レポート

高齢者の運転免許の返納に関する実態と意識について ~アンケート調査結果より~ リサーチ・レター2019年第3号

2019.12.1

要旨

  • 運転免許を返納した回答者の24.7%が、「大変良かった」、また48.7%が「良かった」と回答しており、合計すると7割以上の者が「良かった」としている。
  • 運転免許を返納した理由としては、主に「運転をする必要がなくなった」および「運転をしていなかった(ペーパードライバー)」が挙げられる。しかし、高齢になるにつれて、「運転技術の低下を実感した」、「高齢者による重大事故のニュースを耳にした」および「家族の勧めがあった」といった理由が増加する。
  • 運転免許を返納することの主なメリットは「事故を起こす心配がなくなった」ことと「車の維持費などの移動にかかる費用が安くなった」である。そして、4人に1人が「運動量が増えて健康になった」と回答している。運転免許を保有しなくなることは心理的、経済的効果に加えて健康面でのメリットもある。
  • ただし、運転免許の返納はメリットばかりではない。外出の頻度の減少、買い物の不便などのデメリットも生まれる。それらは、最寄りの駅・バス停まで徒歩での時間が「15分以上」の回答者に相対的に多くみられる。

1. 背景

自動車の運転を継続する意思のない運転免許保持者が、自主的に運転免許を返納することを法令上は「申請による運転免許の取り消し」と呼ぶ。この運転免許返納制度は、高齢運転者による事故防止策として、1998年の道路交通法改正によって始まった。

会員登録で レポートを全て見る