レポート

ESGリスクトピックス 2019年度 No.11

2020.3.1

今月の主なトピックス

Environmental-環境-

<サーキュラーエコノミー>
エレン・マッカーサー財団、企業向けの無料ツール「Circulytics」を公開

サーキュラーエコノミーを推進するエレン・マッカーサー財団は、企業向けに循環型ビジネスモデルの進捗度合を計測できる無料ツール「Circulytics」を公開した。 利用登録のうえ自社のデータをインプットすると、スコアカードが生成される仕組みとなっている。ツールのパイロット版にはBASFやIKEA、ノボノルディスクなど30社が参加した。

評価の指標は、循環型ビジネスモデル実現のための手段としての①戦略、計画②人材とスキル③システム・プロセス・インフラ④イノベーション⑤対外的エンゲージメントの5テーマに関する項目と、 その結果としての資源やエネルギー等のインプット・アウトプットの状況に関する項目で構成されている。

(参考情報:2019年1月14日付マッカーサー財団プレスリリースなど

<気候変動>
2019年度CDP気候変動の結果公表、日本のAリスト企業数が世界一に

環境情報のグローバルな開示システムを推進する国際NGOのCDPは1月20日、世界の企業179社を2019年度の気候変動Aリストに選定したことを発表した。日本のAリスト企業数は38社で、世界最多となった。

CDPは運用資産総額96兆米ドルを有する525の機関投資家を代表し、企業に対して気候変動に関する情報開示を求め、その回答をA~Dのスコアで評価している。 2019年のAリストには特に優れた情報開示および取り組みを行っている上位2%の企業が選定された。

(参考情報:2019年1月20日付CDPプレスリリース

<気候変動>
米機関投資家ブラックロック、Climate Action 100+に加盟

世界最大の機関投資家である米ブラックロックは1月9日、気候変動分野での機関投資家集団的エンゲージメント・イニシアチブ「Climate Action 100+*」に参加したと発表。 同イニシアチブは、株主決議の申し立てや年次総会での議決権行使も視野に、エンゲージメント対象企業へ温室効果ガス排出削減目標の設定等を要請したり、取締役会や経営陣との会合などを行うもの。 ブラックロックの加盟により、同イニシアチブ参加投資家による運用資産総額は約35兆米ドル(約3,823兆円)から約41兆米ドル(約4,479兆円)となった。

(参考情報:2020年2月14日付Climate Action 100+ HP及び2020年1月9日The Wall Street Journal記事

Social-社会-

<事業継続>
文科省委員会が、南海トラフ地震による津波の高さごとに発生確率を算出

文部科学省の地震調査委員会は1月24日、南海トラフ地震発生時に予想される津波の高さごとの発生確率を公表した。過去のデータに基づき、津波の高さを3・5・10メートルに分けて各地の発生頻度を算出。 一部地域での10メートル以上の確率を「30年以内に3%~26%」とした。具体的な期間内の発生可能性を示すことで、いっそうの津波対策が必要な自治体を後押しするのが狙い。

(参考情報:2020年1月24日付地震調査委員会HP

<気候変動>
日本労働組合総連合会が、「ハラスメント対策関連法を職場に活かす取り組みガイドライン」を公表

日本労働組合総連合会は1月28日、「ハラスメント対策関連法を職場に活かす取り組みガイドライン」を公表した。ハラスメント対策の実効性確保のため、 ハラスメント対策関連法や国の各指針で定める「雇用管理上の措置(防止措置)」10項目に対し、労働組合として事業主に求めるべき内容のポイントを整理した。

また、パワーハラスメントの該当基準である3つの要素*について留意点を記載。パワハラ防止法指針で整理されている「該当すると考えられる例」「該当しないと考えられる例」については、 違法なパワーハラスメントの判断基準ではなく、事業主が事実確認や行為者への措置等を行う場合の参考として扱うべきとの考えを示した。

(参考情報:2020年1月28日付日本労働組合総連合会HP

Governance-ガバナンス-

<情報セキュリティ>
総務省が、自治体・企業に向けたサイバーセキュリティ対策の緊急提言を公表

総務省は1月28日、電気通信事業者や自治体、一般企業などに向けた緊急提言「我が国のサイバーセキュリティ強化に向け速やかに取り組むべき事項」を公表した。 サイバー攻撃のリスクが高まる2020年の東京五輪・パラリンピックに備えて、重要施設に設置されたIOT機器の脆弱性調査やサイバー攻撃を受けた際の速やかな情報公開、官民の連携強化などの実施・強化を求めている。

(参考情報:2020年1月28日付総務省HP

<ガバナンス>
経済産業省が「事業再編研究会」を発足

経済産業省は1月29日、日本企業の事業再編の促進を目的に、経営陣、取締役会、投資家らを通じたガバナンスが有効に機能する仕組みを構築するため、「事業再編研究会」を発足した。*

同研究会は、日本企業の経営資源をコア事業や将来の成長事業に集中するためには、既存事業の再編(特に事業の切出し)が必要であるにもかかわらず、大企業において必ずしも十分に実行されていないと指摘する。

(参考情報:2020年1月29日付事業再編研究会HP

全般・その他

<ESG投資>
MSCI、2020年に注目すべきESGの5つのトレンドを発表

モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI*)は1月13日、2020年に注目すべきESGの5つのトレンドを以下のとおり発表した。

  • 注目されがちなスタートアップ企業からだけでなく、大企業においても気候変動に関する新たな技術革新が活発化する
  •   

(参考情報:2020年1月13日付MSCI HP

<ESG投資>
ESG投資に特化した上場投資信託、10億ユーロ規模へ

ブールムバーグは1月29日、ESG投資に特化した上場投資信託(ETF)のうち、アムンディとブラックロックの2本の運用残高が10億ユーロ規模に近づいていると報じた。 1年前は1億5000万ユーロ未満であったものが6倍以上に増加しており、ESGを投資の基準とする投資家が急増していることの証明であるとしている。

(参考情報:2020年1月29日付bloomberg HP

<SDGs>
金融庁が「金融行政とSDGs」を更新

金融庁は1月28日、2018年12月に公開した「金融行政とSDGs」の更新版を公表した。更新版では、新たに「共通価値創造」に向けた地域金融機関の経営のあり方を示したほか、 金融データライゼーション戦略では、①データ戦略の推進②イノベーションに向けたチャレンジ③機能別・横断的法制の整備④金融行政・金融インフラの整備⑤グローバルな課題の対応の5分野について取組を加速するとしている。

(参考情報:2020年1月28日付金融庁HP

<SDGs>
国連グローバル・コンパクトがSDGsへのアクションの進捗診断ツールをリリース

国連グローバル・コンパクトは1月29日、「SDGアクションマネージャー」をリリースした。自社の注力すべきSDGs目標や現在の立ち位置、サプライチェーンやビジネスモデルから見たリスク領域特定の他、 設定目標に対する進捗管理などを行うことができる。

(参考情報:2020年1月29日付国連グローバル・コンパクトHP

今月の『注目』トピックス

<生物多様性>
世界経済フォーラム、「新自然経済」に照準

(参考情報:2020年1月15日付WEF HP

(参考情報:2020年1月19日付WEF HP

(参考情報:2020年1月6日付CBD事務局HP

世界経済フォーラム(WEF)は1月15日に、「グローバルリスク報告書2020」を公表した。本報告書は年次総会(ダボス会議)を前に毎年発行されるのが慣例となっている。 今回、初めて「今後発生し得る長期リスク」の上位5位までを環境リスクが独占した。その内訳は以下のとおり。

  1. 異常気象
  2. 気候変動の緩和・適応の失敗
  3. 大規模な自然災害
  4.   

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