レポート

ESGリスクトピックス 2017年度 No.10

2018.1.1

国内トピックス2017年11月に公開された国内のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<企業倫理>
日本経済団体連合会が企業行動憲章を7年ぶりに改定「SDGs達成」を目標に掲げる

(参考情報:2017年11月8日 経団連HPなど)

日本経済団体連合会(以下、「経団連」)は11月8日、7年ぶりに改定した企業行動憲章の第7版を公表した。今回の改定では、世界の貧困や不平等などの廃絶に向けて2015年に国連総会で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成を究極的な目標に掲げ、主にそれとの整合を図って文言を追加・修正した。

経団連は、改定に当たり、グローバル化や情報化社会の進展に伴い、経済成長などの恩恵と同時に貧困や格差の拡大、労働環境の悪化などが進む現状に懸念を表明。

<情報セキュリティ>
経済産業省が「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」の改訂版を公表

(参考情報:2017年11月16日付 同省HP)

経済産業省は11月16日、「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver2.0」を公表した。

同ガイドラインは、経営者のリーダーシップの下で企業自らがサイバーセキュリティの対応強化に取り組むことを最大の目的とし、2015年12月に初版が公表された。今回の改訂は2016年12月のVer1.1への改訂に続き二度目の改訂となる。

昨今のサイバー攻撃は巧妙化しており、防御が難しいケースや、サイバー攻撃を受けている事実に企業が自ら気付かないケースが増えるなど、事前対策だけでは対処が困難な状況にある。

<地球温暖化>
アスクルが国内企業で初めて「RE100」「EV100」双方へ加盟し、CO2削減の取り組み推進を宣言

(参考情報:2017年11月29日付 同社HP)

アスクルは、2030年までに同社の事業所から排出するCO2と配送に関わるCO2をゼロとするチャレンジ(以下、「2030年CO2ゼロチャレンジ」)への取り組みを進めるため、日本で初めて「RE100*」と「EV100*」の2つの国際ビジネスイニシアティブに加盟したことを発表した。

原材料調達から購入者への商品到着までを含めたサプライチェーン全体で、CO2削減に向けた企業間連携の可能性を探ることを目的として、昨年アスクルは「アスクル環境フォーラム2016」を開催。

<CSR>
日本証券取引所グループが持続可能な証券取引所イニシアティブに加盟

(参考情報:2017年11月30日付 日本証券取引所グループHP)

日本証券取引所グループは11月30日、国連の持続可能な証券取引所(SSE)イニシアティブへの加盟を決定したと発表した。日本証券取引所グループは、スチュワードシップ・コードの改訂版においてESGに関する事項が追加されたこと、また、日本証券業協会が「持続可能な開発目標」(SDGs)推進に取り組むと表明したことなどを考慮し、同イニシアティブへの加盟を決定したという。

海外トピックス2017年11月に公開された海外のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<気候変動>
COP23が閉幕

(参考情報:2017年11月20日付 外務省HP、2017年11月17日付 国連プレスリリース)

11月6日から17日まで、気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23)がドイツ・ボンで開催された。COP23では、パリ協定を実施するにあたっての実施指針等(通称:ルールブック)について議論された。ルールブックの内容を巡って先進国と途上国の間で意見の隔たりがあるが、来年のCOP24(ポーランド・カトヴィツェ)の採択に向けて作業が加速される。また各国の温室効果ガス(GHG)削減目標の上積みを促す「タラノア対話」を、2018年に実施することが合意された。

一方、COP23の場では各国政府、企業などから様々な新しい取組みが発表された。

<サステナビリティ>
自動車大手10社が原材料調達におけるサステナビリティ課題に対処するためのイニシアティブを発足

(参考情報:2017年11月29日付 CSR Europeプレスリリース)

自動車大手10社(BMWグループ、ダイムラー、フォード、本田技研工業、ジャガーランドローバー、スカニア、トヨタモーターヨーロッパ、フォルクスワーゲングループ、ボルボ・カーズ、ボルボグループ)のパートナーシップである「Drive Sustainability*」は11月29日、原材料調達におけるサステナビリティ課題に対処するための新たなイニシアティブを発足させた。

本イニシアティブの目的は、自動車分野の主要原材料(雲母、コバルト、ゴム等)の調達におけるサプライチェーン内の企業倫理、環境、人権、労働問題等に関するリスクアセスメントを行い、改善に向けた効果的な活動を特定することで、各社の既存の取組を補完することにある。

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