レポート

第18号「荷役作業の安全対策」

2015.8.1

1. はじめに

一口に“荷役作業”といっても、港湾施設や造船所での大型クレーンを用いたコンテナやブロックの運搬・据付、建設現場での移動式クレーンによる資材の積卸しやタワークレーンでの搬入などをはじめ、工場や倉庫でのフォークリフトによる材料・製品の積卸しなど実に様々なものがある。このような荷役作業は労働災害の発生リスクが高いことでも知られており、なかでも、大型の設備を用いた重量物を取り扱う荷役作業よりもむしろ人力による荷役作業の方が圧倒的に労働災害が多く発生して いる。

本稿ではその代表的な例として陸上貨物運送事業(以下、陸運業)を取り上げて、その実態や労災防止の取り組みについて解説する。

2. 陸運業における荷役災害の特徴

(1) 荷役災害の発生状況

陸運業における休業4日以上の死傷災害の約70%が荷役作業に関係するもので、そのほとんどは人力による作業で発生している。ちなみに、運行作業(交通事故)によるものは10%を占めるにすぎない(図表1参照)。

また、荷役作業時の労働災害は、墜落・転落が約30%と最も多く、次いで、動作の反動・無理な動作(腰痛など)が15%となっている(図表2参照)。

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