トピックス

日本企業の中国現地法人等における事業継続マネジメント(BCM)実態調査を実施
=BCPの策定進むも、BCMに関する社内教育・訓練に課題=

2015年6月4日

MS&ADインシュアランス グループの株式会社インターリスク総研(社長 近藤 和夫)と、株式会社時事通信社(社長 西澤 豊)は、中国に進出している日系企業5,000社を対象に、事業継続マネジメント(Business Continuity Management:BCM)の実態調査を共同で実施し、今般、回答状況をまとめました。両社は2012年にも同様の調査を実施しており、今回が2回目の調査となります。

今回の調査では、前回と比べて、中国の現地法人等における事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)の策定が着実に進んでいることが分かりました。一方で、BCMに関する社内教育や訓練の実施状況等については目立った進展が見られず、今後に向けた課題も明らかになりました。

1. 調査の概要

調査方法
国際郵便・中国国内郵便によるアンケート郵送法
調査対象企業
北京(華北地域)、上海(華東地域)、広州(華南地域)に進出している日系企業5,000社
回答数
400社(回答率:8.0%)
調査期間
2014年12月~2015年2月

2. 調査結果

(1) 事業継続計画(BCP)の策定状況について

前回調査と比較して、全体的にBCPの策定が進んでいることが分かります(図1)。

また、BCP策定の契機となった要因としては、「日本本社からの要請・指示」が増えているのが目立ちます(図2)。前回調査以降、中国を含め、海外での事業中断を懸念させるような災害や事件が度々発生したため、日本本社において、海外現地法人等の事業継続に対する問題意識が高まった可能性があります。

図1 問「貴社ではBCPを策定していますか?」に対する回答状況

図1  問「貴社ではBCPを策定していますか?」に対する回答状況

図2 問「BCP策定に取組む契機になった要因は何ですか?」に対する回答状況(複数回答)

図2  問「BCP策定に取組む契機になった要因は何ですか?」に対する回答状況(複数回答)

(2) 従業員に対する教育訓練

BCPの策定は前回調査に比べて進んできたものの、BCMに関する訓練(図3)や社内教育(図4)の実施状況については、いずれも前回調査とほぼ同水準であり、実施していないという回答が8割程度にのぼります。事故や災害等に対する組織としての対応能力を維持向上するために、今後は中国現地法人等においてもBCMに関する教育訓練が進むのが望ましいといえます。

図3 問「BCPに関する訓練を定期的に行っていますか?」に対する回答状況

図3  問「BCPに関する訓練を定期的に行っていますか?」に対する回答状況

図4 問「BCMに関する社内教育(研修・セミナーなど)は行われていますか?」に対する回答状況(複数回答)

図3  問「BCPに関する訓練を定期的に行っていますか?」に対する回答状況

3. 今後の課題について

中国現地法人等におけるBCPの策定は前回調査に比べて進んだものの、継続的にBCMに取り組む体制の整備はあまり進んでいないようです。例えば、BCMの担当部署を(専任・兼任を問わず)設置しているという回答は14.6%、またBCMへの取り組状況を役員会に報告しているという回答も17.3%にとどまっています。前述の教育訓練を実施していくためにも、このような体制整備が必要となるでしょう。

しかしながらこの点は、日本企業を対象とした過去の調査からも、あまり取り組みが進んでいない部分であることが分かっています。したがって、まずは日本本社でBCMの運用体制を整備し、運用の経験やノウハウがある程度蓄積されてから、それを中国現地法人に適用していくのが現実的なアプローチと言えます。その際に言語や習慣、文化の違いを考慮し、現地向けにアレンジする必要があるのは言うまでもありません。

株式会社インターリスク総研はコンサルティングや啓発活動等を通じ、BCP策定のみならず、その有効性の検証体制の確立や仕組みづくり、海外事業所・現地法人への展開等を支援していきます。

4. 調査報告書のご提供

本調査に関する調査報告書は、株式会社インターリスク総研のWebサイトから無償でダウンロードいただけます。

HOME > 調査研究実績 > 事業継続マネジメント(BCM)に関する実態調査

ダウンロードはこちら

以上

本件に関するお問い合わせ先

株式会社インターリスク総研

事業リスクマネジメント部 BCMグループ TEL:03-5296-8918