事業のグローバル化に伴い、企業が社会的責任を果たすことが求められる環境・社会課題が多様化し、範囲が拡大しています。それに伴って、新たにさまざまな経営リスク、機会が生じると考えられます。
パリ協定の成立とともに、気候変動に関するリスク評価や情報開示は、持続可能な事業経営のために投資家などのステークホルダーから非常に重視されるようになっており、当社ではこれらの取り組みを支援しています。
また、生物多様性保全の領域では、先進的なソリューションと豊富な知見を有し、10年以上も前から数多くのグローバルトップ企業へサービスを提供してきました。最近では、世界的な資源問題の影響もあり、原材料調達に関する事業継続、レピュテーショナルリスクに関するご相談も増えています。

ESG投資対応パッケージ
世界では既にESGに配慮した投資が主流化していますが、日本においても金融庁が2014年に「スチュワードシップ・コード」を策定したことや、2015年に日本の厚生年金・国民年金の運用を行うGPIFが「ESG投資」へのシフトを鮮明にしたことを契機として、急速にESG投資が主流化しつつあります。そのため企業は、ESG戦略を立案してその取り組みを強化し、かつ投資家に対して、自社のリスク・機会情報を開示するなどの対応が求められています。
このような状況を踏まえ、MS&ADインターリスク総研では、主にグローバルに事業を展開する企業向けにESGに関する全般/個別課題への提案パッケージの提供をしています。

ESG投資対応パッケージの概要
分野 | サービス概要 | ||||||||||
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全体 |
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環境 (E) |
気候変動、生物多様性の喪失などを背景に、機関投資家は企業に対して以下のリスク評価と開示を行うように強く求めています。
弊社ではそれに対応するサービスを各種提供しています。
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社会 (S) |
特にサプライチェーン上での劣悪な労働環境など、人権リスクの問題が注目される中、機関投資家は企業に対して、グローバル視点での人権方針の策定や、 人権リスクを特定・評価し、リスク軽減のための人権啓発の活動を行ない、結果を開示することを強く求めています。弊社ではそれに対応するサービスを提供しています。 | ||||||||||
ガバナンス (G) |
内部統制システムの要となるリスクマネジメントの態勢を整備し、PDCAサイクルに沿って着実に運営していくことは、企業経営において最優先課題となっています。 弊社ではリスクマネジメント態勢の整備はもとより、個々のリスクテーマへの対策についても、サービスを提供しています。 |
ご利用料金 | ご要望内容の詳細をお伺いし、個別にお打合せさせていただいた後に算出の上、ご案内させていただきます。 (なお、交通費、宿泊費については、実費相当額を請求させていただきます。) |
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お問合せ先 | MS&ADインターリスク総研株式会社 リスクマネジメント第三部 サステナビリティグループ 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2‐105 ワテラスアネックス TEL.03-5296-8913 https://www.irric.co.jp |
SDGs(持続可能な開発目標)推進支援サービス
SDGsは、2030年に向けた社会課題解決の目標であり、行政のみならず、企業の主体的な参画が期待されています。SDGsが示す人権・労働、自然環境などに関する社会課題は企業にとってビジネスリスクであり、チャンスともなります。
弊社では、企業に対して、SDGs研修などの啓発支援や、SDGs戦略の立案とその取組強化を支援するコンサルティングを行います。また、SDGsを通じて地域活性化を目指す自治体や金融機関などに対する支援も同様に行います。

SDGs(持続可能な開発目標)推進支援サービス

(1) 役員・社員に対するSDGsセミナーの実施
主に以下の点について解説します。
- SDGsの基本事項
- 企業に求められるビジネスモデルの変革
- SDGs課題がもたらすビジネスリスク・チャンス
- SDGs取組のステップ
(2) 社員に対するSDGsワークショップの実施
主に以下のプロセスで、参加者のグループディスカッションを中心としたワークショップを行います。
- 2030年に向けた社会課題の変化について検討
- 変化を踏まえた2030年の将来目標の検討
- 将来目標を踏まえたビジネスの方向性の検討
- ビジネスの方向性を実現するための具体的なステップを検討

主に以下のプロセスで戦略立案を支援します。
- SDGs課題と現在の組織・ビジネスの状況とを比較・分析(ギャップ分析)
- リスクに備え早急に対応が必要な課題について明確化
- 将来の企業価値向上やビジネス創出の可能性がある領域について分析

主に以下のような支援を行います。
- 個別のビジネスアイデアの検討において、その社会的な影響についての分析・アドバイス
- 企業が個人や周辺の自然環境に及ぼす個別のリスク(気候変動、生物多様性、人権等)への対応策についてのアドバイス
ご利用料金 | ご要望内容の詳細をお伺いし、個別にお打合せさせていただいた後に算出の上、ご案内させていただきます。 (なお、交通費、宿泊費については、実費相当額を請求させていただきます。) |
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お問合せ先 | MS&ADインターリスク総研株式会社 リスクマネジメント第三部 サステナビリティグループ 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2‐105 ワテラスアネックス TEL.03-5296-8913 https://www.irric.co.jp |
気候変動による洪水頻度変化予測マップ
気候変動リスク分析サービス
近年、企業が気候変動による事業リスク及び機会を把握し、情報開示することが強く求められています。
リスクの対象範囲は、気候変動に起因した洪水、干ばつなどの物理的リスクだけではありません。
エネルギー構造の転換などのように、2℃目標に則って社会経済が脱炭素社会に移行するリスク(移行リスク)についても、十分な検討を行う必要があります。
MS&ADインターリスク総研では、検討段階や分析対象に応じた様々なサービスを提供しています。

気候変動リスク分析サービスの概要

貴社の事業について、国際機関等の最新の予測データに基づいて、想定される移行リスク、物理的リスクを整理します。

- (1) 炭素価格財務インパクト分析
国際社会が2℃目標を達成するシナリオ(2℃シナリオ)を中心に、各国の電力構成、炭素価格、電力価格の予測から、貴社事業のGHG排出による財務影響を概算します。 - (2) その他の移行リスク分析
2℃シナリオを中心に、世界の再生可能エネルギー市場、EV市場、化石燃料市場などの予測データを収集し、想定されるシナリオを検討します。

- (1) 水リスク簡易評価
世界各国の拠点を対象に、シミュレーションツールなどを用いて、気候変動が顕在化した場合の水リスク(渇水など)の傾向を分析します。 - (2) 洪水リスク簡易評価
世界各国の拠点を対象に、現在の水災リスクの程度、気候変動による将来の河川流域の水災リスクの傾向とその確度について、調査します。
コンサルティングの実績
素材、小売、化学、商社など
ご利用料金 | ご要望内容の詳細をお伺いし、個別にお打合せさせていただいた後に算出の上、ご案内させていただきます。 (なお、交通費、宿泊費については、実費相当額を請求させていただきます。) |
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お問合せ先 | MS&ADインターリスク総研株式会社 リスクマネジメント第三部 サステナビリティグループ 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2‐105 ワテラスアネックス TEL.03-5296-8913 https://www.irric.co.jp |
水リスク簡易評価
人口増加、産業発展と気候変動の顕在化を背景として、世界各地で水リスク(渇水、洪水、水質汚濁など)が、ますます深刻になると懸念されています。そのような中で、ESG投資の主流化により、CDPウォーターのように機関投資家が企業に対して水リスクの把握と開示を求めるようになっています。
MS&ADインターリスク総研では、最新のシミュレーションツールなどを用いて、企業の生産拠点の水リスク評価サービスを提供しており、既に世界20か国200拠点以上の評価を実施しています。

水リスク簡易評価の概要

各拠点について、水需給、水災、水質汚濁への脆弱性の3つの評価軸でリスクを定量評価します。水需給については、ロンドン大学キングスカレッジ(KCL)、国連環境計画・世界自然モニタリングセンター(UNEP-WCMC)などが開発したWater Worldなどのツールを用いて、気候変動を勘案した将来の水需給リスクも評価します。

経済モデルを用いて、お客様の購買データから、サプライチェーン上流を通じた国別の水使用量を概算します。金銭換算で評価することも可能です。
コンサルティングの実績
紙パルプ、エネルギー、化学、自動車、電機電子、日用品など
ご利用料金 | ご要望内容の詳細をお伺いし、個別にお打合せさせていただいた後に算出の上、ご案内させていただきます。 (なお、交通費、宿泊費については、実費相当額を請求させていただきます。) |
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生物多様性 総合コンサルティング
近年、企業の新しいリスクとして、生物多様性に注目が集まっています。生物多様性条約会議の決議に企業の役割とリスクマネジメントの重要性が盛り込まれるとともに、主要な国際機関、政府機関、経済団体などから企業ガイドラインが次々と発表されています。
かつて企業は生物多様性保全の取り組みを社会貢献活動の延長として捉えがちでしたが、近年では経営上のリスク・チャンスとして 捉えて、原材料調達、製品開発・マーケティング、事業所の土地利用などの様々な分野で取組み始める企業が増えています。MS&ADインターリスク総研は1990年代後半から生物多様性関連コンサルティングを多くの企業に提供しており、その実績と知見に基づいて、お客さまの取り組みを支援致します。

生物多様性に関連する様々な課題・要望に対応
- 自社の事業活動と生物多様性の接点が不明確
- 生物多様性リスクを把握したい
- 取り組みの優先順位をつけたい
- 生物多様性ガイドラインの策定
- マネジメント体制の構築
- 製品設計ガイドライン、グリーン製品認定制度への生物多様性項目の組み込み
- ビジネスチャンス創出
- 独自性のある海外植林や企業の森活動
- 個別の原材料の詳細なリスク動向を知りたい
- サプライチェーン上流の取り組みを強化したい
- 海外原材料生産地・工場立地のためのガイドライン策定やリスク評価
- 各事業所に適した生物多様性取り組み
- 取組の意義・成果の見える化
- 緑地ガイドラインの策定
- 緑地を通じた住民・自治体との関係構築

コンサルティングサービスの概要

事業全体の生物多様性リスクを分析・評価し、取組の絞り込みや対応策を検討します。また継続的な改善を進めるために、貴社の実態を踏まえた方針及び目標の設定、マネジメントシステム構築を支援します。

海外の原材料調達先や工場立地場所の選定について、ガイドライン策定や優先的に取り組むべき地域を絞り込むためのリスク評価を行います。

貴社の事業について、どのような生物多様性関連のビジネスチャンスがあるかを洗い出し、今後の可能性を提示します。

現在の事業所・社有地等の環境を活かし、計画的に生物多様性を高めるために、調査・分析から整備・活動計画の策定まで総合的に支援します。
生物多様性貢献型土地利用コンサルティングは、エコアセットTM・コンソーシアム(MS&ADインターリスク総研(株)、住友林業緑化(株)、(株)地域環境計画、住友林業(株))による共同コンサルティングです。
コンサルティングの実績
電機電子、石油、素材、繊維、機械、非鉄金属、ICT、建設、自動車関連(メーカ、部品)、金融(銀行、保険)、商社 ほか
ご利用料金 | ご要望内容の詳細をお伺いし、個別にお打合せさせていただいた後に算出の上、ご案内させていただきます。 (なお、交通費、宿泊費については、実費相当額を請求させていただきます。) |
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お問合せ先 | MS&ADインターリスク総研株式会社 リスクマネジメント第三部 サステナビリティグループ 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2‐105 ワテラスアネックス TEL.03-5296-8913 https://www.irric.co.jp |
再エネ支援サービス
2012年にいわゆる全量買取制度が施行されたことにより、太陽光発電事業を中心に普及が急速に進んでいます。比較的容易な設備によって短期間で事業化が可能であり、また20年という長期間で安定した価格で買い取られるため、様々な業種からの参入が盛んになっています。それゆえ事業の様々なフェーズでのリスクに対して、立案段階から維持・管理段階まで、事業全体のリスクをあらかじめ把握したうえで、無理のない計画策定を行うことが重要となります。MS&ADインターリスク総研では、発電事業者にとって、事業のどのフェーズにおいてもリスク対策が出来るように、事業計画の検討段階に応じた各種サービスをご提供しております。

太陽光発電事業のすべてのフェーズとリスクに対応
コンサルティングの概要

太陽光発電事業の事業計画の妥当性や収益性を企画・設計段階で、第三者の立場で評価します。
- Step1企画書・必要書類の確認
企画書、登記簿謄本、用地図面など計画資料をご提出いただきます。 - Step2事業計画評価
頂いた資料を元に計画の妥当性を検証いたします。 - Step3評価レポートの提出

対象物件の情報を活用し、日照評価(発電量推定)を行います。
- Step1拠点情報の確認
対象となる拠点の貴社資産の情報を提出いただきます。 - Step2リスク分析の実施
頂いた情報を元に、シナリオ分析や確率分析を実施します。 - Step3調査報告書の提出

主要な事業リスクである、地震、風水災、火山噴火、落雷、積雪等のハザードや発電量に関係する日照・日射量の調査を行います。
- Step1拠点情報の確認
ハザード情報調査の対象となる拠点の位置情報(住所等)をご提出いただきます。 - Step2情報の調査
調査の対象となる拠点付近の各種ハザード情報を収集します。 - Step3調査報告書の提出

対象物件の情報を活用し、地震・津波リスク分析(地震PML評価)を行います。
- Step1拠点情報の確認
対象となる拠点の所在地、土地面積、標高等の情報を提出いただきます。 - Step2発電量の推定
発電量を推定し、月別のグラフで表示します。 - Step3調査報告書の提出

メーカー保証内容の比較評価、ユーザー実態調査回路設計レビューなど、様々な角度から設備の性能評価を行います。
- Step1拠点情報の確認
対象となる拠点の所在地、土地面積、標高等の情報を提出いただきます。 - Step2分析評価
設計内容や材料選定など分析、妥当性を評価し、問題を明らかにします。 - Step3評価報告書の提出
ご利用料金 | ご要望内容の詳細をお伺いし、個別にお打合せさせていただいた後に算出の上、ご案内させていただきます。 (なお、交通費、宿泊費については、実費相当額を請求させていただきます。) |
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お問合せ先 | MS&ADインターリスク総研株式会社 リスクマネジメント第三部 サステナビリティグループ 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2‐105 ワテラスアネックス TEL.03-5296-8913 https://www.irric.co.jp |
自然災害リスク定量評価サービス
気候変動に関する財務リスクの把握やステークホルダーへの開示に関して支援いたします。
<気候変動リスク分析サービス>
パリ協定の成立やESG投資の拡大を背景に、投資家が企業に対して、気候変動に関連する財務リスクを把握し、開示することを強く求めています。リスクの対象範囲は、気候変動に起因した洪水、干ばつなどの物理的リスクだけではありません。エネルギー構造の転換などのように、2℃目標に則って社会経済が脱炭素社会に移行するリスク(移行リスク)についても、十分な検討を行う必要があります。気候変動のこれらのリスク対策を検討している企業への支援を実施します。
自然災害リスク定量評価サービス
米国Jupiter Intelligence社と提携し、全世界90mメッシュの精度で、気候変動を考慮した将来の風水災や熱波などのリスクを定量評価します。TCFD対策強化を検討している企業やその関連企業への支援を実施します。
(リリースページはこちら)https://www.irric.co.jp/topics/press/2020/0707.php

自然災害リスク定量評価サービスの開発と分析事例
本サービスは全球気候モデル(GCM)を用いて、全世界を対象に2100年までの様々な自然災害リスクを評価するものである。MS&ADインシュアランスグループホールディングスが出資する米国のスタートアップ、Jupiter Intelligence社と連携して提供するもので、特長としては以下が挙げられる。

一般的にGCMは、水平解像度が約100km程度であり、このままでは各地点での影響を詳細に評価することは難しい。この出力結果を補間(ほかん)して解像度を上げることをダウンスケーリングと言う。
計算機の資源に限りがあるため、通常ではダウンスケーリングは一部の地域に限って行われ、全世界で行うのは現実的ではなかった。しかし近年では機械学習によるダウンスケーリング手法などにより効率的な処理が可能となりつつある。本サービスでは最新の手法を用いて、解像度をGCMの数倍に高めている。その結果、全世界を対象に自然災害を90mの解像度で分析することが可能となった。

IPCCが使用している代表的濃度経路(RCP)シナリオを用いている(図1)。選択可能なシナリオは、RCP8.5(21世紀末に工業化前比で4.3℃上昇)、RCP4.5(同2.4℃)、RCP2.6(同1.6℃)の三つである。

シナリオごとに2020年から2100年まで、5年刻みで評価できる。

河川洪水、高潮、風災、熱波、山火事などの自然災害について、定量的なリスク指標を算定できる(図2)。
河川洪水と高潮については、特定の発生頻度(再現期間)の災害が発生した場合の浸水深や財務影響を推計することができる。例えば「再現期間100年の洪水」とは、100年に1回の確率で生じうる洪水を意味する。
図3では国内のある地点について、RCP8.5シナリオ下での各再現期間の洪水の浸水深を算出した例を示している。年を経るに従って、浸水深が増加していることがわかる。
また図4は、ある企業の23拠点について再現期間200年の河川洪水が発生した場合の被害額が大きい順に左から並べたものである。2020年に比べて、2070年は被害が増大していることがわかる。
【図1】世界のCO2排出量の推移と気温上昇シナリオ(出典:IPCC第5次報告書にMS&ADインターリスク総研加筆)
【図2】評価対象となる自然災害と定量化指標 (MS&ADインターリスク総研作成)
【図3】RCP8.5シナリオにおける再現期間ごとの浸水深の推移例 (MS&ADインターリスク総研作成)
【図4】RCP8.5シナリオにおける再現期間200年の洪水による各拠点の被害額分布例 (MS&ADインターリスク総研作成)
ご利用料金 | ご要望内容の詳細をお伺いし、個別にお打合せさせていただいた後に算出の上、ご案内させていただきます。 (なお、交通費、宿泊費については、実費相当額を請求させていただきます。) |
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お問合せ先 | MS&ADインターリスク総研株式会社 リスクマネジメント第三部 サステナビリティグループ 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2‐105 ワテラスアネックス TEL.03-5296-8913 https://www.irric.co.jp |
斜面崩壊リスク評価サービス
企業の事業拠点やその周辺の斜面崩壊リスクを「過去最大級」及び「将来最大級」の降雨シナリオに基づいて評価いたします。
斜面崩壊リスク評価サービス
気候変動に起因して増加していると言われる集中豪雨や大型台風の襲来により、各地で土砂災害が相次いでいます。
自治体が公表するハザードマップは、調査個所が限定されており、居住者のいない山間部などは、場所によって土砂災害危険度の把握が困難な場合があります。
本シミュレーション評価では、全国すべての地域について、当該の施設やその周辺(近隣住宅地、裏山など)土砂災害の
危険性を評価することができます。また今後起こりうる将来の災害についてもシナリオを設定してシミュレーション・評価することが可能です。
(リリースページはこちら)https://www.irric.co.jp/topics/press/2020/0708.php

斜面崩壊リスク評価サービスの開発と分析事例
前述した自然災害リスク定量評価サービスでは対象としていない土砂災害については、日本国内を対象としたリスク評価サービスを新たに開発した。
2020年6月に発生した熊本県の大雨では、多くの地域で土砂災害が発生し、収まった後においても流れ出した土砂によって佐賀湾の一部が埋め立てられた状態になる等の被害が出た。水害と連動する土砂災害についても注意をする必要がある。
土砂災害は毎年1,000件程度発生していると言われており、その多くの原因が地震や大雨等の他の自然災害と連動している。そのため、気候変動によって豪雨災害が増えることで、土砂災害の回数も増加することが危惧されている。また、2019年度の台風19号等で発生した土砂災害により人的被害が発生した場所約4割では、現状のハザードマップにおいて、土砂災害の危険が周知されていないことが報告されている。図5に一例を示すとおり、現状のハザードマップのみでは地域における土砂災害リスクを把握することは困難であるといえる。以下では、土砂災害リスクに関して、MS&ADインターリスク総研リスクマネジメント第一部災害リスクグループおよび株式会社地圏環境テクノロジーと連携して開発したリスク評価手法について紹介する。

現在、各市町村では土砂災害警戒区域および土砂災害特別警戒区域を定めている。指定までの流れとしては、都道府県が地形、地質、土地利用状況について、地形図・航空写真等を用いて机上にて基礎調査を行い、土砂災害発生の恐れがある箇所を抽出する。そのうえで、都道府県が現地調査を行い、区域の指定を行うことになる。
主に指定される可能性がある現象としては以下の3種類がある(図6)。
①土石流
山腹が崩壊を生じた土石流または渓流の土石などと水が一体になって流下する自然現象のことを指す。主に、土地の勾配2度以上のところが土砂災害警戒区域に指定される。
②地すべり
土地の一部が地下水などに起因して滑る自然現象またはこれに伴って移動する自然現象。主に、地すべりが想定される範囲の2倍以内の範囲が土砂災害警戒区域に指定される。ただし、地すべりの長さが250mを超える場合は、250mに設定される。
③急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)
傾斜度が30度以上である土地が崩壊する自然現象。主に急斜面地の上端から10mおよび急斜面地の下端から高さの2倍以内の範囲が土砂災害警戒区域に指定される。ただし、下端からの高さが50mを越える場合には、50mとして指定される。
また、指定範囲については土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域の二つに分かれており、前者は市町村への地域防災計画への記載や、ハザードマップによる周知および重要事項の報告義務を課すなどあくまでも個人に警戒を促す地域であ る一方で、後者については、特定の施設の開発行為の制限や、構造規制および移転勧告などを行うハード面の対策が求めら れる区域であり、各区域において異なる対応が必要である。
【図5】土砂災害警戒区域等のマップと豪雨による崩壊地の比較
(出典:以下①、②の情報を基にMS&ADインターリスク総研作成 ①ハザードマップポータルサイト、②国土地理院技術資料 D1-No.939 平成30年7月豪雨に伴う崩壊 地等分布図(ライン)
【図6】土砂災害のハザードマップに関する図表
(出典:東京都建設局 用語の解説:土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)・土砂災害特別警戒区域(通称:レッドゾーン))

2019年の台風19号により人的および人家被害が発生した箇所のうち、土砂災害特別警戒区域に指定されていなかった地域については、以下のような指摘がなされている。
- ①そもそも基礎調査段階(現地確認前)であり、土砂災害警戒区域の指定にまで至っていなかった
- ②基礎調査の地形図判読では、箇所の把握をすることが困難であったが、詳細な地形データの活用により、抽出できる可能性があった
- ③現在の土砂災害警戒区域の指定基準(急斜面かつ明瞭な地すべり地形がみられる箇所や、明瞭な谷地形がある箇所)に該当しなかった
以上より、現状の指定範囲のみでは不十分である可能性も考えられる。

土砂災害は主に土砂の滑り方と土砂の崩壊する深さによって分類される。このうち、深さによる分類には、土砂の崩壊する深さによって、表層崩壊と深層崩壊とがあるが、詳細な違いについて表1をご参照いただきたい。
深層崩壊が発生した場合、大規模な損害は発生するものの、事前にハード面の対策を行うことは非常に困難であると考えられる。そのため、発生源に対して対策を行うことができる表層崩壊を、今回開発した斜面崩壊リスク評価サービスの対象としている。
【表1】表層崩壊と深層崩壊の違い
表層崩壊 | 深層崩壊 | |
---|---|---|
地質 | 関連が少ない | 地質、地質構造との関わりあり |
兆候 | ほとんど見られない | ある場合もある |
崩壊深さ | 浅い(0.5~2.0m程度) | 深い |
土質 | 表層土 | 基盤 |
植生の影響 | あり | なし |
規模 | 比較的小規模 | 比較的大規模 |
(出典:国土技術政策総合研究所10))

表層崩壊のリスク分析を行うために、まずは、地形条件、地 質、土地被覆等のデータを勘案したモデルを作成する。次に、対象拠点に最も近い気象台より抽出された過去最大の降雨 量のデータを入れ込み、モデルに適用する。そのうえで、地形 全体の水の流れ方について、三次元的に分析を行い、影響を受ける斜面の崩壊有無に関して、評価を行っている。詳細な分 析方法および検証に関しては、MS&ADインターリスク総研 発行の「サステナブル経営レポート第9号」に掲載されている ので、そちらをご確認いただきたい。
今回の評価サービスでは、斜面崩壊リスクの評価指標とし て安全率を採用した。この安全率は、日本道路協会において、標準的な地すべりの安定解析手法として用いられている「修正 フェレニウス式」によって算出されている。安全率は通常1.5以上が求められている。1.2〜1.5であれば、地震などが発生した際 の斜面崩壊に耐えることは可能ではあるものの、リスクは高い といわれている。また、安全率が1以下に該当する場合において は、すでに斜面が滑り始めている状態ととらえることができる。これに基づき表2のように評価指標を設定した。

過去最大降雨だけではなく、将来的に降雨が増加した場 合における斜面崩壊リスクについても評価を行うことが可能 である。評価に際してはRCP8.5(21世紀末に工業化前比で 4.3℃上昇)とRCP2.6(同1.6℃)のシナリオを用いる。

本件では、特定地域を対象に実際のハザードマップとの差異 を比較する。今回対象とした地域の地形図に現状のハザードマッ プ(土砂災害警戒区域等)を重ね合わせると図7のようになる。
主に、谷筋に土砂災害のリスクがあると算定されている。 一方、同対象地において、今回開発したサービスにより分
析を行ったところ、図8のような評価となった。谷筋のところに関しては、水が集まりやすい場所であるため、雨が降った際に 弱くなりやすい。そのため、安全率の低下が発生し、表層崩壊が 起きやすいという評価となった。
【表2】安全率による評価指標概要
(MS&ADインターリスク総研作成)

【図7】土砂災害警戒区域等の重ね合わせ(上:平面図、下:3D)
(MS&ADインターリスク総研作成、協力:株式会社地圏環境テクノロジー)

【図8】過去最大降雨における安全率分布(上:平面図、下:3D)
(MS&ADインターリスク総研作成、協力:株式会社地圏環境テクノロジー)

次に気候変動に関する表層崩壊の影響度についての事例 を参照する。一見すると、変化は少ないようであるが、道路沿 いに該当している箇所(青丸箇所)が、現在気候では危険度は 低いものの、将来気候において、表層崩壊リスクが高まってい ることがわかる。また、周辺領域において安全率の低下によっ て対策が必要な箇所も出てきていることがわかった(図9)。

【図9】過去最大降雨、RCP2.6、RCP8.5の場合における安全率分布(上:過去最大降雨、中:RCP2.6、下:RCP8.5)
(MS&ADインターリスク総研作成、協力:株式会社地圏環境テクノロジー)
ご利用料金 | ご要望内容の詳細をお伺いし、個別にお打合せさせていただいた後に算出の上、ご案内させていただきます。 (なお、交通費、宿泊費については、実費相当額を請求させていただきます。) |
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お問合せ先 | MS&ADインターリスク総研株式会社 リスクマネジメント第三部 サステナビリティグループ 〒101-0063 東京都千代田区神田淡路町2‐105 ワテラスアネックス TEL.03-5296-8913 https://www.irric.co.jp |
コンサルティング実績
民鉄グループ(東証1部上場)
上記企業グループの環境経営を推進するために、
- 環境目標の策定とPDCAサイクルの構築
- 廃棄物処理法や改正省エネ法他の環境コンプライアンス
- 社員環境教育
- 環境報告書の作成
などの支援を実施
期間:1年
飲料メーカー(東証1部上場)
環境経営を推進するツールであるISO14001環境マネジメントシステムの内部環境監査員研修と内部監査の立会い・指導、そして社員環境教育や環境報告書の作成などを支援
期間:6ヶ月
商社(東証1部上場)
同商社の関係会社の環境リスクを評価するコンサルティングにて、実務的に適用可能な環境リスク評価手法を構築し、実際、その手法に基づき国内関係会社の環境リスク評価を実施し、同社全体の環境リスクマネジメントシステムの構築を支援
期間:3ヶ月
建材メーカー(東証1部上場)
環境配慮設計に関するコンサルティングにて、製品の二酸化炭素排出量及び有害化学物質含有量の削減、3R(リデュース・リユース・リサイクル)促進のガイドライン策定を支援
期間:3ヶ月
石油精製(東証1部上場)
工場緑地の資産価値を高めるために、
- 現状分析、「強み」「弱み」の明確化
- 価値向上のための外構改修方針、管理方針の策定、活用方針やロードマップ作成
- 緑地外部評価表彰制度受審の支援
などを実施
期間:6ヶ月
電気機器メーカー(東証1部上場)
グループ全体の環境指針の一環である緑化ガイドラインにのっとり、各事業所や本社の緑化コンサル。
- 現状分析
- 企業価値向上のための利活用提案
などを実施。
期間:6ヶ月
自動車メーカー(東証1部上場)
企業の保有する緑(山林、工場)や緑関連部署の全社一貫した環境緑化方針の検討を支援した。
- 最新研究事例調査
- 専門家による講演会開催
- 環境緑化方針のコンセプト監理
などを実施。
期間:3ヶ月
関連レポート
サステナブル経営 レポート(旧:新エターナル)
環境問題に関わるテーマを毎号一つ取り上げ、わかりやすく解説した情報誌です。
(A4 10P前後、不定期発行)


刊行物等
当社コンサルタントが執筆・監修した出版物
コンサルティングの流れ
当社では、お客さまにご満足いただけるために、綿密なお打ち合わせを元にコンサルティングプランを作成・実施してまいります。
お打ち合わせまでは無料となりますので、お気軽にご相談ください。
-
STEP1
相談申込み
Webにて申込みいただいた後、原則として三営業日以内に担当コンサルタントよりご連絡させていただきます。
-
STEP2
担当コンサルタントと打合せ
お客さまの現状と課題認識をお聞きし、コンサルティングによる解決に向けて意見交換させていただきます。
-
STEP3
ご提案
課題解決のためのテーマを絞り込み、コンサルティングの方針・手法・工程についてご提案させていただきます。
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STEP4
提案内容精査~ご契約
提案内容を確認・精査いただいた後、お見積りを提示、コンサルティングプランを確定させ、ご契約を締結します。
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STEP5
取組の実施
コンサルティングプランに沿って具体的な取組を実施します。
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STEP6
取組の完了
コンサルティングプランの完了を確認し、効果を検証します。