レポート

第77号「2017年7月から改善される気象庁防災気象情報と企業の内水氾濫対策」

2017.7.1

1. はじめに

今年も水害を警戒すべき時期が到来する。近年、豪雨等による水害が毎年のように全国各地で発生している。2016年は、8月~9月にかけて台風が相次いで日本列島に襲来した。その際には、観測史上初めて太平洋岸から東北地方に台風が上陸したり、1年間に北海道に3つも上陸する等過去に例を見ない雨の降り方をもたらした。また、2017年6月には梅雨前線を伴う低気圧の影響で、和歌山県白浜町では日最大1時間降水量が観測史上1位を記録したり、静岡県浜松市では避難勧告が出されるなどの大雨があったばかりである。

本レポートでは、内水氾濫による被害の発生状況や被害事例を振り返るとともに、気象庁の防災気象情報の改善取組を紹介する。また、企業が取り組むべき内水氾濫対策について解説する。

2.大雨による内水氾濫リスク

(1) 大雨・内水氾濫の発生状況

大雨による洪水の発生タイプには、「河川(外水)氾濫」「内水氾濫」がある(図1)。河川氾濫は、集中豪雨等で広い範囲に大量に降った雨が河川に流れ込み、河川水位が上昇して水が堤防を越えたり、堤防が壊れることで氾濫が生じるものである。

一方、内水氾濫は、地域の排水能力を超える雨水が側溝や下水道に流れ込むことにより、排水不良となって局地的に水が溢れるものである。内水氾濫は、特に市街地化した都市部で発生しやすく、「都市型水害」と呼ばれる。

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