レポート

第28号「高年齢労働者における労働災害防止対策」

2018.9.1

要旨

  • 平成29年は前年に比べて、死亡災害、休業4日以上の死傷災害(以下、死傷災害とする)ともに労働災害の発生件数が増加した。
  • 労働者の年齢が高くなるほど労働災害の発生件数が増加する傾向にある。また、高年齢労働者における労働災害の事故の型をみると、死亡災害では「墜落・転落」、死傷災害では「転倒」が多く発生している。
  • 「労働者の身体機能」、「労働災害の事故の型」に着目し、弊社実施の調査でよく見受けられる事象も含め、労働災害防止対策を紹介する。

1.高年齢労働者の現状

厚生労働省が公表する労働災害発生状況のデータによると、平成29年に発生した死亡災害、死傷災害の発生件数は前年より増加している。増加の原因として、労働者全体に占める高年齢労働者数(本稿では50歳以上の労働者を指す)が増加傾向となっていることも関係していると考えられる(図表1)。

中央労働災害防止協会では、企業における高年齢労働者の安全と健康確保のための職場改善の取組を促すことを目的とし、「エイジアクション100」という職場改善ツールを開発している。当該ツールに記載のチェックリストを活用することで、職場の課題の洗い出しが可能となる。

2.労働災害の動向

(1)年代別の発生状況

平成29年のデータによると、死亡災害が978件(前年より50件増)、死傷災害が120,460件(前年より2,550件増)発生している。

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