レポート

ESGリスクトピックス 2018年度 No.10

2019.1.1

国内トピックス2018年11~12月に公開された国内のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<労働慣行>
国交・厚労両省がトラックドライバーの労働時間短縮のためのガイドラインを作成

(参考情報:2018年11月6日 経済産業省HP)

国土交通省と厚生労働省は11月6日、荷主と運送業者が協力し、社会問題化しているトラックドライバーの長時間労働を改善するためのガイドラインを作成した。荷主と運送業者の双方が連携し、長時間労働の原因の洗い出し・解決するためのPDCAサイクルを構築・運用する際の要点をまとめている。

タイトルは「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」。主に、労働時間短縮を実現に向けた「①取組みの進め方」と「②取組みの類型と対応」の2つの内容で構成する。

<コーポレートガバナンス>
企業不祥事防止で監査役は「経営トップに対峙する覚悟を」、監査役協会が報告書で見解

(参考情報:2018年12月3日付 同協会HP)

日本監査役協会は、企業不祥事の防止を徹底するため、経営トップにコンプライアンス軽視の姿勢がみられた場合には、監査役が経営トップに対峙する覚悟をもって臨むことが重要だとする見解をまとめた報告書を、12月3日公表した。会員アンケート*で、最も有効な不祥事防止策にトップの姿勢が最多回答だったことを受けたもの。これを受けて、不祥事防止における監査役の機能強化のため注意すべきポイントを盛り込んだ。

<労働慣行>
厚労省が企業のパワハラ防止対策義務化の方針を示す

(参考情報:2018年11月19日付 同省HP)

厚生労働省は11月19日、労働政策審議会の雇用環境・均等分科会で、企業によるパワハラ防止のための「雇用管理上の措置」の実施を法律で義務付ける方針案を提示した。同時に、企業に求めるパワハラ防止策の指針の策定も表明。その中に、企業が実施すべき措置の具体的内容やパワハラに該当する場合の要件を盛り込む。

同省が提示した方針案は「女性の職業生活における活躍の推進及び職場のハラスメント防止対策等の在り方について(取りまとめに向けた方向性)」。

海外トピックス2018年11~12月に公開された海外のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<人権>
Corporate Human Rights Benchmarkが世界主要企業の人権取組評価結果を公表

(参考情報:2018年11月9日付 同社HP)

Corporate Human Rights Benchmark*(以下、CHRB)は11月9日、世界主要企業の人権取組に関する評価結果をまとめた報告書「Corporate Human Rights Benchmark 2018 Key Findings」を公表した。

本調査では、企業が公開しているホームページ、報告書等、また企業が自ら参考情報として開示した情報に基づいて、企業の人権リスクに対する取組を評価。調査対象として、人権リスクの高いとされる農作物、アパレル、資源採取の3業種から、企業規模と収益の大きい上場企業101社を選定した。

<森林破壊>
NGOが企業向け森林破壊リスクの把握ツールを発表

(参考情報:2018年11月9日付 同団体プレスリリース)

カナダのNGO Canopyは11月9日、年代的価値の高い森林、危機にさらされている森林をグローバルにマッピングしたオンラインツール「Forest Mapper」を発表した。本ツールは、H&MやKeringなどアパレル世界大手7社の資金拠出により開発されたもので、企業が特に保全すべき森林を特定し、その破壊を防ぐために役立つものである。

アパレル製品に使用される繊維の中には、テンセルなど木質パルプを原料としたものがあり、同団体が以前より進めているCanopy Style Initiativeでは、ファーストリテイリングを含む多くの企業が持続可能な木質原料調達に取り組むことを宣言している。

<労働慣行>
RBAがサプライチェーンにおけるウェルビーイング促進に向けたイニシアチブを発足

(参考情報:2018年11月12日付 同団体プレスリリース)

電子業界のサプライチェーンにおけるCSR推進機関であるRBA(Responsible Business Alliance、旧EICC)は、業界のウェルビーイング*の促進に向けた新たなイニシアチブを発足した。

同団体は電子業界のサプライチェーンにおけるCSR活動を推進するために、これまでも「労働」「安全衛生」「環境保全」「ビジネス倫理」「マネジメントシステム」の5つについて基準を設け、参画企業に対応を求めてきた。

本イニシアチブは、サプライチェーンの労働者の「健康」に焦点をあてたもので、主な取組は以下の通り。

<気候変動>
MSCIが「低炭素移行スコア」を公表

(参考情報:2018年12月10日付 同社プレスリリース)

ESG投資情報大手のMSCI ESGリサーチは、12月10日に約9千社を対象とした「低炭素移行スコア」を機関投資家に提供することを公表した

同社によれば、投資家はもはやカーボン・フットプリントだけで単純に気候変動リスクを判断することはできないとして、低炭素社会への移行に関するリスク及び機会への企業のエクスポージャーを、0から10までの値でスコアリングする評価手法を開発した。

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