レポート

2018年度 No.4「過去10年間の315晩会から見る消費者保護の傾向と企業における留意点」

2019.1.1

要旨

  • 中国の国営放送で毎年3月15日に放映される特別番組「315晩会」では消費者利益に反するとみなされた企業が糾弾されるのが恒例である。
  • 本稿では、過去10年間に同番組で取り上げられた事例を原因別に紹介する。
  • 外資系企業にとっては、中国の消費者にダブルスタンダード(二重基準)と受け取られかねない対応をしないこと、緊急時には初期の段階でメッセージをできるだけ早く発信すること等が重要である。

1. 「315晩会」とは

毎年3月15日は、「世界消費者権利デー」である。消費者庁のホームページによると、米国のケネディ大統領が「消費者の利益の保護に関するアメリカ合衆国連邦議会への特別教書」を連邦議会に提示し、この中で消費者の4つの権利(安全への権利、情報を与えられる権利、選択をする権利、意見を聞いてもらう権利)が初めて明確化されたことに由来して1983年制定された。。

中国では、同日に国営放送である中国中央電視台(CCTV)で「315晩会」という特別番組が放映され、消費者のみならず、中国市場で事業を展開する企業から大きな注目を集めることで知られている。1991年から放映が始まった同番組内では、番組取材班による潜入取材等をもとに、消費者の権利を侵害したとされる企業(しばしば有名企業が含まれる)が毎年実名で糾弾され、ネットでの炎上につながったり経営トップが謝罪を余儀なくされる等して、中国におけるブランドイメージを大きく損なう事例が後を絶たない。

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