リスク情報・レポート

リスク情報・レポート / ESGリスクトピックス

2021.8.2

ESGリスクトピックス<2021 No.5>

今月の主なトピックス

Environmental-環境-

<自然資本と情報開示>
TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が正式発足、ガイドライン策定へ

自然資本に関する財務情報の開示を検討する自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD: Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)が6月4日、正式に発足した。TNFDは、企業などの組織がその自然関連のリスクや機会に関する情報開示や取組を実施するための枠組みを、2023年までに正式リリースするとしている。 この枠組みは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みを基本として作成される予定。

(参考情報:2021年6月4日付Taskforce on Nature-related Financial Disclosures Capitals Coalition HP

<気候変動・脱炭素>
農水省、食料・農林水産業のTCFD*手引書および脱炭素化技術の紹介資料を公表

農林水産省は6月27日、「食料・農林水産業の気候関連リスク・機会に関する情報開示入門(TCFD手引書)」、「フードサプライチェーンにおける脱炭素化技術・可視化(見える化)に関する紹介資料」を公表した。

TCFD手引書では、業種ごとに、サプライチェーンの各段階において気候変動がもたらす重要なリスクや機会を例示している。紹介資料では、フードサプライチェーンにおいて既に導入されている脱炭素化技術や導入が期待される技術を 中心に65の事例を示し、うち7事例については詳細な内容を紹介している

(参考情報:2021年6月27日付農林水産省 HP

<自然資本と気候変動>
環境省が、気候変動による災害激甚化に関する影響評価(中間報告)を公表

環境省は7月2日、気候変動による災害激甚化に関する影響評価(中間報告)を公表した。本報告では、今後、地球温暖化が進行した世界(2℃/4℃上昇シナリオ)*において、令和元年東日本台風 (台風19号)クラスの台風が襲来した場合にどのような影響が生じるかについて、スーパーコンピュータでシミュレーションした結果が示された。

地球温暖化が進行した世界においては、台風は令和元年当時よりも強い勢力を保ったまま日本列島に接近・上陸することが予想され、より多くの降雨のために氾濫する河川が増加すること、また、高潮の最大潮位の上昇などにより 一層の被害が発生する可能性が高まることが示された。

(参考情報:2021年7月2日付環境省 HP

<サーキュラーエコノミー>
EUの使い捨てプラ指令が加盟国で適用開始

EUの使い捨てプラスチック指令(Directive on single-use plastics)の一部適用が7月3日、加盟国で開始された。カトラリーや皿、ストローなどの、代替品が利用可能なプラスチック製品については流通禁止となるほか、 特定の使い捨てプラ製品に対してはプラスチック含有情報や廃棄物の管理方法に関する表示が義務化された。

(参考情報:2021年7月3日付EU:Single-use plastics HP

Social-社会-

<労働観光>
男性の育休取得推進を目的にした改正育児・介護休業法が成立

男性従業員が育児休業を取りやすくすることを主な目的にした改正育児・介護休業法が6月3日、衆院本会議で可決・成立した。子どもの出生後8週間以内に4週間まで取得可能になる。企業には育児休業を取得しやすい環境の整備を求め、 従業員から妊娠・出産の申し出があった際の育休取得の意向確認を義務付ける。さらに2023年4月以降、従業員1000人超の企業に、男性従業員の育児休業の取得状況の公表を義務化する。2022年度内の施行を予定。

(参考情報:2021年6月9日付厚生労働省 HP

<人権>
UNGC、サプライチェーンの低所得労働者の賃金改善のガイダンスを公表

国連グローバル・コンパクト(UNGC)は6月9日、サプライチェーンのおける低所得労働者の賃金改善のために、企業が取るべき取り組みのガイダンスを公表した。衣料や農業などの産業での過去例を踏まえ、労働者やその家族が 尊厳のある生活が可能な賃金水準の分析や支払い方法の改善、労使間の対話促進など、企業に求められる取り組みの指針を示した。

(参考情報:2021年6月9日付国連グローバルコンパクト HP

<人権>
JETROが、欧米主要国の人権法制化動向をまとめたレポートを公表

日本貿易振興機構(JETRO)は6月16日、欧米主要国のビジネスと人権に関連する法制化や企業の対応事例をまとめたレポート公表した。EU、英国、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、スペイン、 米国、カナダ、豪州について、政策動向のほか、企業の対応や不遵守の場合のペナルティなどを掲載している。

(参考情報:2021年6月16日付JETRO

<児童労働>
UNICEFとILOが2020年度の児童労働に関する報告書を発表、20年ぶりに増加に転じる

国連児童基金(UNICEF)と国際労働機関(ILO)は6月10日、2020年度の児童労働に関する報告書を発表した。児童労働に従事している子どもの数が過去4年間で約840万人増加し、全世界で1億6000万人に上り、 2000年以降減少していた児童労働者数が増加に転じたことを明らかになった。さらに、COVID-19の影響で貧困問題が加速しており、22年までに新たに約900万人の子どもが児童労働に追い込まれる可能性があると警鐘を鳴らした。 併せて、児童労働を防止するため、児童手当を含む全ての人への十分な社会的保護や児童保護の仕組み、農業開発、農村部の公共サービス・インフラへの投資、ディーセントワークの推進、ジェンダー平等の促進などを呼びかけた。

(参考情報:2021年6月10日付UNICEF HP

(参考情報:2021年6月10日付ILO HP

Governance-ガバナンス-

<ガバナンス>
グローバル・コンパクト、SDGs目標「平和と公正」達成に向けた企業の貢献のガイダンスを公表

国連グローバル・コンパクトは6月1日、国連持続的な開発目標(SDGs)の17の目標のうち、企業に最も理解が浸透していないとされる目標16「平和と公正をすべての人に」の達成を目的に、企業の貢献を促すための新たな ビジネスフレームワーク(SDG 16 Business Framework: Inspiring Transformational Governance)を公表した。ESGのうち「G」(ガバナンス)に関し、求められるガバナンスの内容や理由、手法を示す。企業文化や倫理の向上などのサポートがねらい。

(参考情報:2021年6月1日同団体 HP

(参考情報:2021年6月1日同団体 HP

<健康経営>
経産省が、健康経営優良法人441社の評価内容を追加公開

経済産業者は6月17日、特に優良な健康経営を実践している企業などとして認定を受けた健康経営優良法人441社の評価内容を公開した。5月の先行48社に続く公開。同認定の調査項目に基づき、経年の改善状況や同業他社などの 比較などを数値化して掲載している。近年機関投資家の間で高まっている投資先企業のESG(環境・社会・ガバナンス)取り組みへの関心に応えるのが主なねらい。

(参考情報:2021年6月17日経済産業省 HP

全般・その他

<SDGs>
SDSNらが165カ国のSDGs関連取組を分析した報告書を発表、コロナ禍により取組が停滞

持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)らは6月14日、世界165カ国のSDGs関連取組の達成状況を分析した報告書「the Sustainable Development Report」を発表した。COVID-19のパンデミック発生に伴う 貧困率と失業率の増加等の要因により、2015年のSDGs採択以来初めて、SDGsへの取組平均スコアが低下したが、SDGsはCOVID-19からの持続的、包括的、かつ強靭な復興に役立つものと指摘。取組進捗の回復、加速のために、 多国間協力の強化や、SDGs達成戦略によって生じる他国への負の波及効果の認識・低減の重要性について説明している。

(参考情報:2021年6月14日付SDSN HP

今月の『注目』トピックス

<SDGs>
経団連が、報告書「SDGsへの取組みの測定・評価に関する現状と課題~『行動の10年』を迎えて」を公表

(参考情報:2021年6月15日付日本経済団体連合会 HP

経団連は6月15日、報告書「SDGsへの取組みの測定・評価に関する現状と課題~『行動の10年』を迎えて」を公表した。本報告書では、国・自治体、企業等における"SDGs達成に向けた取組み"に関する測定・評価について、 手法の開発状況や課題を体系的に整理し、実践事例とともに紹介している。

SDGsへ取組企業等が増えているものの、効果の測定・評価について試行錯誤している状況があった。本報告書は、測定・評価手法の整理・課題の明確化を行うことにより、SDGs達成に向けた企業等の取り組みの実効性を 向上につなげることを目的としている。

Q&A

Question

当社は、リスク管理委員会を設置し、事業を取り巻くすべてのリスクを統括的に管理していきたいと考えていますが、経営戦略に関わるリスクについては、リスク管理委員会では限定的に取り扱っています。本来、 このような経営戦略に関わるリスクを、リスク管理委員会がどのように取り扱うべきでしょうか。

ESGリスクトピックス(旧:CSR・ERMトピックス)

国内外における主なトピックスを、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)ごとに紹介しています。
(A4数枚、毎月発行)