コンサルタントコラム

所属
リスクマネジメント第四部 健康経営サービスグループ
役職名
上席コンサルタント
執筆者名
西田 耕太郎 Kotaro Nishida

2020年9月8日

新型コロナウイルスが再び拡大しており、企業も個人もニューノーマルの模索が続いている。企業においては、コロナ禍に対応した感染症対策が進んだ。同時に、在宅勤務の定着や「コロナうつ」という言葉も出てくる中で感染症以外の面でも「従業員の健康リスク」への注目が高まり、「健康経営」の重要性が改めて認識されている。

これまで、企業への健康経営の普及促進に向け、経済産業省では2014年から、健康経営銘柄、健康経営優良法人認定制度、健康投資管理会計ガイドラインなどを整備してきた。毎年、取り組む企業が増加し、前述の認定制度には2019年では上場企業の4社に1社が申請するほどになった。

しかし、普及する一方で、取り組み方に迷う企業が増えている。健康経営は、単に病気の予防を目的とした健康管理に留まる取り組みではない。生産性向上や経営課題の解決に向けた人材面での基礎体力向上、さらには業績向上や企業価値向上までを目的として取り組むものだ。そのような結果に至るには中長期的取り組みが必要となる。また、取り組みの過程では成果との関連が分かりにくいことや、企業によって目的や取り組み方に幅があり、スタンダードな方法が確立しておらず、試行錯誤することも多い。

2020年1月に、健康経営優良法人の認定企業に対して実施した実態調査(MS&ADインターリスク総研(株)実施)では、1,148社から回答の協力を頂いた(2020年1月時点の認定企業の1/3が回答)。実態調査から得られた取り組みのヒントを1つご紹介したい。

本実態調査において、健康経営を経営戦略・経営課題と関係付けて推進している企業は、取り組みの効果が高いことが分かった。具体的には、健康への意識・関心の向上、健康を意識した活動の増加、健康経営の意味・意義の理解度向上、部門間のコミュニケーションの向上等、複数の項目で明確な効果を確認することができた。このように健康経営を推進している企業では、健康経営を企業理念・ビジョンの実現手段の1つと捉え、従業員に対して、社長・経営層から情報発信するケースが多い。健康経営が経営においてどのような意義を持つのか明確に位置づけられることで、取り組みも力強く推進されていることが伺えた。

これまでも一般的に「健康経営は経営戦略に基づいて推進するもの」と言われているが、本実態調査を踏まえると、実際にそのように推進できているかどうかは企業によって大きく異なる状況にある。推進に課題を感じている企業には、健康経営が経営戦略と関係付けた取り組みとなるよう再考をお勧めしたい。

では、経営戦略と健康経営の関係付けはどのように行えばいいのか。ここでは、「人材像」を起点とする方法をご紹介したい。企業においては、従業員のあるべき姿(人材像)や行動指針を明文化していることがある。明文化していない場合でも、人事戦略や採用方針などの議論の中で語られていることも多い。こうした人材像は、経営戦略・経営課題に基づいて策定され、社内にも周知されているため、「このような人材像につなげるために健康経営を推進している」といったストーリーにすることで、自然と経営戦略・経営課題と健康経営の活動がつながることになる。是非、自社の理想とする人材像・ありたい姿を描き、これにつながる健康経営を実践いただきたい。

以上

(2020年9月3日 三友新聞掲載記事を転載)

西田 耕太郎 Kotaro Nishida
氏名
西田 耕太郎 Kotaro Nishida
役職
リスクマネジメント第四部 健康経営サービスグループ 上席コンサルタント
専門領域
健康経営/人事総務/組織改革/クリニック運営/在宅医療

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