リスク情報・レポート

リスク情報・レポート / ESGリスクトピックス

2020.1.6

ESGリスクトピックス<2019 No.9>

今月の主なトピックス

Environmental-環境-

<気候変動>
国連環境計画、「排出ギャップ報告書2019」で温室効果ガス削減への早急な行動を呼びかけ

国連環境計画(UNEP)は11月26日、温室効果ガス排出量について分析した「排出ギャップ報告書(Emissions Gap Report)2019」を公表し、今世紀末の地球の平均気温の上昇を1.5℃以下に抑える目標(以下、1.5℃目標)達成のためには、今後10年間にわたり世界の温室効果ガス排出量を毎年7.6%削減する必要があると指摘した。

報告書によれば、パリ協定下で各国が現在約束している削減目標(NDC)が全て達成されたとしても、地球の平均気温は今世紀末までに3.2℃上昇し、より広範囲かつ破壊的な気候影響が生じるとされている。

(参考情報:2019年11月26日付UNEP HP

<気候変動>
ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス、16金融機関に拡大

2019年11月27日、国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP-FI)と国連責任投資原則(PRI)はネットゼロ・アセットオーナー・アライアンスに新たに4つの機関投資家が加盟したと公表した。同アライアンスは1.5℃目標に沿って、2050年までに投資ポートフォリオの温室効果ガス排出量を正味ゼロとすることを約束する機関投資家のグループであり、2019年9月にUNEP-FIとPRIが主導して設立された。参加している機関投資家はアクサ、アビバ、アリアンツ、カルパース、スイス再保険、ストアブランド、チューリッヒなどの16機関(運用資産総額4兆米ドル)に達している。

(参考情報:2019年11月27日付UNEP-FI HP

<気候変動>
EU欧州議会が「気候非常事態宣言(Climate Emergency Declaration)」を採択

欧州連合(EU)の欧州議会は11月28日、「気候非常事態宣言」を賛成多数で採択した。気候変動を緊急事態と位置づけ、欧州委員会や加盟国に気温上昇を1.5℃に抑えるためのより積極的な対応を促す。宣言に法的拘束力はないが、欧州委員会や加盟国に関連法案や予算案を1.5℃未満目標と完全に整合するものにすること、2050年までのカーボンニュートラル達成のために2030年までに温暖効果ガス排出量の55%の削減を欧州グリーンディールに含めること、各国の排出削減目標(NDC)に国際航空と国際海運による排出量を含めることを要求している。

(参考情報:2019年11月29日付European Parliament HP

(参考情報:2019年12月9日付Climate Emergency Declaration HP

Social-社会-

<サイバーセキュリティ>
JPCERTコーディネーションセンターがPSIRTの構築・運営に関するフレームワークを公開

一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターは11月7日、自社製品の情報セキュリティ上の脆弱性に対応するための組織であるPSIRT(Product Security Incident Response Team)の構築・運営に関するフレームワーク「PSIRT Services Framework」の日本語版を公表した。本フレームワークは、国際団体FIRST*(Forum of Incident Response and Security Teams)が作成した原著を、Software ISAC**と共同で翻訳したもの。PSIRTの設置、運用、能力向上を支援するためのガイドであり、PSIRTの組織モデル、機能、PSIRTに求められる事項等が記載されている。

(参考情報:2019年11月7日付同法人HP

<食品ロス>
日本KFC、子ども食堂等に食材を提供、国内外食チェーンで初

日本ケンタッキー・フライド・チキン(以下「日本KFC)は、11月から売れ残り商品をNPO法人フードバンク横浜を通じて横浜市内の子ども食堂などに寄贈する取り組みを始めた。国内の外食全国チェーンは初。調理済み「オリジナルチキン」と「骨なしケンタッキー」を凍結・保管した後、フードバンク横浜の物流ステーションを通じこども食堂などに配達。受け取ったこども食堂が加熱調理する。同社は、本支援を通じて食品ロス低減と同時に、SDGs目標への貢献を目指す。

(参考情報:2019年11月19日付同社HP

<ハラスメント>
厚労省がパワハラ防止法指針案を一部修正のうえ採択

厚生労働省が11月20日の審議会で、パワハラ防止法に基づきパワハラに該当する例を提示した指針を採択した。昨年10月に原案が公表された際に、一部の弁護士グループなどから「かえってパワハラを助長する」と削除を求める声が上がっていた「パワハラに該当しないと考えられる例」は、指針案に残された。最終案で、原案から変更された主な個所は以下の通り。

  • パワハラの定義で「客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導」は該当しないことを新たに追記。
  •   

(参考情報:2019年11月20日付同省HP

<個人情報>
個人情報保護委員会が個人情報保護法の改正骨子を公表

国の個人情報保護委員会は11月29日、個人情報保護法改正案の骨子を公表した。企業などが個人情報を保有できる期間の厳格化や情報漏えい時の報告や本人通知の義務化などが改正の柱。2020年の個人情報保護法改正に向けて年内に固め、2020年1月開会の通常国会に改正案を提出する予定。事業者への影響が予想される主な改正事項は以下のとおり。

  • 企業が6カ月以内に消去する短期保存データも本人からの開示や削除請求などの対象に含める。
  •   

(参考情報:2019年11月29日付個人情報保護委員会HP

Governance-ガバナンス-

<コンプライアンス>
企業の不祥事予防プリンシプルに具体化する取組事例集を公表

企業の法務実務担当者でつくる経営法友会は11月7日、東京証券取引所などの運営法人が2018年3月に策定した「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」を題材に、企業の取組事例をまとめた事例集を公表した。企業法務実務担当者による具体的なアクションを支援するのが狙い。

(参考情報:2019年11月7日付同社HP

<企業法務>
経済産業省が「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会 報告書」を公表

経済産業省は11月19日、事業運営を通じた「価値の創造」を可能にする企業法務体制、および体制構築・運営に必要な具体的方策・フレームワーク等をとりまとめた「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会 報告書」を公表した。

同報告書はまず、同名の前回報告書(2018年4月公表)*で提起した「パートナー」「ガーディアン」としての法務機能**のうち、前者に「クリエーション」(現行法令等を時代の変化をふまえて適切に再解釈・変更し、事業領域の拡大を促す)と「ナビゲーション」(事業・経営戦略の提案の一環として、リスクの分析や低減策の提示を行う)が包含されると整理した。

(参考情報:2019年11月19日付同社HP

全般・その他

<全般>
神戸市、SDGsの課題解決に取り組むスタートアップ企業育成の国連拠点を開設

神戸市は11月28日、国連機関のUNOPS*が世界で展開するスタートアップ企業の育成拠点であるグローバル・イノベーション・センター(GIC)を2020年夏に開設すると発表。同拠点はSDGsに取り組むスタートアップ企業を同拠点に集積・育成し、革新的な技術やサービスの開発を促進、最終的に国連調達への参加につなげる仕組み。国連プロジェクトと直接つながる窓口ができたことで、日本では競争力の弱い国際機関の調達参入強化の効果も期待されている。

(参考情報:2019年11月19日付同市HP

<全般>
米グーグル、SDGsの課題解決に向けたスタートアップ企業を支援

米グーグルは11月5日、持続可能な開発目標(SDGs)の課題解決に貢献するスタートアップ企業の育成支援プログラムを開始した。研修や製品提供、技術サポート、投資家とのマッチング機会提供などを含む。同分野でのスタートアップ企業増加の動きをさらに加速させるのが狙い。日本でも、同19日に渋谷の支援施設がオープンした。

(参考情報:2019年11月19日付同協会HP

<全般>
UNGC、SDGsへの取組活性化に向けた企業向けの実践的ガイダンスを発表

国連グローバル・コンパクト(UNGC)は11月5日、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に不可欠な革新的イノベーションを創出するためのフレームワークや具体的事例を盛り込んだ企業向けののガイダンスを発表した。企業が気候変動など地球規模の課題の解決に貢献する新たな商品・サービスやビジネスモデルの着想を支援するのが狙い。

(参考情報:2019年11月5日付同社HP

今月の『注目』トピックス

<全般>
PRIが新ビジョン発表、機関投資家に投資先企業への影響力強化を要請

(参考情報:2019年11月20日付同組織HP

国連責任投資原則(PRI)は11月20日、新たなビジョン「Active Ownership 2.0」発表した。それによると、同原則に署名した機関投資家が対話や議決権行使を通じて影響力を強化し、投資先企業の行動変化を図るために、以下の3つの観点を提示した。

①結果の重視

投資先企業との対話や議決権行使判断の主眼を、従来の活動指標や中間目標の設定から、取り組み結果などにより社会的影響の有無や多寡に変える。

ESGリスクトピックス(旧:CSR・ERMトピックス)

国内外における主なトピックスを、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)ごとに紹介しています。
(A4数枚、毎月発行)