レポート

2019年度 No.2「タイの洪水関連情報」

2019.8.1

概要

  • エルニーニョ現象の影響で、今年の5月~7月の降雨量は平年の降雨量を10%下回っており、主要ダムの貯水量は著しく減少しています。
  • タイ気象局によれば、5月20日の雨期開始以降、今年は過去30年間で最も干ばつが懸念される状況です。主な要因はエルニーニョ現象の影響であり、降雨量の減少に加えてタイ全土の気温が平年より1~2℃高くなっていることから、 ダムなどの貯水システムからの蒸発量が増加しています。
  • 現時点の大型ダム(全国35か所)における合計貯水率は48%、その他の中小規模ダムの貯水率は30%を下回っています。主要ダム(Sirikit、Bhumibol、Pasak、Kwaenoi)における合計貯水量は約80億m3ですが、 2019-2020年の乾季における農業や飲料水等にかかる推定消費量は120億m3であり、水需要を満たすためには約40億m3の積み増しが必要です。
  • 既に干ばつによる被害が発生しており、1,341km2の農地で影響が出ています。特に被害が大きな地域はタイ北部と北東部です。最も大きな影響を受けているのは稲作で推定被害は75億バーツ(656km2)、 トウモロコシ、サトウキビ、タピオカ農場が続き、農業全体の推定損害額は98億バーツに達します。降雨の少ない状況が9月まで継続すると、コメの栽培サイクル全体に影響が及ぶため、被害額が370億バーツまで拡大し、 GDPが0.1%低下(3.0%→2.9%)するとの試算もあります。

降雨量

  • 下図は2019年1月1日~8月5日の累積降雨量(左)と、累積降雨量の平年(直近30年の平均降雨量)との差(右)を示しています。今年の降雨量は平年を大きく下回っています。

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