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~BEworks社との協業によりサイバーリスクへの防御力を養成~
行動経済学を応用した標的型メール訓練サービスの提供を開始

2020年5月21日

三井住友海上火災保険株式会社
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
MS&ADインターリスク総研株式会社

MS&ADインシュアランス グループの三井住友海上火災保険株式会社(社長:原 典之)ならびにあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(社長:金杉 恭三)、MS&ADインターリスク総研株式会社(社長:中村 光身)の3社は、5月21日から、BEworks Inc. ※1(CEO:ケリー・ピーターズ、以下「BEworks社」)との共同研究による、新たな標的型メール訓練サービスの提供を開始します。

標的型メール訓練では、実際の攻撃を模したメールを受信することにより、受信者の開封率低下を促すとともに、受信時の適切な対応を実践・習得することが期待されます。しかし、メールの開封率ばかりに注目し、不審メール開封の有無にかかわらず「取るべき行動」ができなかった者に対して十分なフォローアップが行われていないケースが散見されます。

本サービスは、個人ごとに対応を評価して適切な教育機会を提供するとともに、行動経済学※2の代表的な考え方である「ナッジ」を応用して、従業員の「学び」のモチベーション向上も図ります。

MS&ADインシュアランス グループは、今後もグループ各社のノウハウを結集し、多様化するお客さまニーズに応える商品・サービスの開発を積極的に進めていきます。

1. サービス開発の背景

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受けて、多くの企業でテレワークが推進されている一方、総務省「テレワークセキュリティガイドライン第4版(平成30年4月)」でも指摘されている通り、テレワーク勤務者のルール遵守や本人の自覚が重要です。

その中でも、情報セキュリティ上の重大な脅威である「標的型攻撃による機密情報の窃取」等へのルール徹底や個人の意識向上などの備えは、企業のリスクマネジメントにとって極めて重要な取組課題となっています。こうした状況を踏まえ、3社は、本サービスの提供を開始しました。

2. サービスの概要

本サービスでは、これまでの標的型メール訓練サービスの課題を解決するため、標的型攻撃を巧妙に模した「訓練メール」を対象者に送信し、個人ごとに対応を評価して適切な対応が行える教育機会を提供します。また、行動経済学の代表的な考え方である「ナッジ」を活用することで、従業員の「学び」のモチベーション向上も図ります。

<3つのStepによるサービス提供のイメージ>

Step1:事前学習メールNEW

訓練メールを送信する前に、事前学習メールを送信し、行動経済学の手法を踏まえた効果的な学習を促します。オリジナルの四コマ漫画等のツールを活用し、「つい読みたい=学習したい」という行動を引き出すとともに、該当ページにアクセスしている時間を計測し、個人の学習の深度も把握します。

Step2:訓練メールRENEWAL

訓練で誤った対応をした訓練参加者が今後適切な対応を行えるよう、新たに行動経済学の手法を踏まえた行動変容を促す仕掛けを導入します。何をすればよいか一目瞭然で、今後迷わずに行動できるような学習コンテンツを提供します。

Step3:事後学習メール(種明かしメール)NEW

訓練終了後に事後学習メールを送信し、訓練の目的や不審メールの特徴、引っ掛かりやすいポイントを学習することで、訓練で誤って標的型メールを開封した方だけでなく、正しく対処できた方にも、さらなるレベルアップの機会を提供します。

<SAFE Assureイメージ>

3. 期待される効果

(1)複数の学習機会の提供によるリテラシーの向上

事前学習メールにより標的型攻撃メールの脅威や特徴に関する知識を身に付けた上で、訓練に臨むことができます。また、適切な対応ができた方にもできなかった方にも、訓練後の事後学習メールにより振り返りの機会を提供します。

(2)リスク感度や学習の深度に応じたフォローアップの実現

参加対象者ごとに訓練メール開封有無や各学習コンテンツの閲覧時間を記載した標的型メール訓練報告書を提供します。各人の不審なメールに対するリスク感度や学習の深度に応じたフォローアップに活用できます。

(3)簡単操作による準備作業の負担軽減

企業が自前で実施するにはツール作成等に多大な労力を必要としますが、本サービスでは、すべてのツールをワンストップで提供します。訓練を希望する企業の担当者は、「訓練参加者リストのシステムへのアップロード」と「3つのStepによるメールの送信」だけで訓練が実施できます。

4. 利用方法

三井住友海上またはあいおいニッセイ同和損保の営業課支社や代理店にお問い合わせください。

添付別紙:情報セキュリティ10大脅威 2020・脅威ランキング[組織編]

(ご参考)

※1:BEworks社の概要

2010年にカナダのトロントで設立された、科学的思考と行動経済学を用いてビジネスの課題解決を支援するコンサルティング会社です。同社は、行動科学、認知心理学、社会心理学、神経科学の専門家によって構成されており、科学的根拠に基づく生活者心理を明らかにし、マーケティングや新商品開発、価格設定等、幅広い経営上の課題解決を提案・実証しています。

※2:行動経済学

人がさまざまな経済活動において、どのように選択・行動し、その結果どうなるかを究明するため、実際の行動を実験を通じて観測することを重視した経済学の一分野です。人は必ずしも合理的な判断にもとづき行動するものではないという前提にたち、人の行動や意思決定の在り方を研究しています。
中でも、「ナッジ(nudge:肘で軽くつつくという意味)」と呼ばれる手法に関心が高まっており、人の心理的な行動原理を利用して、強制や規制、金銭的なインセンティブのみに頼ることなく、人がより良い選択をすることを狙った手法です。

以上