レポート

第78号「近年の火災の状況と求められる対策」

2017.9.1

はじめに

2017年7月28日に、「平成28年(1月~12月)における火災の状況(確定値)」が消防庁から公表された。

本稿では、「平成28年における火災の状況」および、東京消防庁が昨年9月に公表した「平成28年版火災の実態」を基に、近年の火災の状況および特に多い電気設備等や放火といった出火原因による火災事例を紹介し、防火対策のポイントについて述べる。

1.平成28年(1月~12月)における火災の状況

  • 総出火件数は36,831件で、前年より2,280件(▲5.8%)減少した。過去10年間においても減少傾向にあり、平成19年の54,582件と比較すると17,751件(▲32.5%)減少した。
  • 総死者数は1,452人で、前年より111人(▲7.1%)減少した。
  • 火災による損害額は752億3,340万円で、前年より約73億円(▲8.8%)減少した。しかし、依然として1日あたり約2億円、1件あたり約204万円という大きな損害が発生している。
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2.建物用途別・出火原因別の火災発生状況

(1)建物火災における建物用途別の火災発生状況

火災発生件数の多い建物用途のほとんどで件数が減少しているが、「工場・作業場」は1,614件であり、前年比で+16件(+1%)増加している。

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