レポート

ESGリスクトピックス 2018年度 No.5

2018.8.1

国内トピックス2018年6月に公開された国内のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<コーポレートガバナンス>
金融庁が「投資家と企業の対話ガイドライン」を公表

(参考情報:2018年6月1日付 金融庁HP)

金融庁は6月1日、「投資家と企業の対話ガイドライン」を公表した。

近年、スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードが整備され、機関投資家と企業の対話が促されてきた。しかしながら、実際は形式的な対話にとどまっており、企業価値の向上に向けた実効的な議論がなされているケースは限られているとの問題意識から、本ガイドラインの策定に至ったと同庁は公表している。

<環境>
セブン‐イレブンとトヨタが、CO2大幅排出削減の共同プロジェクトを2019年秋に開始

(参考情報:2018年6月6日付 トヨタ自動車HP)

セブン‐イレブン・ジャパンとトヨタ自動車は6月6日、店舗と物流で省エネルギーと二酸化炭素排出削減を目指す共同プロジェクトを2019年秋より開始すると発表した。

プロジェクトでは、セブン‐イレブン店舗に、太陽光発電用のパネルに加え、トヨタ自動車が新たに開発する水素を燃料とした発電機械(FC発電機)を導入し、両発電機で発生した電気を蓄えるリユース蓄電池も設置する。リユース蓄電池はハイブリッド車の使用済みバッテリーを再利用し環境負荷を減らす。

<ガバナンス>
経済産業省が、企業の「ダイバーシティ経営」推進で女性・外国人取締役の採用などを提言

(参考情報:2018年6月8日付 経済産業省HP)

経済産業省は6月8日、企業が人材活用の「ダイバーシティ(多様性)」をいっそう推進し、「稼ぐ力」を高める方策として、取締役会の多様性確保や労働・資本市場への情報発信強化を図るべきだとする提言を発表した。

「ダイバーシティ2.0*の更なる深化に向けて」と題された提言では、企業が取るべきアクションとして女性や外国人の取締役への採用を提示している。自社と異なる知見を取り入れるために、現行で主流の弁護士や公認会計士等に偏らず、他社の女性役員やその候補者を社外取締役に採用するよう提言した。

<IR>
金融庁が金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」を公表

(参考情報:2018年6月28日付 金融庁HP)

金融庁は6月28日、企業情報の開示及び提供のあり方に関する金融審議会*「ディスクロージャーワーキング・グループ報告‐資本市場における好循環の実現に向けて‐」を公表した。

本報告書では、米国や英国での情報開示ルールや企業の開示内容と比較しつつ、日本企業の情報開示に関する現状の課題と改善のための提言を示している。

主なポイントは以下のとおり。

海外トピックス2018年6月に公開された海外のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<ガバナンス>
米グーグル、武器利用の禁止などAIの倫理的な活用に関する原則を公表

(参考情報:2018年6月11日付 グーグルウェブサイト)

米アルファベット傘下のグーグル(Google LLC)では、米軍の無人機(ドローン)による画像認識に協力したことに対して社内で抗議活動が広がっている。その結果、従業員4600人が協力をやめるよう求める嘆願書に署名し、辞職者も出る事態となっている。このような中、同社のピチャイ(Pichai)CEOは6月7日、同社の人工知能(AI)の運用に関する原則を公表した。この中で、武器や不当な監視活動、人権侵害につながる目的に使わないことなども示した。

<ESG投融資>
3メガ銀、石炭火力発電所等に関する投融資方針を公表

(参考情報:各社ニュースリリース)

2018年5月から6月にかけて、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャル・グループ、三井住友銀行は、相次いで環境・人権課題に関わる融資方針を公表した。

三菱UFJフィナンシャル・グループは、5月15日に「環境方針」、「人権方針」、「環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定したことを公表し、環境・社会課題に関係して「ファイナンスを禁止する事業」、「特に留意する事業」に関する融資基準を示した。「ファイナンスを禁止する事業」の例としてクラスター爆弾の製造、「特に留意する事業」の例として石炭火力発電所への融資を挙げており、国際的ガイドラインを参考に慎重に検討すると述べている。

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