レポート

2018年度 No.2「タイの地震リスク」

2018.10.1

タイにおいても過去に地震や津波による被害が発生していますが、日本やインドネシアと比較するとその頻度や深刻度は低く、それゆえ、地震がなぜ発生するのか、どのような被害が生じるのか、また地震にどう対処すべきか、についてタイでは一般的にあまり知られていないと考えられます。

地震は、地殻(地球の外側を構成する固体の表層部分)に蓄積した歪み(ひずみ)エネルギーが突然解放されることで発生する自然現象です。歪みエネルギーが地殻内の岩石に亀裂を生じさせることで、地殻はバランスを保っています。いったん亀裂が拡がった箇所は、「断層」と呼ばれます。この断層が突然動くとき、地震が発生します。

1. プレートテクトニクス

プレートテクトニクスは、最もよく認識されている地質学的理論の一つです。この理論は、アルフレート・ロータル・ヴェーゲナー(Alfred Lothar Wegener)が提唱した「大陸移動説」を発展させたものであり、地球内部における熱の対流活動によって、地殻を構成するプレートの大規模な移動が生じると説明するものです(図1)。

地球のコアからマントル層(地殻と外側のコアの間に位置する溶融層)へ伝わる熱がマントル層内に物質を創り出しまた循環させ、上層の地殻がプレートとして分割する要因となっています。図2に示すように、プレート同士の境界面では収束、発散、変形が生じています。このプレート運動の結果、地震や造山運動、火山噴火など多くの自然現象が発生します。

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