、「絶対に実施してほしくない」(12.3%)を大きく上回ったものの、試乗を希望する回答者は少なく(5以上が37.4%)、「空飛ぶクルマ」への関心はあるが、安全性に関しては不安を持つ消費者が多いことがうかがわれます。また、実施の是非について年代別では20代以下で「見てみたい」としたのが29.5%に対して、70代以上では46.7%と、年代の高い回答者の方が実証実験へのプラス面での関心が高いことが分かりました。

<図6-1>実証実験の実施是非

<図6-2>実証実験での試乗希望

⑦「空飛ぶクルマ」の普及に向けた保険会社への期待

「空飛ぶクルマに対応した、漏れのない補償」と回答された方が662人と最も多く、次いで「警察や機体メーカー等と連携した適切な事故対応」と続きました。消費者は適切かつ確実に補償される制度、仕組み等を求めており、保険業界への期待が大きいことが分かりました。

<図7>保険会社への期待

2. 今後の取組みについて

MS&ADインシュアランス グループでは、今後の空飛ぶクルマの普及に向け、空飛ぶクルマに関する消費者の認識度合いや社会的受容性を正しく理解するために、今後も調査・研究を継続的に行い、より実態に即した保険商品やリスクマネジメントサービス等の提供を通じて、安心・安全で快適なエアモビリティ社会の実現に貢献していきます。

以上