コンサルタントコラム

自然災害から子どもを守る取り組み

[このコラムを書いたコンサルタント]

専門領域
火災リスクサーベイ
役職名
リスクマネジメント第一部 リスクエンジニアリンググループ コンサルタント
執筆者名
佐藤 周作 Shusaku Sato

2019.6.12

地震や水害などの自然災害が発生した時に子どもを守るためには、一般的な防災対策に加え、その家庭の家族構成や住居形態等を考慮した準備が必要である。 自然災害は日本各地で発生する可能性があり、子どもたちを守る環境を各家庭で整備することが急務であるが、「忙しい」「面倒だ」「お金がかかる」といった理由から対策が十分進んでいないのが実情である。
本稿では自然災害から子どもを守るために家庭でできる取り組みとして下記の3点を紹介する。

1.家族で災害対応の基本を学ぶ

災害はいつどこで起こるか分からず、子どもが親と離れているときに災害に遭遇する可能性も考えられる。そのような場合に備えて、子どもに災害対応の基礎を教えておくことが重要である。地震発生時には安全な場所で頭を守って揺れが収まるまでじっとしている、洪水時には高い場所に避難するなどの基本的な対応を教えておくと、3歳を過ぎたくらいの子どもは教えられたとおりに行動することができる。近年ではカードゲームやすごろく形式になっているなど、遊びながら防災知識を身に着けることができるツールを企業や行政が作成している。それらのツールを使用することで保護者も子どもと一緒になって楽しく学ぶことができる。

2.災害が起きた時の対応について話し合っておく

災害が起こった時に最も心配なことは子どもの安否である。現在では、固定電話、携帯電話、パソコンなど様々な情報機器で安否確認のツールを利用できる。家族でどれを使うのか決め、いざというときでも慌てずに使用できるように訓練しておくことが重要である。それに加え、安否確認方法や災害時の対応について事前に保育施設(保育園、幼稚園)や小学校に確認することも肝要である。基本的には耐震性のある施設であれば、あえて移動するよりもその場で待機している方が子どもは安全である。どの時点で引き取りにいくべきかは時々の状況にもよるが、親も自身の安全確保を第一に考えて行動する必要がある。そのためにも平常時より子どもの引き取りに関して施設側と十分に協議しておくことをお勧めする。また、家族間で連絡が取れない場合に備えて、自宅周辺の公設避難場所(公園、広場)か公設避難所(小学校、公民館など)などを待ち合わせ場所として決めておくことも重要である。

3.避難生活に役立つ備品を準備する

災害による避難生活を想定し、乳幼児がいる家庭では一般的な非常用品に加え、乳幼児に必要な衛生用品や食料品を用意しておくとよい。多くの自治体では紙おむつや粉ミルクなどを備蓄しているが、自分の子どもに合わない可能性があり、数も限られているため、乳幼児用の物品については自前で準備することが重要である。乳幼児のために準備しておく物品としては紙おむつ、おしりふき、粉ミルク、哺乳瓶、哺乳瓶消毒セットなどが考えられる。これらの物品に加え、おもちゃや絵本、オヤツ等、子どもの「遊び」、「楽しみ」を満足させるものを、一つでも持ち出しておくと、子どもの心の安定を保つのに役立つ。

企業では上記のような取り組みを各従業員に推進するために、防災体験会やセミナーなどを通じて防災に対する認知度とやる気を高めることが有効である。また、小さい子どもがいない家庭や単身者は、企業や地域に所属する個人として周りの子どもがいる家庭を支援する「共助」の意識を持つことが重要である。

以上

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