コンサルタントコラム

ブランド・リスクマネジメント~企業価値をリスクから守れ~

[このコラムを書いたコンサルタント]

専門領域
ブランド・リスクマネジメント/企業価値を最大化するリスクファイナンシング・プログラム構築
役職名
総合リスクマネジメント部 上席コンサルタント
執筆者名
金子美和子 MiwakoKaneko

2008.4.1

従来、リスクマネジメントは、企業の施設・設備や金融資産などの主に有形資産を対象としてきた。それは、企業価値を生み出す源泉が有形資産にあったからである。しかしながら、ブランドをはじめ有能な人材や競争力の高い経営環境など、無形の資産や取引こそが企業価値を支えるようになった今日では、無形資産のリスクマネジメントに目を向ける必要が出てきている。

わが国でもブランドが深く傷ついたために、有形資産の損失はあまりないにもかかわらず、経営の危機に瀕する会社もでてきているが、オックスフォード大学のテンプルトン・カレッジの行った調査によれば、オフバランスシートのリスクによって、世界の企業価値は10%以上阻害されているという。ブランドをリスクから守る試みは、企業価値を守る上で重要な取組みとなるだろう。

ブランド・リスクマネジメントの特徴は、対象リスクにある。突発的に発生し急激にブランド価値を下げてしまうリスク(「イベント・リスク」)とブランド価値を徐々に低下させてしまうリスク(「グラデュアル・リスク」)の2つをブランド・リスクとして扱う。

イベント・リスクは目に見えてわかりやすいため、既に事件・事故を起こさない工夫をしたり、発生時の対応策を検討したりなどの取り組みをしているところも多いだろう。

しかし、本当に深刻なのはグラデュアル・リスクである。グラデュアル・リスクは生活習慣病のようなもので、経営者も従業員も何が要因なのか自覚がないうちにブランドが徐々にその価値を失っていく性質を持っている。ブランド・リスクマネジメントのポイントは、このやっかいなグラデュアル・リスクも見逃さずに認識すること、マーケットが自社ブランドをどう見ているかを定期的にチェックし、客観的な資料に基づいて社内の意思決定のあり方を見直す仕組みを構築しておくことである。

われわれインターリスク総研では、こうした試みを進める多くの企業に、様々な支援や情報提供を行っていきたいと考えている。

以上

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