リスク情報・レポート

リスク情報・レポート / ESGリスクトピックス

2021.6.1

ESGリスクトピックス<2021 No.3>

今月の主なトピックス

Environmental-環境-

<気候変動>
SASB、77業種分類ごとに気候変動関連リスクについて分析した報告書を公表

SASB(サステナビリティ会計基準審議会)は4月12日、投資家の気候関連リスク・機会の管理を支援するため、気候関連財務情報開示に関する現状分析をまとめた報告書「Climate Risk Technical Bulletin」の2021年版を発表した。 同報告書は、SASBの77業種分類ごとに気候関連リスクの重要性や財務影響の表れ方について整理しているほか、現状の情報開示状況についても分析している。業種ごとの分析の結果、77業種中68と大半の業種において 気候関連リスクが著しい影響をもたらすと結論付け、投資家においては投資先企業のリスク管理に関する働きかけが重要となると指摘している。

(参考情報:2021年4月12日付SASB, Climate Risk - Technical Bulletin HP

<脱炭素>
花王が、国内外の購入電力を100%再エネ化する目標年の早期化を発表

花王株式会社は4月15日、同社のESG戦略の重要取組テーマの一つである「脱炭素」を加速するため、全ての購入電力を再生可能エネルギー化する目標年の早期化を発表した。これまで、日本で2025年、 グローバルで2030年の目標年が設定されていたところ、今回の変更によって日本で2023年、グローバルで2025年へと目標年が早まった。

(参考情報:2021年4月15日付花王 HP

Social-社会-

<人権>
イケア、国連児童労働撤廃国際年に合わせ、サプライチェーンで「子ども権利」を推進強化

家具量販世界大手のイケアは4月7日、国連が2021年を「児童労働撤廃国際年」と定めたことを支持し、同年中に自社のサプライチェーンおいて「子どもの権利」を推進・強化するための取組を発表した。 サプライヤー向け行動規範「IWAY」を同社の人権デューデリジェンス強化の一環として見直すほか、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」への若者の就労機会の増加、 児童労働の排除を目的に国際労働期間(ILO)や関連組織との連携を図る。

(参考情報:2021年4月7日付イケア HP

<人権>
米国務省人権報告書で日本の問題を指摘、技能実習生の就労環境や男女の賃金格差など

米国務省が3月30日に発表した国別の人権報告書2020年版は、日本に関して技能実習生への強制・長時間労働や賃金未払い、男女間の賃金格差や女性へのセクハラ・マタハラ、在日外国人に対する ヘイトスピーチなどの問題を指摘した。また、中国・新疆ウイグル自治区での少数民族への弾圧やロシアの反体制派への攻撃などを非難した。今回はバイデン政権発足後初の発表。

(参考情報:2021年4月30日付米国国務省 HP 英語版

(参考情報:2021年4月30日付米国国務省 HP 日本語版

Governance-ガバナンス-

<BCP>
内閣府が、事業継続ガイドラインを改定、災害時の従業員等の外出抑制策等を追加

内閣府は4月、事業継続ガイドラインを改定した。東北、関東甲信越を中心に広域かつ甚大な被害をもたらした令和元年台風第19号等を教訓とし、激甚化・頻発化する豪雨災害に対する避難対策への強化として、 早期判断によるテレワークの実施や会社や店舗などへの待機指示などを盛り込んだ。

(参考情報:2021年4月付内閣府防災情報のページ

(参考情報:2021年3月31日付令和元年台風第19号等による災害からの避難に関するワーキンググループ

<ESG投資>
PRI、受益者のサステナビリティ選好の把握・投資意思決定への統合に関するアセットオーナー向けガイダンスを公表

国連責任投資原則(PRI)は4月21日、アセットオーナー向けに受益者のサステナビリティ選好の把握及び投資意思決定への統合に関するガイダンスを公表した。昨今、多くの受益者が財務的なリターンのみならず、 投資先のサステナビリティ・リターンに対する選好を持つようになっていると指摘。受益者の選好を把握し投資意思決定に統合するメリットを示したうえで、具体的に取り組むべきステップを4段階に分けて解説している。 受益者の意見を収集するための調査テンプレートもあわせて公表した。

(参考情報:2021年4月21日付PRI HP

全般・その他

<リスクマネジメント>
世界経済フォーラムがレポート「テクノロジーの未来:可能性の予測と未来への道標」を発行

世界経済フォーラムは4月5日、「テクノロジーの未来:可能性の予測と未来への道標」と題するレポートを発行した。本レポートは、世界経済、社会、テクノロジーに影響を与える重要なトレンドを示すとともに、 企業のリーダー層が未来を予測するための方法を解説したもの。事業を取り巻く環境変化のスピードが加速する昨今において将来の予測を立てることは益々困難となっているが、そのような状況においてもリスクと機会 を適切に評価するためのシナリオ作成および未来の技術トレンドを予測するためのデータ分析ツールを提示している。

(参考情報:2021年4月5日付世界経済フォーラムHP

<情報開示>
国際会計士連盟の審議会が、多様な形態の非財務情報報告を対象にした保証ガイダンスを公表

国際会計士連盟の独立基準設定審議会である国際監査・保証基準審議会は4月6日、監査法人などが企業の非財務情報報告を保証する際の国際的な基準「国際保証業務基準3000(改訂)」を、 より広い報告形態に適用する際のガイダンスを公表した。内容に、包括的事項(適切な適性及び能力の適用、職業的専門家としての懐疑心・判断の行使、保証業務の前提条件)と 専門的事項(主題情報の作成に用いられるプロセスの検討、証拠の入手、虚偽表示の重要性および保証報告書における有効なコミュニケーション)を含む。

(参考情報:2021年4月6日付IAASB HP

<気候変動>
経済産業省・金融庁・環境省が「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」を策定

経済産業省は5月7日、金融庁・環境省とともに、トランジション・ファイナンスを実施する際の手引きとして、「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」を策定した。 本指針は、トランジション・ファイナンスの普及によって企業の脱炭素に向けた取組を促進することにより、“2050年カーボンニュートラルの実現”と“パリ協定実現への貢献”を果たすことを目的としている。 特に、温室効果ガス排出の削減が困難なセクターにおける低炭素化・脱炭素化に向けた研究開発のための資金調達の信頼性を確保させる狙いがある。本指針では、グリーンボンド原則等を公表している ICMA**の「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」を踏まえ、企業が資金調達時に開示すべき要素と開示する際の留意点、望ましい調達プロセス等が示されている。

(参考情報:2021年5月7日付経産省 HP

今月の『注目』トピックス

<気候変動>
環境省、企業の脱炭素経営の取組促進に資する各種ガイドを公開

(参考情報:2021年4月5日付環境省 HP

環境省は4月5日、企業の脱炭素経営に向けた具体的な行動を後押しすることを目的に、TCFDに沿った情報開示や、SBT、RE100の達成に向けた取組に関する各種ガイドを公開した。

ガイド策定の背景として、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、企業の脱炭素経営の機運が高まっていることが挙げられている。例えば、企業の気候変動に関する情報開示の枠組みである TCFD(Taskforce on Climate related Financial Disclosure)への賛同表明をしている日本企業数は、2020年3月31日時点の252社から、2021年3月29日までに106社増えて358社となり、その数は世界1位となっている。

Q&A

Question

昨今、人権に関する政府の行動計画策定や国際動向などを背景に、日本国内でも企業に人権尊重の取組強化を求める機運が高まっています。当社でも、人権方針の策定・公表を検討中です。 人権方針の策定に際して留意すべき点を教えてください。

ESGリスクトピックス(旧:CSR・ERMトピックス)

国内外における主なトピックスを、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)ごとに紹介しています。
(A4数枚、毎月発行)