レポート

第21号「製造業におけるはさまれ・巻き込まれ事故防止に向けて」

2016.5.1

1.はじめに

労働安全衛生法は、事業者に対し「単にこの法律で定める労働災害の防止のための昀低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」(労働安全衛生法第3条)ことを定めている。事業者にとって、従業員が安全かつ健康的に働けるよう、安全衛生管理を推進していくことは必須であると言えよう。

しかし、残念なことに、昨今においても労働災害の発生数は決して少なくない。平成26年においても、1,057名もの尊い命が失われている。

このような状況の中、厚生労働省が発表した第12次労働災害防止計画(平成25年)では、労働災害防止に向け、いくつかの重点取組業種が掲げられた。中でも本稿では、重篤災害が多く発生している"製造業"に着目する。現状の労働災害発生状況や、第12次労働災害防止計画の方針を紹介しつつ、製造業で昀も多く発生している、はさまれ・巻き込まれ事故の防止対策について概説する。

2.製造業における労働災害発生状況

(1)全業種に占める製造業の労働災害発生割合

図表1に、国内で発生している重篤な労働災害発生件数(休業4日以上の死傷者数)について過去5年間の推移を業種別に示す。これによると、休業4日以上の死傷者は製造業においてもっとも多く発生しており(平成26年:全体の23.0%)、特に平成24年以降は、それ以前に比べて4,000名ほど増加していることが見て取れる。

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