レポート

2021年度 No.4「中国・個人情報保護法の解説」

2021.11.1

本稿は、上海開澤律師事務所 パートナー弁護士の王穏氏に寄稿いただきました。

要旨

  • 2021年8月20日、第十三期全国人民代表大会常務委員会第三十回会議において、「中華人民共和国個人情報保護法」が通過し、2021年11月1日に正式に施行されることが決定した。
  • 個人情報保護に関する規定は、複数の規範性文書に分散されていたが、「中華人民共和国個人情報保護法」の制定により、個人情報保護で遵守すべき原則や個人情報の取り扱い規則、個人情報の取り扱いにおける権利義務の境界が明確化されることとなった。
  • 本稿では、「中華人民共和国個人情報保護法」の概要および抑えるべきポイントを事例を交えて解説する。

1. はじめに

インターネットの発展に伴い、個人情報の保護、個人情報取り扱いの規範化も極めて重要となってきている。「中華人民共和国個人情報保護法」(以下、「個人情報保護法」または「同法」という)の公布前は、個人情報の保護に関する規定の大部分は、 「ネットワーク情報保護の強化に関する決定」、「電信及びインターネットユーザー個人情報保護規定」、「情報安全技術・個人情報安全規範」などの規範性文書に分散していた。

中国政府は早くから、「個人情報保護法」の法制化に向けて研究を進めていた。また、他の規範性文書が個人情報の保護に一定の拘束的な役割を果たしていたものの、近年発生している個人情報の侵害に関する事例への社会的反響が大きくなっている。 これらが影響し、「個人情報保護法」の法制化の動きが一定早まったということができる。

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