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国内上場企業の事業継続マネジメント(BCM)実態調査を実施

2019年02月26日

MS&ADインターリスク総研株式会社

MS&ADインシュアランス グループのMS&ADインターリスク総研株式会社(社長 村戸 眞)は、国内全上場企業3,535社に対し、事業継続マネジメント(Business Continuity Management:BCM)の実態調査を実施し、回答状況をまとめました。

本調査は2005年から実施しており、今回で8回目となります。東日本大震災、熊本地震や西日本豪雨などの大規模災害や、これらに起因するサプライチェーン途絶などを経験するなかで、日本企業のBCMに対する関心は年々高まっていると思われます。今回の調査結果からは、事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)策定への取り組みが、一旦鈍化していたものの、2016年熊本地震以降の大規模災害の頻度上昇に応じて、再び増加しているという傾向が見えてきました。また、BCPの策定にとどまらず、多くの日本企業におけるBCMの活動が、着実に広がってきていることも感じさせる結果になっています。

1. 調査の概要

  • 調査方法
    質問紙郵送法
  • 調査対象企業
    日本国内全上場企業 3,535社
  • 回答数
    352社(回答率:9.96%)
  • 調査期間
    2018年8月~9月

2. 調査結果

今回の調査による結果はグラフ上で「2018年度」と表記されています。また「前回調査」とは、2015年11~12月に弊社が実施した同種の調査結果を指します。

(1) BCP策定状況

問「貴社ではBCPを策定していますか」に対する回答状況

問「貴社ではBCPを策定していますか」に対する回答状況

2010年度以前については、「現在、策定中である」「策定の計画がある」の項目は統合されていた

BCPを策定している企業の割合は56.0%となりました。「策定中」「策定の計画がある」という回答も含めると、前回調査(2015年)から着実に増加しているといえます。

(2) BCPに関する訓練の実施状況

問「BCPに関する訓練を定期的に行っていますか」に対する回答状況

問「BCPに関する訓練を定期的に行っていますか」に対する回答状況

BCPに関する訓練を年1回以上実施している企業の割合は58.8%と、前回調査から5%弱増加しており、訓練は着実に浸透しているといえます。

(3) 大災害発生時に部品やサービスの提供を確保するための対策立案状況

問「大災害等発生時にサプライヤーからの部品やサービスの提供を確保するために、どのような事前対策を講じていますか」に対する回答状況

問「大災害等発生時にサプライヤーからの部品やサービスの提供を確保するために、どのような事前対策を講じていますか」に対する回答状況

何らかの事前対策を講じているとする企業の割合は65%を超えて、(1)BCPの策定率(56%)よりも高くなっています。BCPは策定してはいないものの、サプライヤーからの部品・サービスの提供を確保するための対策は講じている企業が一定数あることを示しているといえます。

3. 今後の課題

調査においては、上記でお示ししたデータ以外にも、BCMを担当する部署の設置状況(専任/兼任を問わず)、上記(3)「大災害発生時に部品やサービスの提供を確保するための対策」の具体的な内容、また海外事業所/現地法人のBCP策定状況など、BCMの活動全般にわたる設問に回答をいただきました。こうした質問の回答も踏まえると、多くの日本企業におけるBCMの活動が、その基本となるBCPの策定にとどまらず、着実に多様化してきていると推察されます。

企業が災害などに対する事業継続力を備えていくためには、単に計画策定だけでなく、訓練や従業員教育、BCPの検証や見直し、取引先との協力など、多角的な取り組みが継続的に実施される必要があります。

弊社では、このような課題認識を踏まえ、BCP策定のみにとどまらずBCM全般にわたる様々なソリューションを今後とも提供してまいります。

4. 調査結果のご提供

本調査に関する報告書は弊社Webサイト(下記URL)で無償公開しております。
弊社が過去に実施した実態調査の報告書も全て掲載しておりますので、合わせてご参照ください。

https://www.irric.co.jp/reason/research/bcm/index.php

以上

本件に関するお問い合わせ先

MS&ADインターリスク総研株式会社

リスクマネジメント第4部 山口、木村 TEL:03-5296-8918