レポート

<号外>「高層の共同住宅における防火管理の重要性」※和文、英文にて提供

2017.6.1

はじめに

2017年6月14日未明に英国のロンドン西部にある高層公営住宅において、24階建ての建物全体に延焼する火災が発生した。
本稿では、前述の火災や過去に国内で発生した高層の共同住宅における火災事例から、被害が拡大した要因を考察し、対策のポイントについて述べる。
※本稿は2017年6月16日16時時点の情報に基づいて作成したものであることにご留意願いたい。

1. 高層公営住宅(ロンドン西部)における火災

本火災は2017年6月14日未明(日本時間午前9時頃)に英国のロンドン西部にある高層公営住宅(1974年竣工、24階建て)において、建物全体に延焼する火災が発生し多数の死傷者が発生した。建物下層階に位置する住戸部分より出火し、短時間のうちに建物全体へ被害が拡大したものと報道されている。

今回の火災に関し出火原因等の詳細については判明していないが、報道されている情報から推定される被害の拡大の要因について以下にまとめる(表1)。

(1) 初期消火
  • 配電室などのユーティリティ室に設置されていた消火器は使用期限が過ぎており、住民からもこれらの消火設備を更新するよう苦情が発生していたとの報道がある。住戸スペース(廊下など)に設置されていた消火器も使用期限が過ぎており、十分な消火能力を有していなかった可能性がある。

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