リスク情報・レポート

リスク情報・レポート / ESGリスクトピックス

2021.1.4

ESGリスクトピックス<2020 No.10>

今月の主なトピックス

Environmental-環境-

<サーキュラーエコノミー>
エレン・マッカーサー財団、サーキュラーエコノミーのパフォーマンス測定ツールをアップデート

英エレン・マッカーサー財団は10月28 日、サーキュラーエコノミーのパフォーマンス測定ツールのアップデート版「Circulytics 2.0」をリリースした。Circulyticsは、製品やマテリアルフローの評価だけではなく、 企業が事業全体における循環性をどの程度達成しているか評価できる。2020年の1月にリリースされてから、全世界で600社以上の企業が登録している。今回のアップデートにより、操作性の改善、 多くの業界ベンチマークの入手等が行われており、企業の循環性をより包括的に把握できる。

(参考情報:2020年10月28日付Ellen Macarthur Foundation, Circulytics - measuring circularity HP

<生物多様性>
IUCNとIOCらがスポーツインフラの開発における生物多様性保護ガイダンスを発行

国際自然保護連合(IUCN)は、国際オリンピック委員会(IOC)、サンフランシスコ河口協会(SFEI)と協働し、ガイダンス「スポーツと都市の生物多様性:都市の自然とスポーツの相互利益を達成するためのフレームワーク」を発行した。 本ガイダンスは、都市の生物多様性への投資が、スポーツ連盟、会場の所有者、運営者にとって、コストではなく新しい機会を提供するものであるとしている。また、スポーツインフラの生物多様性への影響を決定する7つの生態学的観点として、 「都市景観全体の接続性*」「生息地パッチを取り巻く景観マトリックスの質**」「利用可能な生息地の多様性」「在来植生」「水や営巣地などの特殊な資源」「野生生物に配慮した管理」を挙げ、計画策定のフレームワークの概要を説明している。

(参考情報:2020年11月6日付IUCN HP

<気候変動>
WWF、不安定な気候下でレジリエントなビジネスを行うためのガイドを発表

国際NGOのWWFは11月17日、企業向けに、気候変動に伴う不安定な気候下で企業がレジリエントであるための方法を解説したガイド"Rising to Resilience: A practical guide for business and nature"を発表した。

同ガイドは、気候変動により暴風雨や干ばつ、熱波などがより深刻かつ高頻度になるとし、企業においてはこのような気候に耐え、回復し、適応できる「レジリエンス」が必要と指摘。企業がレジリエンスを高めるための ステップを以下の通り解説している。

(参考情報:2020年11月17日付WWF HP

<生物多様性>
WBCSD、循環型バイオエコノミーが環境課題を解決しながら約800兆円のビジネス機会を生むとの報告書を発表

WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は11月23日、循環型バイオエコノミーに関するレポート"The business opportunity contributing to a sustainable world"を発表し、製薬、繊維、建材などの10の分野で バイオ由来製品が従来型の製品を補完、代替することにより2030年までに7.7兆ドル(約800兆円)相当のビジネス機会が生じると指摘した。また、バイオ資源を持続的に管理・回収し、最大限再利用する循環型バイオエコノミーは、 気候変動、生物多様性、生態系の損失、資源不足などの環境課題への対応にもつながるとしている。

(参考情報:2020年11月23日付WBCSD HP

<サステナブル・ファイナンス>
サステナブル・ファイナンスの国際プラットフォーム、グリーン投資の枠組み策定へ。金融庁も加盟。

EUが2019年に設立したサステナブル・ファイナンスの国際的なプラットフォーム「International Platform on Sustainable Finance(IPSF)」が今年10月に公表したIPSFの活動報告書によると、 共通かつ基礎的なタクソノミー*の策定を目的とした作業部会が既に検討を始めていることや、情報の透明性を高めるための開示やグリーンボンド等の持続可能な金融商品の基準やラベルの専門部会、 作業部会を将来的に立ち上げるとしている。金融庁は11月24日、IPSFへの加盟を発表している。パリ協定の目標達成への金融市場の貢献が期待されることに鑑みると、規制・法制化とならないまでも ソフト・ローといった形でのタクソノミー等の適用が国内において進みそうである。

(参考情報:2020年10月16日付EU,Annual report of the International Platform on Sustainable Finance (IPSF)HP

(参考情報:2020年11月24日付金融庁 HP

Social-社会-

<IoT>
経済産業省、IoT機器・システムのセキュリティ対策のフレームワークを公表

経済産業省は11月5日、「IoTセキュリティ・セーフティ・フレームワーク」を公表した。同フレームワークの活用で、関連の機器・システムに潜むリスクごとにカテゴリー分けし、それぞれに求められるセキュリティ・セーフティの要求事項を把握できる一方、カテゴリー間の比較も可能という。

(参考情報:2020年11月5日付経済産業省 HP

<サイバーセキュリティ>
世界経済フォーラムがサイバーセキュリティに関する緊急提言を発表

世界経済フォーラムは11月15日、オックスフォード大学とともに、コロナ禍によるテレワークとサイバー攻撃の増加を受けた緊急性の高い対応策をまとめたレポートを発表した。レポートでは、「セキュリティ業界」「業界団体や政府」「国際社会全体」の3つに大別したうえで、計15項目の緊急かつ協調的な行動を提示している。

(参考情報:2020年11月16日付世界経済フォーラム HP

<AI>
富士フイルムグループがAI基本方針を策定

富士フイルムホールディングスは11月30日、「富士フイルムグループ AI基本方針」を公表した。研究・開発、生産、販売・マーケティングをはじめとする企業活動全般において、人工知能(AI)を有効かつ適切に活用するための指針として作成。不平等や格差の拡大等、AI技術がもたらすリスクもふまえ、公正な利用、人権の尊重、情報セキュリティの管理、透明性の確保などの観点から、従業員一人ひとりがAIを有効かつ適正に活用することを定めている。同社はAI技術の進展に伴う社会の動きや価値観の変化を適切にとらえながら、AI活用によりもたらされる価値を最大限活用し、社会課題の解決に取り組むとしている。

(参考情報:2020年11月30日付富士フイルムホールディングス HP

Governance-ガバナンス-

<取引慣行>
公正取引委員会、スタートアップの取引慣行に関する実態調査の最終報告を発表

公正取引委員会(以下、同委員会)は11月27日、スタートアップ企業の取引慣行に関する実態調査の最終報告を公表した。

本報告は、多くのスタートアップ企業が連携事業者、出資者、競合他社等との関係において、独占禁止法上問題となるおそれのある行為を受けていることを指摘。また、売上げ規模や法務担当者の有無の観点から比較した結果、売上が小規模かつ法務担当者不在の場合、連携事業者や出資者から納得できない行為を受けやすい状況にあることが明らかになった。
今後、同委員会は独占禁止法上問題となるおそれのある行為を未然に防止すべく、本報告書の速やかな周知徹底、および独占禁止法違反行為に対する厳正な対処を行っていく。

(参考情報:2020年11月27日付公正取引委員会 HP)

全般・その他

<情報開示>
金融庁が「記述情報の開示の好事例集2020」を公表

金融庁は11月6日、有価証券報告書や統合報告書における非財務情報に関する「記述情報の開示の好事例集2020」を公表した。2020年版では、新たに「新型コロナウイルス感染症」と「ESG」に関する好事例を取りまとめた。「新型コロナウイルス感染症」については、感染症が長期化することを踏まえた事業への短期・中期的な観点での影響を取りまとめた事例や、環境変化に伴う新たなリスクを洗い出して記載している事例などを取り上げている。「ESG」については、「SDGsと事業との関連性」「ダイバーシティ」「気候変動」「人材育成・人材投資」「DX」「経営者メッセージ」に関する好事例を取り上げ、それぞれ情報開示をするうえで参照すべきポイントを解説している。

(参考情報:2020年11月6日付金融庁 HP

<サステナビリティ>
WBCSD、資本主義の在り方に変革を求めるレポート「資本主義の再発明」を公表

WBCSDは11月11日、同団体の2050年までのビジョンの改訂作業「Vision 2050 Reflesh」の一環として、現在の資本主義の在り方に変革を求めるレポート「資本主義の再発明」を公表した。レポートでは、資本主義は価値を搾取するモデルから真に価値創造に資するモデルに変革していく必要があり、そのためには企業の社会・環境コストやそれらがもたらす利益が、製品・サービス価格や損益計算書、資本コスト、市場評価等に反映されるべきとされている。新たな資本主義モデルを実現するためには、企業や投資家の行動を促す動機付けや新たな企業の評価方法を検討すべきとし、同団体は、会員企業間の協力関係の形成やPRIと連携した資本主義の再定義のための活動を行うとしている。

(参考情報:2020年11月11日付WBCSD HP

<全般>
大手機関投資家が、低炭素社会の実現に向けた一層の情報開示強化を求める声明を発表

機関投資家大手80機関以上が参加する「低炭素経済推進イニシアチブ(TPI)」は11月13日、GRIやSASB等が定める企業情報開示のフレームワークでは開示が不十分だとして改善を求める声明を発表した。二酸化炭素の排出量が多い企業に対して情報開示強化をとともに排出量削減に向けた企業戦略と投資の意思決定を明確にするよう求めている。

(参考情報:2020年11月13日付TPI HP

<ESG>
日本取引所グループが「JPX ESG Knowledge Hub」を開設

日本取引所グループは11月20日、「ESG Knowledge Hub」を開設した。
同サイトは上場会社のESG 情報開示の促進を目的に「ESG 情報開示実践ハンドブック*」に関するオンラインセミナーや、ESG情報開示の参考となる情報等を無料で提供する。同サイトのコンテンツの作成には、サポーターとして登録されている国内外投資機関・関連団体が協力しており、今後、上場会社と投資家や関連団体等をつなぐコミュニティとなることを目指し、同サイトを展開していく。

上場会社がESG課題に取り組み、情報開示を行うための検討ポイントを紹介するハンドブック(日本取引所グループ2020年3月公表)

(参考情報:2020年11月20日付JPXグループ HP

今月の『注目』トピックス

<デジタルガバナンス>
経産省、企業のDX推進でデジタルガバナンス・コードを公表

(参考情報:2020年11月9日付同省HP、および情報処理推進機構HP

経済産業省は11月9日、政府が次世代の超スマート社会として提唱する「Society5.0」の実現に向けて、企業がビジネスモデルの抜本的な変革(DX*:デジタルトランスフォーメーション)により、企業価値を継続的に向上させるために実践すべき取り組みなどをまとめた「デジタルガバナンス・コード」を公表した。
同コードでは、企業が自社の取り組みについて、株主・投資家を始めとするステークホルダーとの対話において重視すべきトピックスを4つの「柱」に整理。それぞれに柱について、目標レベルに応じて「(1)基本的事項」「(2)望ましい方向性」を設定した。

新年特別コラム

2020年のESGトピックス・2021年に実施すべきリスク対策

2020年はCOVID-19という新種ウィルスの蔓延により、経済の停滞や社会不安の拡大をもたらしました。これを背景に、リモートワークやビデオ会議の導入、リスク管理やBCP・BCMの見直し、さらには事業戦略の再考や事業転換など企業のあり方へも影響があったのではないでしょうか。また、SDGs(持続可能な開発目標)が2015年に示されてから世界は持続可能な社会、経済の必要性が浸透しつつありましたが、この新型コロナの出現によって、持続可能性の重要性を痛感したように思います。

ESGリスクトピックス(旧:CSR・ERMトピックス)

国内外における主なトピックスを、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)ごとに紹介しています。
(A4数枚、毎月発行)