2019年度 No.4「BCP訓練の実施事例(実践的な訓練実施に向けて)」
2020.3.1
要旨
- 自然災害やパンデミック等の様々なリスクへの対応力を高めるには、BCPを策定するのみならず、継続的に訓練を実施することが有効である。
- 本稿では、BCP訓練について解説するとともに、2019年度に当社が実施を支援したBCP訓練の実施事例を紹介するので、各企業における訓練の企画・実施の参考としていただきたい。
1. BCP訓練の解説
(1) BCP訓練の必要性
近年、事業継続計画(BCP)を策定済みの企業において、BCP策定だけにとどまらず、BCP訓練を実施するケースが増えている。
訓練は、BCPをブラッシュアップし、緊急時の組織の対応力を向上させる「事業継続マネジメント」(BCM)の取組みの一つに位置付けられる。より実行性に優れたBCPを策定し、 緊急事態から組織や従業員を守るためには、BCP訓練の実施が非常に有効である。
BCP訓練を実施すべき理由は、主に2つある。1つは、BCPや災害対応マニュアルに記載されていることが、いざ緊急事態の“本番”を迎えた際に、本当に実行できるかどうかを検証するためである。 特に、大規模災害発生当日における初動対応(安否確認や帰宅・出社判断、備蓄品対応など)に関しては、緊急事態にならない限り、日常の業務では経験することがない。そのため、BCPや災害対応マニュアルの準備がいくら綿密にできていても、 それらの手順を確認することに時間を要して、対応の実行が大幅に遅れる可能性がある。そのような状況を防ぐために、BCP訓練は有効である。 実際に、2011年の東日本大震災において、BCPを策定するだけでなく、訓練を実施していたおかげで、断片的な被害情報から今後行うべき行動を先読みし、臨機応変な対応を行うことができたとの声が聞かれる事例もあった。
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