リスク情報・レポート / サステナブル経営 レポート
2018.3.1
プラスチックの資源循環に関する最新動向
本号の概要
- 本稿では、サーキュラー・エコノミーの考え方について概説したのち、プラスチック分野におけるサーキュラー・エコノミーに焦点を当てて、各国の政策や企業の取り組み等の最新動向について解説します。
- 近年国際社会において浸透しつつあるサーキュラー・エコノミーとは、従来の「採取-製造-廃棄」という直線型の経済モデルを脱却して、資源や製品、原材料等の価値を最大限に活用するシステムとされています。
- プラスチックは、大量消費・大量廃棄によって海洋汚染等の問題が生じていることを背景に、国際的に効果的な循環に向けた政策の発表や企業の取り組み等の動きが見受けられます。
- 企業がプラスチックの資源循環に関する取り組みを検討する場合、サーキュラー・エコノミーの概念のもと、より幅広い観点から検討すると、取り組み可能性が広がります。
- サーキュラー・エコノミーの概念に基づいてプラスチック資源循環の取り組みを実施することは、ビジネス機会になりうるという視点が重要です。
1.はじめに
2015年12月、欧州委員会はEUにおける新たなサステナビリティ戦略として「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」を採択しました。この戦略は、ヨーロッパ経済を循環型の経済に移行させることで、国際的な競争力の向上、持続可能な経済成長、新たな雇用の創出を目指すというものです。これを一つの契機として、国際社会においてサーキュラー・エコノミーの概念が広まりつつあり、その概念に基づいた取り組みを実行に移す企業も増えています。