リスク情報・レポート

リスク情報・レポート / ESGリスクトピックス

2019.5.7

ESGリスクトピックス<2019 No.1>

今月の主なトピックス

Environmental-環境-

<サーキュラー・エコノミー>
エレン・マッカーサー財団、企業や政府のプラスチックの資源循環取組状況に関する報告書を発表

英国のエレン・マッカーサー財団は3月13日、2018年10月に発足したプラスチックの資源循環イニシアチブ「New Plastics Economy Global Commitment」に加盟する世界の政府・企業のうち191団体の取組状況をまとめた報告書を公表した。ネスレ、コカコーラなども加盟しており、本報告により更なるサーキュラー・エコノミー*の促進を目指す。

* 従来の「採取‐製造‐廃棄」という直線型の経済モデルを脱却した再生し続ける経済システム。

(参考情報:2019年3月13日付 同財団HP

Social-社会-

<腐敗防止>
OECDが各国の海外贈賄事案の解決手続きに関する調査結果を公表

経済協力開発機構(OECD)は3月20日、海外贈賄事案に対する裁判外の解決手続きに関する初のクロスカントリー調査の結果を公表した。OECD贈賄防止条約締結国のうち27か国を対象に、司法取引等の裁判外の解決手続きの内容や、当該手続の活用状況などを分析している。

(参考情報:2019年3月20日付 OECD HP

<人権>
NECが人権とAIの利用に関するポリシーを策定

NECは4月2日、AIを活用する際にプライバシーへの配慮や人権尊重を優先するための指針となる「NECグループAIと人権に関するポリシー」を策定した。AIは生活を豊かにする反面、プライバシー侵害やデータの偏り等による差別を生み出す可能性もあることから、自社の事業活動による人権やプライバシー侵害を予防することを目的としている。

(参考情報:2019年4月2日付 NEC社HP

<ダイバーシティ>
「国際女性デー(International Women's Day)」記念式がニューヨークの国連本部で開催

国連が定める「国際女性デー(3月8日)」の記念式が3月7日に国連本部で開催された。「平等に考え、スマートに構築し、変革のために革新する」をテーマに、イノベーションが男女平等の実現や女性の環境改善のための公共サービス向上に貢献するかについて議論がなされた。

(参考情報:2019年3月7日付 国連Women HP

<BCP>
内閣府が、自治体や企業を対象にした南海トラフ地震への対応ガイドラインを公表

内閣府は3月29日、南海トラフ地震の発生可能性が高まったと判断された場合に、自治体や企業が取るべき対応を検討し、防災対策計画などの作成にあたり参考となる事項を記載した「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン(第1版)」を公表した。

南海トラフ地震防災対策推進地域*にある地方公共団体、指定公共機関、不特定多数の者が利用する施設、危険物を取り扱う施設等を管理、運営する事業者等による活用が想定されている。

(参考情報:2019年3月29日付 内閣府HP

<情報管理>
独立行政法人情報処理推進機構が、サイバーセキュリティ対策の実践事例集を公開

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は3月25日、経済産業省の「サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer2.0」*に記載の「重要10項目」**を実践する際に参考となる考え方、ヒント、実施手順や実践事例をまとめたプラクティス集を新たに公開した。

* 経営者がサイバーセキュリティ対策を推し進める上で認識すべき原則と重要事項をまとめたもの。

** ガイドライン内にある「サイバーセキュリティ経営の重要10項目」のこと。経営者が情報セキュリティ責任者に対して指示し、着実な実施を求めるべき項目。

(参考情報:2019年3月25日付 同法人HP

Governance-ガバナンス-

<コーポレート・ガバナンス>
経済産業省が『「攻めの経営」を促す役員報酬-企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引-』の改訂版を公表

経済産業省は3月8日、「『「攻めの経営」を促す役員報酬-企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引-』の改訂版を公表した。2017年4月の初版公表後に問い合わせの多かった項目を中心にQ&Aを改訂するとともに、「攻めの経営」を促す役員報酬の概要について、「未来投資戦略2017」「未来投資戦略2018」及び「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)の改訂等を踏まえたアップデートも行った。

(参考情報:2019年3月8日付 経済産業省HP

<情報開示>
金融庁が、有価証券報告書等における記述情報の開示原則および好事例を示す

金融庁は3月19日、有価証券報告書等における財務情報以外の開示情報(以下、記述情報/例:「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「事業等のリスク」など)に関し、「記述情報の開示に関する原則」及び「記述情報の開示の好事例集」を公表した。望ましい開示に向けた考え方や取り組みを示すとともに、企業の実際の開示を例に良いポイントを解説するなど、形式的な対応にとどまらない企業の取り組みを促し、開示充実を図ることを目的としている。

(参考情報:2019年3月19日付 金融庁HP

全般・その他

<SDGs>
経団連、B20東京サミットでSDGsの一層の推進を提言

経団連は3月14日から15日にかけて、G20の経済団体トップを東京に集めた「ビジネス20(B20)東京サミット」を開催した。IoTやビッグデータ、AIを積極的に活用した新たな社会「Society 5.0」の実現を通じたSDGs達成について政策提言を行った。

(参考情報:2019年3月15日付 経団連HP

<ESG>
環境省、地域の持続的成長に向けたESG金融の事例集を公表

環境省は4月4日、「事例から学ぶESG地域金融のあり方」を公表した。本事例集は、地域金融におけるESG金融の普及促進により、地域の持続可能な成長につなげることを目的に、ESG要素を考慮した事業性評価を用いた融資の先行事例等を紹介している。

(参考情報:2019年4月4日付 環境省HP

<ESG>
IAHRが人権リスクを含むESGリスクのデューデリジェンス強化を政府や諸機関へ要請

Investor Alliance for Human Rights(IAHR*)は3月25日、EU、米国議会、国連諸機関、経済協力開発機構(OECD)の4者に対し、機関投資家の投資活動を通じた人権リスクを含むESGリスクのデューデリジェンス強化を促進する制度改革等を要請した。IAHRは、ESGリスクのデューデリジェンス強化は、SDGsへの貢献のみならず、投資リターン向上にも寄与する、としている。本要請に参加した機関投資家の運用資産総額は1.3兆米ドル(約143兆円)。

(参考情報:2019年3月25日付 IAHR HP

<ESG>
日本におけるESG投資が急増、GSIAがESG投資の統計報告書で発表

世界のESG投資額の統計を集計している国際団体のGSIA(Global Sustainable Investment Alliance)は3月28日、ESG投資の統計報告書「Global Sustainable Investment Review(GSIR)」の2018年版を公表した。

同報告書によると、日本の投資全体に対するESG投資の割合が、2016年の3.4%から2018年度には18.3%に一気に上昇し、金額ベースでも4,740億米ドルから2兆1,800億米ドルと急増したことが示されている。

(参考情報:2019年3月28日付 GSIA HP

今月の『注目』トピックス

<気候変動>首相官邸「パリ協定長期成長戦略懇談会」が提言を公表

(参考情報:2019年4月2日付 首相官邸HP

安倍首相が主催する「パリ協定長期成長戦略懇談会」は4月2日、「長期の温室効果ガス低排出発展戦略(以下、長期戦略)」策定に向けた提言を公表した。

パリ協定は、各国が2020年までに長期戦略を国連に提出することと定めている。また2016年のG7伊勢志摩サミット首脳宣言では、2020年の期限に十分先立って長期戦略を策定することをコミットしているが、G7諸国のうち日本とイタリアは未提出である。

ESGリスクトピックス(旧:CSR・ERMトピックス)

国内外における主なトピックスを、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)ごとに紹介しています。
(A4数枚、毎月発行)