リスク情報・レポート

リスク情報・レポート / ESGリスクトピックス

2020.11.2

ESGリスクトピックス<2020 No.8>

今月の主なトピックス

Environmental-環境-

<気候変動>
Climate Action 100+が日本企業10社を含む161社にGHG排出ネットゼロのビジネス戦略を要求

Climate Action 100+*は9月14日、GHG排出量の多いグローバル企業161社(うち、日本企業10社)のCEOおよび取締役会長に対し、GHG排出をネットゼロとする事業戦略および目標の設定を求めるレターを送付したことを発表した。

レターでは、2021年にリリース予定の投資家向けツール"Climate Action 100+ Net Zero Company Benchmark"の指標に合わせた情報開示や、製品のエンドユーザーを含むバリューチェーン全体をカバーすることや 気温上昇を1.5℃に抑えるという科学に基づいたGHG削減目標など2050年までのGHG排出量ネットゼロに向けたより強力な目標設定等が要求されている。

(参考情報:2020年9月14日付Climate Action 100+ HP

<気候変動>
JFEが基準年対比GHG削減目標設定

JFEホールディングスは9月15日、2030年のGHG削減目標を定めたことを発表した。製鉄事業は温室効果ガスの高排出セクターの一角を占め、既存技術では製鉄プロセスの還元時に大量に発生するGHG排出削減が困難とされてきた。 同社は従来の日本鉄鋼連盟の低炭素社会実行計画に加え、独自に2030年度のCO2排出量を2013年度比で20%以上削減すること、長期的には2050年を目標年としカーボンニュートラル実現に向けた新技術の研究開発を加速させることを宣言した。

(参考情報:2020年9月15日付JFE ホールディングス HP

<生物多様性>
地球規模生物多様性概況第5版が公表。愛知目標、完全には達成ならず。

生物多様性条約事務局は9月15日、生物多様性戦略計画2011-2020及び愛知目標**の達成状況について分析した報告書である「地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)」を公表した。 殆どの愛知目標について進捗が見られたものの、完全に達成できたものはないと報じられた。また、2050年に向けた長期目標である「自然との共生」を達成するには、生物多様性の保全・再生に関する取組のあらゆるレベルへの拡大や、 生産・消費様式の変革及び持続可能な取引の実現など、様々な分野での行動を連携しながら進めていくことが必要であると指摘している。

(参考情報:2020年9月15日付環境省 HP

(参考情報:2020年9月15日付Convention on Biological Diversity HP

<気候変動>
環境省と経団連、脱炭素社会に向けた取り組み推進について合意。具体的な行動へ。

環境省と日本経済団体連合会(経団連)は9月24日、脱炭素社会に向けて連携を図る「環境と成長の好循環に向けたコロナ後の経済社会の再設計(Redesign)」の合意に達したことを発表した。 本発表では相互の連携強化とともに、「脱炭素社会の実現への取り組み支援」、「パリ協定に基づくNDC*の達成のための支援」、「サステナブル・ファイナンス推進に向けた環境整備」等が合意されている。 10月9日には、経団連から「気候変動分野のサステナブル・ファイナンスに関する基本的考え方と今後のアクション」が発表され、サステナブル・ファイナンスに関する環境整備が始まっている。(本レポート「Q&A」に関連記事掲載)

(参考情報:2020年9月24日付一般社団法人 日本経済団体連合会 HP環境と成長の好循環に向けたコロナ後の経済社会の再設計(Redesign)-脱炭素社会実現に向けた環境省・経団連の連携に関する合意-

(参考情報:2020年10月9日付一般社団法人 日本経済団体連合会 HP気候変動分野のサステナブル・ファイナンスに関する基本的考え方と今後のアクション

Social-社会-

<サイバーセキュリティ>
日本CSIRT協議会が新型ウイルス感染リスク禍におけるCSIRT対応のプラクティス集を公開

日本CSIRT協議会は9月9日、「新型ウイルス感染リスク禍におけるCSIRT活動*で考慮すべきこと-CSIRT対応プラクティス集(ver.1.0)-」を公開した。COVID-19禍において生じたCSIRT活動のうち、 特にインシデント検知、インシデント対応に焦点を当て、メンバーの安全確保、感染防止を行いながらCSIRT活動を継続実施するために事前に整理しておくことが望ましい項目を整理したもの。 緊急事態宣言などの行動制限下において想定される課題に対し、活動場所(リモート・現地)ごとに、解決の方向性、具体的な対策方法の例、組織として備えておくべき事項をまとめている。

(参考情報:2020年9月9日付日本 CSIRT 協議会 HP

<情報セキュリティ>
総務省が中小企業のテレワーク拡大でセキュリティ対策の手引きを公表

総務省は9月11日、コロナ禍を受けた中小企業のテレワーク導入拡大を踏まえて、「テレワークセキュリティの手引き」を公表した。担当者がいなくても最低限のセキュリティを確保するのが狙い。 自社のテレワークの方式を選択し、それに応じたチェックリストで必要な対策を確認できる。

(参考情報:2020年9月11日付総務省 HP

<事業継続>
災害時の医療機関や公共交通機関などの業務継続に関する国際規格を発行

経済産業省は9月23日、電気・電子技術に関する国際規格を作成する国際電気標準会議(IEC)において、日本が提案した「災害時の都市サービスの継続性に資する電気継続の仕組み」が発行されたことを公表した。 地震・洪水・サイバーテロ発生時などの有事に、重要性の高い都市サービス提供事業者(医療機関、公共交通機関など)が必要最低限の電気を確保できるよう、都市サービス運用者 (企業の施設管理部門、商業施設等の管理会社、自治体の公共施設管理部門など)に電気継続計画(ECP)の策定や、ECP実行のための電気継続システム(ECS)の機器要求仕様を定めることを求めている。 また、災害フェーズでのECSマネジメントや各エリアで交換すべき情報の種類(電力系統との接続情報、停電時間、予備電源の動作・残存状況)などの基本事項をガイドラインとして提示した。

(参考情報:2020年9月23日付経済産業省 HP

Governance-ガバナンス-

<ガバナンス>
独立社外取締役3分の1以上選任と指名・報酬委員会の設置が、東証1部上場の過半数超に増加

東証が9月7日、上場会社のコーポレート・ガバナンス報告書の集計結果を公表した。東証一部企業のうち、総数の3分の1以上の独立社外取締役を選任している会社と指名委員会・報酬委員会を設置している会社が、 それぞれ前年度より大きく増加し、全体の半数を超えたことが分かった。上場会社の行動規範を示す東証の「コーポレートガバナンス・コード」(2018年改訂)は、独立社外取締役を「少なくとも2人以上」、 さらに「3分の1以上」の選任を求めている。

(参考情報:2020年9月7日付日本証券取引所 HP)

<ガバナンス>
経産省、サイバーセキュリティ体制構築・人材確保のための手引きを公表

経済産業省は9月30日、『サイバーセキュリティ体制構築・人材確保の手引き』を公表した。本手引きは、主に従業員数300名以上の企業が対象。高度化・巧妙化するサイバー攻撃に対処するため、 サイバーセキュリティの体制構築と人材の確保・育成を急務とし、経営者のリーダーシップ、セキュリティ統括機能の確保、関連タスクを担う部門や関係会社の特定・責任の明確化などの要点を提示。 また、「セキュリティ人材」の育成に加えて、デジタル・事業・管理など各部門で専任担当以外の「プラス・セキュリティ人材」の確保・育成なども盛り込んでいる。

(参考情報:2020年9月30日付経済産業省 HP)

全般・その他

<非財務情報開示>
CDP等5団体が企業の報告フレームワークの改善に向けた協働を宣言

企業情報の報告に関するフレームワークを開示している5団体(CDP、CDSB、GRI、IIRC、SASB)は9月11日、フレームワークの改善に向けて協働することを宣言した。企業の非財務情報開示に関するフレームワークや様々な 概念が乱立している現状を踏まえ、上記5団体において共通認識を固める。宣言の中では、企業のサステナビリティレポート等で用いられる「マテリアリティ(重要課題)」が複数の概念で使われていることを踏まえ、

  • 企業にとって財務影響を持つマテリアリティ(企業目線での重要事項)
  • 企業価値にとって重要なサステナビリティ関連マテリアリティ(投資家等目線での重要事項)
  • 現時点で企業価値には影響しないものの、企業が経済、環境や社会に大きな影響を及ぼすマテリアリティ(様々なステークホルダー目線での重要事項)
  •   

(参考情報:2020年9月11日付CDP HP

<SDGs>
経済産業省、「クライメート・イノベーション・ファイナンス戦略2020」の中間取りまとめを発表

経済産業省は9月11日、「クライメート・イノベーション・ファイナンス戦略2020」を公表した。

同戦略ではSDGsやパリ協定の実現にむけて「トランジション」「グリーン」「革新イノベーション」の3つの重要施策を打ち出しており、 これらの施策に関連する事業へのファイナンスを促進するため「政府の気候変動対策へのコミットメント」「企業の積極的な情報開示」「資金の出し手によるエンゲージメント」の3つの基盤の整備を目指す、としている。

(参考情報:2020年9月16日付経済産業省 HP

<エンゲージメント>
経団連が企業と投資家による建設的対話の促進に関する提言を公表

経団連は9月15日、企業の中長期的な価値向上に向けた投資家との対話促進に関する提言「企業と投資家による建設的対話の促進に向けて」を公表した。企業と投資家の対話はコーポレートガバナンス・コードや スチュワードシップ・コード等を契機に進展してきているものの、依然として課題が多いと指摘されてきた。提言では、企業側の取組として重要度と優先度を意識した情報開示や対話に基づく対応の投資家へのフィードバック、 投資家側の取組として投資判断プロセスにおける対話の位置づけの企業への開示等、建設的な対話の促進に向けた取組が5つの切り口から示されている。

(参考情報:2020年9月15日付経団連 HP

<ESG投資>
三井住友銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスの取扱いを開始

三井住友銀行は9月30日、メガバンクとして初めてポジティブ・インパクト・ファイナンス*の取扱いを開始すると発表した。独自の評価基準に基づき、ESG取組やSDGs達成への貢献を評価・分析し、 取組や情報開示の適切性についての現状評価や今後の課題を示した上で融資を行うもの。同行は本取組を通じて、顧客のサステナビリティ経営実現に向けた活動を継続的に支援していくとしている。

(参考情報:2020年9月30日付三井住友銀行 HP

今月の『注目』トピックス

<ESG>
世界経済フォーラムがESG開示・報告の枠組みを発表、SDGsゴールとも紐づけ

(参考情報1:2020年9月22日付世界経済フォーラム HP

世界経済フォーラム(WEF)は9月22日、普遍的なESG指標と開示・報告の新たな枠組み「ステークホルダー資本主義指標」を公表。報告書「ステークホルダー資本主義の進捗を測定~持続可能な価値創造のための共通の指標と 一貫した報告を目指して~」に盛り込んだ。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の各ゴールとの紐づけが整理されており、SDGs達成に貢献するための企業の取り組みと関連するESG開示・報告との統合を可能にする枠組みとして注目される。

Q&A

Question

最近ESG投資の隆盛とともに、ESG情報に関する情報開示のフレームワーク・基準が各種整備されているようです。今どのような状況なのか教えてください。

ESGリスクトピックス(旧:CSR・ERMトピックス)

国内外における主なトピックスを、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)ごとに紹介しています。
(A4数枚、毎月発行)