レポート

2016年度 No.2「タイの渇水状況と今後の展望」

2016.5.1

現在の状況

タイでは、4月の終わりから5月の初め(4/25-5/2)にかけて、雷を伴う嵐に起因する降雨があり、その結果、いくつかのダムに雨水が流入しました。しかしながら、ダムの水位は依然として低い状況であり、チャオプラヤ水系の主要ダムの一部も危険水域に達しています。
これから雨季に向けて徐々に降水量が増加するとの予測も出ていますが、特に農業への影響については今後も注視する必要があります。

渇水による影響

渇水による工業、農業への影響は以下の通りです。

【工業】

各工場は排水の再利用や民間企業からの工業用水の購入等の対策を取っており、渇水の影響は大きくありません。

【農業】

農業は渇水による影響を大きく受けており、野菜、果物、ゴム原料などの収穫量が大幅に減少しました。その結果、野菜や果物だけでなく、豚肉、卵など、多くの食料品の価格が上昇し、飲食料業界に大きな影響を与えています。

ダム水位(チャオプラヤ水系主要ダム): http://www.waterforthai.org/th/dam-report

昨年の雨季明けから続く雨不足の影響により、チャオプラヤ水系のダム水位は依然として低く、主要4箇所のダムのうち3箇所のダムで危険水位に達しています。

当社は昨年10月と今年5月に、Pasak Chonlasitダム(上図右端の水位計)とChao Phrayaダム(タイ中央部への水供給に関して重要な調整機能を持つダム)の状況を調査しました。次ページ以降にそれぞれのダムの写真を示します。いずれのダムも、昨年10月と比較して現在の水位が低くなっていることが分かります。

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