レポート

第85号「静電気放電による火災への対策について」

2018.11.1

要旨

  • 静電気の性質について述べ、静電気放電が発生した場合に着火現象に至る危険性を解説した。
  • 静電気放電による火災対策の進め方について、帯電防止と可燃性雰囲気の形成防止に分けて述べた。
  • 近年発生した静電気放電による事故事例をあげ、同様の事故が発生する可能性および対策について解説した。

はじめに

これからの季節、冬に向かって気温が下がり空気が乾燥する時候になると、静電気によって衣類が体に貼りついて煩わしさを感じたり、車のドアノブと手の指先で放電が発生し思わず手を引きたくなるような痛みを感じたりすることが多くなる。

静電気による放電は、周りに燃えやすいものがあると着火し、火災の原因になると言われている。ここでは、静電気放電の性質について考察し、危険物や可燃物が多く扱われている現場などで起こりやすいケースを例にとり、火災の対策について述べる。

1.静電気発生のメカニズム

静電気は、物体の摩擦、流動、粉砕、噴霧などによって発生し、偏在したり蓄積したりする電荷や電荷によって引き起こされる現象をいう。良導電体のように電荷が移動しやすい物体の場合には、部 分的に電荷の偏りが発生しても短時間のうちに偏りが緩和される。

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