レポート

2021年度 No.1「タイの渇水・洪水関連情報」

2021.3.1

概要

  • 今回の乾期(2020~2021年)の渇水による影響は、過去40年間で最悪レベルとなった昨年(2019 ~2020年)ほどは大きくありません。
  • タイ気象局(Thai Meteorological Department: TMD)によれば、3月の降水量は平年より10%程度少ない見込みです。
  • Chonburi、Rayongの工業地域においても、渇水による大きな影響は出ていません。
  • タイ気象局(Thai Meteorological Department:TMD)によれば、4月には降雨量が増加するとの予測であり、多くの地域で干ばつが解消される見込みです。
  • チャオプラヤ川流域に位置する主要ダムの水位は、昨年の同時期と同様、低いレベルです。

降雨量

  • 下図はそれぞれ、(左)2021年1月1日~3月26日における累積降雨量の平年(直近30年の平均降雨量)との差、(中央)2021年1月1日~3月26日の累積降雨量、(右)2020年1月1日~3月26日の累積降雨量を示しています。
  • 左の図(平年との差)より、タイ南部を除き、今年の累積降雨量は概ね平年並みです。
  • 中央と右の図(今年と昨年の1月1日~3月26日の累積降雨量)を比較すると、特にタイ北部、西部において、今年は昨年を上回る降雨があったことが分かります。

渇水の状況

  • 今年の(現時点までの)降雨量は平年並みですが、過去2年間の少雨の影響により、ダムの貯水量は十分ではありません。現在、主要35箇所のダムのうち9箇所は貯水量の下限値に近い状態です。
  • チャオプラヤ川流域に位置する4つの主要ダムの貯水量も、農業用水の需要量の50%程度に止まっていますが、カセサート大学の専門家によれば、渇水の影響は昨年ほど深刻ではありません。
  • 今年も既にタイ全土で渇水対策が進められており、2020年11月~2021年4月における農業、工業、生活用水等への水供給の配分は下表のように計画されています。現在までに合計水量の約70%に相当する13,346百万m3が既に供給、使用されています。
  • 上表に示した水供給に加えて、チャオプラヤ川流域の主要ダムには5,000百万m3の水が配分されており、現在までに総量の78.5%に当たる3,925百万m3が使用されています。

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