コンサルタントコラム

あおり運転について

[このコラムを書いたコンサルタント]

専門領域
交通リスクマネジメント
役職名
関西支店 自動車RMグループ グループ長
執筆者名
岩田 幸大 Yukihiro Iwata

2019.4.26

あおり運転に関する社会的関心が昨今高まっている。そのきっかけとなったのは2017年の東名高速道における悲惨な事故もその一つであろうが、その後もあおり運転をめぐる報道を目にする機会は多い。
我々も交通安全セミナーを実施する際、内容にあおり運転に関することを入れてほしい旨の要望をいただくことが増えてきており、これに対する関心の高まりを実感している。

あおり運転とはこれまで明確な定義はないものの、一般的には前方を走る車に対して車間距離を極端に詰めたり、幅寄せやパッシング、クラクション等により進路を譲るよう強要する行為と言われてきた。何れも重大な事故に繋がりかねない極めて危険かつ自己中心的な行為であり、交通社会において決して許されるものではない。このような行為は車間距離不保持、進路変更禁止違反、警音器使用制限違反といった法令違反であり、結果によっては危険運転致死傷罪にも問われかねない悪質な行為である。警察庁も悪質・危険な運転に対しては厳正な対処をするよう2018年1月に全国の警察に対し通達を出している。 その結果、道交法違反における車間距離不保持の摘発件数が大幅に増えたとの報道もあり警察が取り締まりを強化している傾向が伺える。また2019年以降与党内であおり運転を処罰する法令改正の検討が開始されており、あおり運転の定義明確化や厳罰化の傾向が顕著である。

あおり運転撲滅にはこのような警察による取り締まり強化や厳罰化による抑止効果を更に期待するところではあるが、一人の運転者としてこのような被害に遭わないためにはどのようなことが必要であろうか。まずは相手に危険な運転をさせるきっかけを自分からは作らないことはその一つと言えるであろう。例えば2車線の高速道路で、後続車があるにも関わらず延々と追越車線を制限速度で走り続ける車がある。走行車線が空いているにも関わらず追越車線を走り続ける行為は通行帯違反という違反行為ではあるが、あおり運転誘発になりうる行為でもある。ルールを守ることは第一であるが、常に後方を含む周囲の状況を確認し、急いでいる車や車間を詰め気味の車が来た場合には進路を譲ることも被害に遭わないための一つの方策と言える。常に周囲の状況を確認することは、あおり運転の誘因防止のみならず安全運転全般においても重要であり、車の死角を理解しそれを補う目視といった手段を併用する必要がある。

また万が一巻き込まれてしまった場合も、車を安全な場所に止めて相手をやり過ごす、相手が車から降りてきて挑発してきてもドアや窓を開けない、目を合わせず相手をしない、すぐに110番通報するといった冷静な対応が求められる。
安全で安心な道路交通の実現のためには、ドライバーのみならず交通に関わる全ての者にルールやマナーを遵守した行動が求められている。

以上

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