レポート

ESGリスクトピックス 2020年度 No.7

2020.10.1

今月の主なトピックス

Environmental-環境-

<サステナビリティ・リンク・ボンド>
ヒューリック、日本初のサステナビリティ・リンク・ボンドを発行。環境省のガイドライン、ICMAの原則にも適合。

8月25日、ヒューリック株式会社は、日本初のサステナビリティ・リンク・ボンド*の発行を発表した。発行条件は、「2025年までにRE100を達成すること」と、 「2025年までに銀座8丁目開発計画における日本初の耐火木造12階建て商業施設を竣工すること」であり、いずれかが未達の場合クーポンがステップアップする仕組み。 発行時期は2020年の10月を予定している。環境省の「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2020年版」および、国際資本市場協会 (ICMA)の「サステナビリティ・リンク・ボンド原則」への適合性が確認され、環境省のモデル事例等にも選定された。

(参考情報:2020年8月25日同社HP

(参考情報:2020年8月25日環境省HP

<サステナビリティ>
丸井グループ、カード会員に再エネ電力の利用促進プロジェクトを開始

丸井グループはみんな電力と協同し、再生可能エネルギーの電力の利用促進を狙った「みんなで再エネ」プロジェクトをスタートする。個人会員に対して、再生可能エネルギー電力の契約のハードルを下げ、 利用を促進することが狙い。2024年度までに年間100万トンのCO2の削減を目指す。両社は、2018年に資本業務提携を行い、丸井グループが運営する商業施設ではすでに再生可能エネルギーを使用している。

(参考情報:2020年9月1日付同グループHP

Social-社会-

<フードロス>
小売・食品の世界大手14社がフードロス削減でイニシアチブを設立、廃棄データ報告などを実践

国際的な消費財の業界団体コンシューマー・グッズ・フォーラム(CGF)は8月17日、小売・製造の世界大手14社(ウォルマートやネスレ等)のCEOが集うフードロス削減のイニシアチブ設立を発表した。 フードロス削減を目指し、①食料廃棄データの測定・報告②サプライヤー等への取組み拡大③収穫後の工程における食品廃棄対策――の3つのアクションを実践する。

(参考情報:2020年8月17日付CGF HP

<ESG投資>
コロナ対策影響で企業の売上減・費用増、ムーディーズが動向予測

米大手格付機関ムーディーズは8月20日公表のレポートで、企業が新型コロナウイルスの影響で収益や成長が抑制されるとの予測を明らかにした。従業員の安全対策の費用が増加する一方、営業・生産の縮小・中断などによる売上低下が原因。

(参考情報:2020年8月20日付同社 HP

<人権>
ビジネスと人権ロイヤーズネットワークらが、サプライチェーンにおける外国人労働者の労働環境の改善に関するガイドラインを公表

ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク、外国人労働者弁護団、及び外国人技能実習生問題弁護士連絡会は8月21日、「サプライチェーンにおける外国人労働者の労働環境改善に関するガイドライン」を公表した。

同ガイドラインは現時点での国内外のグッド・プラクティスを踏まえて実務指針を示すことを目的としており、行動原則、モデル調達基準、対話・協働のための実務指針から構成される。 また、サプライチェーンにおける外国人労働者の労働環境改善に向けた対応整備および既存の対応の実効性についての評価・見直しにあたり基準として参照したり、労働者・投資家・取引先・市民社会等のステークホルダーとの対話のために活用可能なものとなっている。

(参考情報:2020年8月21日付ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク HP

Governance-ガバナンス-

<ガバナンス>
証券取引等監視委員会が「開示検査事例集」を公表

証券取引等監視委員会は8月7日、令和2年度版「開示検査事例集」をとりまとめ、令和元年から令和2年6月までに開示規制違反として検出された事例の内容、違反の背景・原因等を公表した。

同事例集では、開示規制違反の背景には経営陣のコンプライアンス意識の欠如や内部管理体制の機能不全があると指摘している。そのため、取締役会の構成メンバーが違反事例の背景・原因を理解したうえで、 自社のガバナンスの形骸化の有無や、適正な情報開示にむけて社内体制が実効的に機能しているかどうかについて再点検すべきだとしている。

(参考情報:2020年8月7日付証券取引等監視委員会 HP)

<ガバナンス>
改正会社法は2021年3月1日施行、事業報告書の記載拡充など含む施行規則改正案も公表

法務省は9月1日、改正会社法(2019年12月11日公布)の施行予定日を2021年3月1日と公表した。併せて、同法施行規則改正案も公表、意見募集を開始(9月30日期限)。 改正法への役員等賠償責任保険契約(D&O保険)や補償契約に関する規定新設を受けて、企業が締結したそれら契約の概要の事業報告書への要記載事項を拡充した。

(参考情報:2020年9月1日付電子政府の総合窓口e-Govポータルサイト内)

全般・その他

<ESG投資>
GPIFがTCFDの提言を受け気候変動リスクの開示を拡大、国内機関投資家の後続に期待

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は8月19日にリリースした「2019年度ESG活動報告」で、気候変動リスクに関する情報開示を行った。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿った 「リスク(移行リスク・物理的リスク)」と「機会」のカテゴリーのうち、昨年度実施の「移行リスク」に加えて、今年は「物理的リスク」および「機会」の分析結果に対象を広げた。国内の機関投資家の後続を期待する。

(参考情報:2020年8月19日付GPIF HP

今月の『注目』トピックス

<サステナビリティ>
経済産業省が「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」の中間取りまとめを公表

(参考情報1:2020年8月28日付経産省 HP

経済産業省は8月28日、中長期の企業価値向上に向けた企業と投資家の実質的な対話のあり方について議論する「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」の中間取りまとめ結果を公表した。

経済産業省は従来から、企業の持続的な価値向上を促すために、コーポレートガバナンス改革や投資家との対話促進のための施策を講じてきた。これまでの施策を通じて、企業のROE*改善などの一定の成果は見られたが、 企業と投資家の対話の実効性には課題が指摘されていた。本検討会は、このような課題を明らかにし、対応策を検討するために設置された。

Q&A

Question

当社では現在、ガバナンス強化を目的として体制等の見直しを検討しています。
昨今のガバナンス関連の動向や企業に求められる対応などについて教えてください。

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