リスク情報・レポート

リスク情報・レポート / ESGリスクトピックス

2021.12.1

ESGリスクトピックス<2021 No.8>

今月の主なトピックス

Environmental-環境-

<気候変動>
UNFCCCが各国の最新の温室効果ガス削減目標を統合した「NDC統合報告書」を発行

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)*事務局は10月25日、各国の温室効果ガス削減目標(NDC)を統合・分析した最新の「NDC統合報告書」を発行した。本報告書によると、NDC未提出の39カ国も含めて192カ国のNDCを合算したところ、 2030年での全世界のCO2排出量は2010年比で約16%の大幅増となる見込みである。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)**の最新の知見から、現在のNDCでは2100年末までに約2.7℃の気温上昇をもたらす可能性があるという。

(参考情報:2021年10月25日付United Nations HP

<気候変動>
SBTi、企業のネットゼロ目標の策定基準「ネットゼロ・スタンダード」を発表

気候変動に関する科学的根拠に基づく削減目標イニシアティブ:SBTi(Science Based Targets initiative)*は10月28日、企業が科学的根拠に基づいたネットゼロ目標を策定する際の基準 「ネットゼロ・スタンダード(Net-Zero Corporate Standard)」を発表した。SBTiは本基準に基づき、企業の目標が地球の温暖化を1.5℃未満に抑えるというパリ協定の目標に沿っていることを承認する。

パイロットとして、アストラゼネカ(英国)、CVSヘルス(米国)などのグローバル企業7社の目標が既に承認され、他の企業に対しても2022年1月から承認手続きが開始される。

(参考情報:2021年10月28日付SBTi HP

<気候変動>
英国、TCFDに沿った情報開示を義務付ける法案提出。法制化はG20初

英国のビジネス・エネルギー産業戦略省は10月28日、同国に登記している大企業・金融機関に対し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に沿った情報開示を義務付ける法案を提出した。同法案は、議会の承認後、 2022年4月より適用される予定で、その対象はおよそ1,300社以上にのぼる。政府は2021年末までに、対象企業に向けた任意の開示ガイダンスを発表するとしている。

(参考情報:2021年10月29日付Gov.UK:UK to enshrine mandatory climate disclosures for largest companies in law

Social-社会-

<人権>
国連人権理事会、持続可能な環境への権利を人権と決議

国連人権理事会は10月8日、安全、清潔、健康的かつ持続可能な環境への権利を人権と認める決議を採択した。決議案に反対はなく、賛成43カ国、日本を含む4か国は棄権した。決議では、環境破壊が特に脆弱な立場にある人々に 悪影響をおよぼしており、現在および将来世代の人権への脅威であると警鐘を鳴らした。また、持続可能な環境に対する権利が既に各国の法律等で認められていることをあげ、各国に対して他国、国際機関、市民社会、 企業等のステークホルダーとの協力や本権利を人々が享受するための政策を適切に採択するよう促した。

(参考情報:2021年10月8日付国連人権理事会 HP

<働き方改革>
経団連、企業に副業・兼業の導入を促す報告書を発表

経団連は10月12日、副業・兼業を促進する報告書を発表した。副業・兼業を働き手のエンゲージメント向上や「働きがい」と「働きやすさ」の双方を高めるための施策と位置付け、働き手の多様なニーズに応えると同時に、 企業の社外知見を活かしたイノベーションにつながると主張。一方で、副業を容認する企業は22%にとどまると指摘。主要15社の取組事例を紹介し、社内副業も含め自社の実態にあわせた導入の検討を促す内容になっている。

(参考情報:2021年10月12日付経団連 HP

<人権>
ヒューマンライツ・ナウが、中小企業向けに人権侵害の救済メカニズム導入時のポイントなどを提言

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは10月12日、人員や資金などのリソースが不足しがちな中小企業が、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」が求める人権侵害を受けた場合の実効的な救済の仕組み 「グリーバンスメカニズム」を導入する際のメリットやステップをまとめた提言を公表した。指導原則が挙げる同仕組みに必要な要素について実例とポイントを提示。その上で、導入推進のために中小企業・政府に宛てた改善提案を示した。

(参考情報:2021年10月12日付国際人権 NGO ヒューマンライツ・ナウ HP

全般・その他

<気候変動リスク>
年金積立金管理運用独立行政法人が「2020年度GPIFポートフォリオの気候変動リスク・機会分析」を刊行

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は10月5日、「2020年度GPIFポートフォリオの気候変動リスク・機会分析」を刊行した。2018年から毎年8月に刊行している「ESG活動報告」の別冊で、より詳細な分析結果や補足分析を紹介している。 今年は、①サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量に基づく分析、②分析対象を伝統資産のみからオルタナティブ資産へ拡大、③低炭素社会への移行に伴う機会とリスクの産業間移転の分析を新たに行った。

(参考情報:2021年10月5日付同法人 HP

<サステナブル調達>
Ecovadis社がサプライチェーンにおけるサステナビリティを評価した年次報告書「Business Sustainability Risk and Performance Index 2021」を発表

サプライチェーンにおけるサステナビリティ評価機関であるEcovadis社(仏)は10月5日、同社が評価した世界46,000社の全体傾向をまとめた年次報告書を発表した。

同報告の対象期間は2016年から2020年であり、評価対象は9業種(軽工業、重工業、先進工業、食品、建設、卸売・サービス・専門、輸送、ICT、金融・法務・コンサルティング・広告)で、4テーマ(環境、労働慣行や人権、公正な 企業倫理、サステナビリティ調達)ごとにスコアリングしている。

(参考情報:2021年10月5日付Ecovadis HP

(参考情報:2021年10月5日付Ecovadis HP

<エシカル>
日本エシカル推進協議会が日本初の総合的なエシカル基準を公表

一般社団法人日本エシカル推進協議会(JEI)は10月13日、日本初となるエシカルについての総合的な基準である「JEIエシカル基準」を公表した。同基準は従来明確な定義・基準がなかったエシカル度について、8つの分野、 各4~7つの課題・配慮項目を設定しており、全43項目で構成。自社あるいは商品・サービス・ブランドのエシカル度を客観的指標に基づいて評価することができる。なお、特定の分野・原材料についてはエシカルに関す る第三者認証が存在するが、当該認証取得企業においても、複数分野にまたがる活動をカバーし、総合的にエシカルであることを示すため、本基準の併用は有意義であるとしている。

(参考情報:2021年10月13日付同法人 HP

<ESG投資>
米労働省、企業年金の投資先にESG要因の考慮を認める規則案公表、前政権から転換

米労働省は10月13日、企業年金の投資先を選定する際にESG要素の考慮を可能とする規則案を公表した。収益のみを考慮すべきとしたトランプ前政権の規則を転換させたもの。具体的には、気候変動リスクに対する備え、 取締役会のガバナンス、コンプライアンスの遵守度、従業員の多様性確保などを投資先決定の要素とすることや、議決権行使の際に考慮することを認める。規則案はパブリックコメントを経て施行される見込み。

(参考情報:2021年10月13日付米国労働省 HP

<情報開示>
IFRS財団が国際サステナビリティ基準審議会発足

国際的な財務報告基準の開発を主導してきたIFRS財団は11月3日、国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainable Standards Board、ISSB)の発足を公表した。

国際会計基準審議会(IASB)に並ぶ組織としてISSBが設立されたことにより、サステナビリティ報告の基準開発が本格化することとなる。同日、ISSBの発足のために組成されていた ワーキンググループからは「気候関連開示」と「サステナビリティ開示一般要求事項」に関する2つのプロトタイプが公表されており、今後、同プロトタイプのパブリックコメントを募集、2022年3月までの草案公表を目指している。

(参考情報:2021年11月3日付IFRS 財団 HP

今月の『注目』トピックス

<DX>
IPAがDX取り組みの日米企業比較を公表、日本に遅れ目立つ結果

(参考情報:2021年10月11日IPA HP

情報処理推進機構(IPA)が10月11日に公表した「DX白書2021」で、DXに関する戦略・人材・技術について、日米両国の企業を対象に実施したアンケート結果によると、 日本企業の取組の遅れが明らかになった。全社戦略に基づくDX推進や経営層と実務部門の共通理解などの質問で、肯定的な回答の割合が、米国企業は日本企業のほぼ倍だった。主なポイントは以下の通り。

Q&A

Question

2022年6月に予定される改正公益通報者保護法の施行に先立ち、消費者庁が先般、企業が内部通報に適切に対応するために必要な義務などを示した「指針」と「指針の解説」を公表しました。これらを踏まえて、企業が留意すべき点を教えて下さい。

ESGリスクトピックス(旧:CSR・ERMトピックス)

国内外における主なトピックスを、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)ごとに紹介しています。
(A4数枚、毎月発行)