リスク情報・レポート

リスク情報・レポート / ESGリスクトピックス

2021.4.1

ESGリスクトピックス<2021 No.1>

今月の主なトピックス

Environmental-環境-

<気候変動>
PRI、日本向けに 2050年温室効果ガス排出量ネットゼロを実現するための政策提言を発表

国連責任投資原則(PRI)は 2月2日、日本の 2050年のカーボンニュートラル達成に向けた政策提言「Deliver net zero emissions to Japan」を発表した。1.政策全体、2.電力、3.産業、4.交通・輸送、5.建築物の項目ごとに、“経済的、政治的、技術的に達成可能かつ有益”な温室効果ガス排出量ネットゼロに資する主要政策がまとめられている。例えば、政策全体に関する提言では、2050年までの具体的なロードマップの作成や、2030年までの中間目標の設定、カーボンプライシング制度の導入などを要請している。

(参考情報:2021年2月2日付 PRI HP

<炭素税>
欧州議会環境委員会、炭素国境調整メカニズムの早期実現を欧州委員会に要請する決議案を採択

欧州議会環境委員会は2月5日、「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」を実現することを欧州委員会に要請する決議案を採択した。炭素国境調整メカニズムとは、排出規制が不十分なEU域外からの製品の輸入に、炭素税を課すというもの。欧州議会環境員会は、同メカニズムに関して、既存のカーボンリーケージ対策に代わるものとするべきであることや、EU排出権取引制度(EU-ETS)に基づく全ての輸入製品を対象とする必要性を主張した。

EUは既に域内の温室効果ガス(GHG)排出量の大幅な削減に成功しているものの、輸入による排出量は増加している。世界全体での排出量を削減するという目的においては、EUの取り組みがもたらす効果は損なわれていると言える。このような背景により、炭素国境調整メカニズムの早期実現が求められることに繋がった。

「カーボンリーケージ」とは、域内で厳しい炭素税などを課すことで、企業が生産拠点を排出規制が比較的緩い国や地域に移してしまい、その結果域外でのGHG排出量が増加すること。地球全体での排出量の増加に繋がる可能性もあるため、問題視されている。

(参考情報:2021年2月5日付 欧州議会HP

<生物多様性>
BNPパリバ、アマゾンおよびセラードでの森林破壊に対抗する投融資方針を発表

金融世界大手のBNPパリバは2月15日、深刻化する森林破壊問題に対応するため、ブラジルのアマゾンおよびセラードの森林を破壊して牛肉・大豆を生産する企業およびそれらを調達する企業に対し金融商品・サービスを提供しない方針を発表した。

具体的には、アマゾンで2008年以降に伐採・転換された土地からの牛肉・大豆を生産・調達する企業に融資をしないこと、2020年1月以降にセラードを開墾・転換して牛肉・大豆を生産・調達しないよう投融資先に働きかけること、投融資先に対し2025年までに牛肉・大豆の完全トレーサビリティを実現するよう求めること、を表明している。

(参考情報:2021年2月15日付 BNP パリバ HP

<サーキュラーエコノミー>
サーキュラーエコノミーと資源効率性に関するグローバルアライアンスが発足

欧州委員会は2月22日、国際環境計画(UNEP)、国際工業開発機関 UNIDO)と協働で「サーキュラーエコノミーと資源効率性に関するグローバルアライアンス(GACERE)」を発足した。本アライアンスは、各国政府や関連するネットワーク・組織を集結させ、サーキュラーエコノミーへの移行、資源の効率的利用、持続可能な消費および生産に関連する取り組みを世界的に促進させることを目的としており、日本などの11か国とEUが加盟した。

(参考情報:2021年2月22日付 欧州委員会HP

<気候変動 >
重工業脱炭素化にむけたグローバル・フレームワーク原則、18の企業・団体が賛同表明

国際環境NGOのThe Climate Groupと Mighty Earthは2月25日、重工業の脱炭素化に関するグローバルフレームワーク原則を公表した。企業の温室効果ガス排出削減計画・公約と連動した公的投資の実施、産業プロセスにおける化石燃料使用を廃止するための低炭素技術等への優先的投資など、6つの基本原則が示されている。既に、アメリカ、EU、中国等から18の企業、市民社会団体が同フレームワークへの賛同を表明。今後、政治家や経営者に対し、同フレームワークを採用するよう呼び掛けていく。

(参考情報:2021年2月25日付 The Climate Group HP

<気候変動 >
地球温暖化対策推進法 改正案を閣議決定、2050年までの温暖化ガス排出ゼロを明文化

政府は3月2日、地球温暖化対策推進法の一部改正を閣議決定した。昨年秋に政府が表明した「2050年カーボンニュートラル」宣言を踏まえ、同年までの温暖化ガス排出ゼロを明文化した。そのほか、「地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業推進計画・認定制度の創設」や「脱炭素経営促進に向けた企業の排出量情報のデジタル化・オープンデータ化の推進」などを盛り込んだ。

(参考情報:2021年3月2日付 環境省 HP

Social-社会-

<環境・人権>
約70の国際NGOが、バッテリー製造で環境負荷軽減や人権尊重を求めるレポート公表

アムネスティ・インターナショナルなどの71の国際NGOが2月4日、バッテリーのバリューチェーンにおける環境・人権原則をまとめたレポートを発表した。電気自動車や再生可能エネルギー貯蔵用などでバッテリーの需要が高まる中、原料の海底採掘活動が海底生態系や健康にもたらす被害などを指摘。企業に、環境への負荷を考慮した製品開発や人権の尊重を、政府には環境保護法制の適用などをそれぞれ求めた。

(参考情報:2021年2月4日付 アムネスティ・インターナショナル HP

Governance-ガバナンス-

<コーポレートガバナンス>
東証、市場区分の見直しに向けた上場制度の整備に関する説明資料公表

東京証券取引所は2月15日、2022年4月に予定している市場区分の見直しに関し、新市場区分の制度や移行プロセスについて詳細を公表した。併せて、スタンダード・プライム各市場の上場会社が対応すべきコーポレートガバナンス・コードの全ての原則について、「コンプライ・オア・エクスプレイン」を行う際の留意点と開示例を公表した。今後改訂が予定されているCGコードの内容や上場料金などは、21年春以降に公表する予定。

(参考情報:2021年2月15日付 東証 HP
市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について
コーポレートガバナンス・コードの全原則適用に係る対応について)

全般・その他

<ESG投資>
ブラックロック、投資先企業に気候変動リスク関連情報の開示拡大を要求

米資産運用会社ブラックロックは2月17日、投資先の企業に温室効果ガスの排出量のベースラインや削減目標、移行計画に関する情報開示の拡大を要求する声明を発表。責任を果たせない企業の取締役選任議案に反対する考えにも言及した。同社は「気候変動リスクは投資リスクであり、同社の投資方針の中核」と述べた。

(参考情報:2021年2月17日付BlackRock HP「Climate risk and the transition to a low-carbon economy」

<ESG投資 >
GPIF、2020年度の「優れた統合報告書」77社を発表

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2月24日、国内株式の委託先運用機関が選定した2020年度の「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」を発表した。運用機関がそれぞれ最大10社を選定し、「優れた統合報告書」はのべ77社(前回71社)、「改善度の高い統合報告書」はのべ94社(前回91社)が選ばれた。

(参考情報:2021年2月24日付GPIF HP

今月の『注目』トピックス

<気候変動>
経済産業省、「GOVERNANCE INNOVATION Ver.2: アジャイル・ガバナンスのデザインと実装に向けて」の報告書案を発表

(参考情報:2021年2月19日付 経済産業省 HP

経済産業省の「Society5.0における新たなガバナンスモデル検討会」(以下、検討会)は2月19日、「 GOVERNANCE INNOVATION Ver.2: アジャイル・ガバナンスのデザインと実装に向けて」(以下、同報告書案)の報告書案を発表した。

ociety5.0*の実現にむけて、これまで検討会では社会の各構成員(政府、企業、コミュニティ・個人)が相互に協力し、ガバナンスの担い手として各自の責任を果たすためのガバナンスモデルについて検討してきた。2020年7月の第1弾報告書**の内容を前提に、同報告書案ではSociety5.0におけるガバナンスの基本となる「アジャイル・ガバナンス」のあり方を示した。

Q&A

Question

責任銀行原則(Principles for Responsible Banking;以下、PRB)という言葉を最近よく聞きますが、責任投資原則(Principles for Responsible Investment;以下、PRI)との違いは何でしょうか。また、PRBによって銀行に何か影響はあるのでしょうか?

ESGリスクトピックス(旧:CSR・ERMトピックス)

国内外における主なトピックスを、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)ごとに紹介しています。
(A4数枚、毎月発行)