トピックス

2020年1月20日

MS&ADインターリスク総研株式会社

~安心・安全で快適なモビリティ社会の実現に向けて~
第4回「自動走行システムの社会的受容性等に関する調査」について

自動運転技術やMaaSへの期待は高まる傾向に!
普及のポイントは安全性の確保に加え、サービスの品質とコストのバランス

MS&ADインシュアランス グループのMS&ADインターリスク総研(社長:中村 光身)は、自動運転車に対する消費者の意識や社会的受容性を把握し、商品・サービスの高度化と新たな開発に活かすことを目的に、第4回目となる「自動走行システムの社会的受容性等に関する調査」を実施しました。

過去の調査結果と比較した結果、交通事故の減少等、自動運転技術の実用化に対して期待する声が引き続き高いことに加え、公道実証実験の実施に賛成する方が増えている等、自動運転技術の実用化に対する期待感がさらに高まっていることが窺えます。一方で、昨年度比では減少しているものの、自動運転技術・性能・セキュリティに起因する事故等を不安視する声も寄せられております。

また、本年度はMaaS(Mobility as a Service)に関しての調査を追加しました。MaaSという言葉の知名度はまだ低いですが、提供されるサービスや、それらによる課題解決への期待は高いことが判明しました。

これらの新たな技術やサービスが普及するには、安全性の確保に加え、サービスの品質とコストのバランスをどのようにとっていくかが重要になってくるものと考えられます。

今回の調査結果も踏まえて、MS&ADインシュアランス グループは、今後も商品・サービスの提供を通じて、安心・安全で快適なモビリティ社会の実現に貢献していきます。

1. 自動運転車に関する意識調査

(1)調査の概要

①調査方法
Webによるアンケート
②調査対象
10代~70代の男女個人
③回答数
1,000サンプル

性別、年代がほぼ均等となるよう割付を実施

④調査期間
2019年6月~11月

(2)調査結果の概要

昨年度調査結果と同様、消費者の多くは自動運転技術の実用化への期待として、「交通事故の減少」や「高齢者等の移動支援」、「運転負荷の低減」等を挙げており、公道実証実験実施にも過半数の方が賛成しています。一方で、自動運転技術に対する不安は、昨年度調査結果と比較した場合、全体として不安感の減少傾向があり、車両価格や維持費の高騰に関する回答が増えた結果となりました。こうした「期待」と「不安」、安全運転支援システム等の広がりから消費者の自動運転車の購買意向が慎重な態度から積極的な態度へ変化しつつあることが分かり、今後も継続的な調査・研究が必要と考えられます。

(3)調査結果の詳細

①高まる自動運転技術に対する「期待」

昨年度調査結果と同様、「交通事故の減少(76.4%)」に対する期待が最も高く、次いで「高齢者等の移動支援(74.5%)」、「運転負荷の低減(74.3%)」、「過疎地における公共交通機関の代替(67.2%)」との順に続いており、多くの項目において昨年度比で上昇しました。特に本年度は高齢者の移動支援や過疎地での移動手段への期待の高まりが他の項目と比べ伸び幅が大きい点が特長的です。

<図1>自動運転技術の実用化に対して期待する内容

<図1>自動運転技術の実用化に対して期待する内容
②自動運転技術に対する「不安」は昨年度比減少

自動運転技術に対する不安を尋ねたところ、「自動運転システム故障時の暴走・交通事故(68.3%)」に対する不安が最も高く、次いで「自動運転システムの不十分な性能による交通事故(66.2%)」、「購入時の車両価格の高騰(65.9%)」と続く結果となりました。全体として、すべての項目において不安の割合は減少しました。また、車両価格の高騰や維持費の高騰への不安感が「サイバー攻撃による暴走・交通事故」を上回る結果となりました。

<図2>自動運転技術に対して不安に感じる内容

<図2>自動運転技術に対して不安に感じる内容
③自動運転車サービスへの期待(新規)

自動運転車が実現した場合にどのようなサービスを利用したいか尋ねたところ、「情報提供サービス」(目的地の情報収集など)が49.7%と高く、次いで「快適な空間提供サービス」(49.4%)、「長距離移動サービス」(47.4%)が続きました。今後自動運転技術の進展に伴い様々なサービス展開が具体化されることが想定され、従来と異なるリスクの出現が見込まれるため、引き続き動向を注視する必要があると考えます。

<図3>自動運転車サービスへの期待

<図3>自動運転車サービスへの期待
④公道実証実験実施の是非は「賛成」が過半数

昨年度調査結果と比較した場合、「肯定的な意見」が全体の59.5%であり、否定的な意見(16.1%)、「どちらでもない」と回答した層(24.4%)を大幅に上回り、引き続き多くの消費者が自動運転実現に期待していることが窺えます。

<図4>公道実証実験実施の是非についての反応

<図4>公道実証実験実施の是非についての反応
⑤「周囲の理解」「周囲の行動」を踏まえた実験計画が必要

実証実験中の自動車に遭遇した際、「近づかない」と回答した方が62.8%と高い割合である一方で、「しばらく追走してみる」「接近して観察する」「ちょっかいを出してみる」と回答された方は40.5%と昨年度(37.5%)から増加しています。引き続き、公道実証実験を行う際には、地域住民の方々の理解を得るだけでなく、周囲のドライバー等の行動を考慮した実証実験計画の立案、リスク低減策の検討が必要と考えられます。

<図5>公道実証実験中の車両に遭遇した場面での行動

<図5>公道実証実験中の車両に遭遇した場面での行動
⑥自動運転技術の実用化における保険会社への期待

「警察や自動車メーカー等と連携した適切な事故対応」と回答した方が75.0%と最も多く、次いで「自動運転車に対応した、漏れのない補償内容」と続く結果となりました。消費者が確実に補償される制度、仕組み等を求めており、保険業界への期待が大きいことが分かりました。

<図6>保険会社への期待

<図6>保険会社への期待
⑦MaaS(モビリティアズアサービス)について(新規)

MaaSについて、言葉や考え方については知らない人が大半という結果となりました。MaaSの考え方を解説したうえでMaaSを利用したいか尋ねたところ、利用したいという回答は43.6%と、どちらでもない(32.5%)、利用したくない(23.9%)を上回りました。

<図7>MaaSの利用意向

<図7>MaaSの利用意向
⑧MaaSに期待する課題解決(新規)

MaaSを利用したいと回答した人に対し、MaaSにどのような課題解決を期待するか尋ねたところ、「公共交通の利用が増え、日常的な交通渋滞が緩和される」が66.7%と最も高く、「出発地から最寄りの公共交通機関まで移動しやすくなる」、「地方の移動手段が確保される」が続きました。

<図8>MaaSに期待する課題解決

<図8>MaaSに期待する課題解決

2. 今後の取組みについて

MS&ADインシュアランス グループは、今後の自動運転システムの普及に向け、自動運転システムの機能や性能限界等に関する消費者の認識度合いや社会的受容性を正しく理解するために、今後も調査・研究を継続的に行い、より実態に即した保険商品やリスクマネジメントサービス等の提供を通じて、安心・安全で快適な自動車社会の実現に貢献していきます。

以上