リスク情報・レポート / BCMニュース
2018.05.21
地震発生時の災害医療体制を踏まえた医療機関と企業の対策
【要旨】
- 大地震が発生すると、医療機能が大幅に制限される。
- そのような中、多くの人命を救うため、行政が主導する「災害医療体制」のもとで医療が提供される。
- 医療機関においては、上記「災害医療体制」における役割を遂行するために、BCPを整備することが重要である。
- 民間企業においては、平常時と同様の医療を受けられない中で、構内等で発生する負傷者等の安全確保を図ることが重要である。
1.背景
首都直下地震や南海トラフ地震等の大地震が発生すると、被災地域では多数の負傷者が発生し、社会インフラにも支障が生じることが予想される。
このような中、医療機関においては、医療機能が不十分な状況下で多数発生する負傷者の対応を行うための対策が求められる。 一方、民間企業においては、通常通りの医療提供が望めない状況下で、社員等の安全を図る対策が必要となる。
本稿では、医療機関および民間企業における大地震発生時の対策整備の一助となるよう、以下について紹介する。
- (1)大地震発生時に想定される医療機能への影響
- (2)災害医療体制の概要
- (3)医療機関におけるBCPのポイント
- (4)民間企業における負傷者対応のポイント
2.大地震発生時に想定される医療機能への影響
まず前提として、大地震発生時に医療機能が制限されることを認識することが必要である。
そこで、ここでは、首都直下地震が発生した場合の医療機能への影響を紹介する。(表1参照)
なお、他の大地震が発生した場合の影響も大きく変わらないと考えていただいて問題ない。